「印刷産業」の下請取引ガイドライン策定

 経済産業省では、親事業者と下請事業者の間の望ましい取引関係の構築を図るため、業種別の「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」(下請ガイドライン)を策定し、それぞれの業種の特性に応じて下請代金法や独占禁止法上問題となっている行為の具体的な解説を行うとともに望ましい取引事例を紹介し、普及を図っている。
 今年度、新たに「印刷産業」でガイドラインを策定し、下請ガイドラインの普及を図っていくことになった。
 なお、これまで、素材形成産業、自動車産業、産業機械・航空機等産業、繊維産業、情報通信機器産業、情報サービス・ソフトウェア産業、広告産業、建設業、建材・住宅設備、トラック運送業、放送コンテンツ産業の11業種のガイドラインが策定されており、今回、新たに印刷産業、紙・紙加工品産業、鉄鋼産業、化学産業の4業種のガイドラインが策定され、ガイドライン策定業種は15業種となった。
 下請ガイドラインに掲載されている主な事例は次のとおり。

下請代金法および独占禁止法上問題となる事例

注文を受け、生産に入っていたが、親事業者の都合により一方的にキャンセルされ、既に発注した費用は一切負担してもらえなかった。(紙・紙加工品)
下請事業者に一切利益がないにもかかわらず、親事業者から協賛金名目で一定率の金額を徴収されている。(印刷)

望ましい取引事例

原材料の値上がりに伴う対応については、個別に下請事業者と協議を行っている。(化学)
単価決定の経緯が残されておらず、親事業者、下請事業者双方の合意に基づいたか不明であったため、取引毎に交渉メモを作成し整理しておくことを徹底。(鉄鋼)
下請事業者の経営状況のチェックに当たり、[1]財務状況の報告を強要しない、[2]報告書の作成に労力をかけさせない、[3]入手した情報は厳重に管理している。(情報通信機器)

下請代金の支払い方法および
   改正不正競争防止法の対応について

(1)下請代金の支払方法(原則現金化、手形サイトの短縮化)
親事業者は、発注に係る物品等の受領後、できる限り速やかに、かつ、現金で支払うものとし、少なくとも賃金に相当する金額については、全額を現金で支払うことが望ましい。
手形サイトの短縮に向けて、サイト基準の短縮化に取り組むことが望ましい。
(2)適正不正競争防止法への対応
事業者が営業秘密の管理・取扱いに関する理解を深め、下請事業者の営業秘密の取扱いに関して、損失を与えることのないよう、十分な配慮を行うことが望まれる。
営業秘密の管理に係る任務に背いて、複製禁止の資料を無断で複製する行為、消去すべきものを消去したように仮装する行為等が新たに刑事罰の対象となった。

BACK