最初に、江森克治議長が、「今我々を取り巻く問題は、近代合理化主義がもたらしたものであり、従来の手法では解決できない。時代の流れが勝つのか、我々が勝つのかまさに智恵比べだ。乗り越えることができれば再び日本は成長できる。CSRという有効な戦略について何をどう実践するかが大事である」と述べた。
次に、滝澤光正副議長をモデレーターに、横浜型地域貢献企業に認定されている石井造園の石井直樹社長と富士通ワイエフシーの宮浦完次社長、全青協から六三印刷の三島秀夫常務の3人がパネリスト、横浜市立大学の影山摩子弥教授がコメンテーターを務め、パネルディスカッションが行われた。
石井造園は、日頃の現場で行う玄関先の清掃をはじめ、小学校への出前授業、苗木の無償配布など顧客や地域に信頼されている活動を続けている。
社員には他人や世間から見られている自覚が強く、提案は自主的に生まれる。提案は直ぐに実行に移すが、本業の範囲内で経費を掛けないで行う「ついでに、無理なく、達成感」が活動のポイント。CSRの仕組みを通じて企業のイメージや社員の質、生産性が向上し、利益に結びついた。
ITソリューション企業である富士通ワイエフシーは、在宅勤務や出産・育児・介護休暇で国内トップレベルの制度を持ち、ワークライフバランス重視の経営一体型CSRを実践している。
2006年から女性社員の発案で女性活性化プロジェクトを開始。80項目あった改善要望を4ヵ月でクリアした。プロジェクトを社長直轄とし、即断即決できたことが成功に繋がった。退社率の減少、女性社員の働く意識の向上など多くの成果が得られている。
六三印刷は、工場従業員の救命救急士資格取得、エコキャップ運動、日印産連GP認定やISOの認証を通じた活動、ワークライフバランスへの配慮、社員の家族を対象にした環境勉強会など「まっすぐ正直な経営」を社是にさまざまな取り組みを実施している。
影山教授は「印刷業界の皆さんの潜在意識は非常に高い。日本を支えるのは印刷業界だと本気で思っている。その特質が実際にある。業界では既に環境保全や個人情報保護,MUDなどの取組みが実践されている。それらを1つにまとめる柱として認定制度を是非作ってほしい」とまとめた。
つづいて、参加者が自社のステークホルダー(利害関係者)を念頭に置きながら環境負荷低減や、社員のモチベーション向上、子育て支援ネットワーク作りなどをテーマに具体的な取組みを考えるグループディスカッションが行われた。
また、ツイッターによりディスカッションを同時配信するなどの試みも行った。
全青協は今後、CSRの導入支援や、事例紹介を行い、全印工連産業戦略デザイン室と連携して「CSR認定制度」を創設することを計画している。
|