印刷燦燦
「感性価値」

理事・青年部委員長 岸  昌洋
正文舎印刷株式会社代表取締役

 私たちは、これまで「印刷物」を作るということを目的として成立してきました。
 より早く、よりキレイに、そしてより安く。
 今現在もそうです。
 「安くていいもの」が市場に受け入れられ、こぞって価格競争という名のレッドオーシャンを泳いでいます。
 日本中の印刷機や輪転機が稼動したら、いったいどの位の量の印刷物が出来るのでしょう?
 完全に需要と供給のバランスが崩れているのは言うまでもありません。
 我々は、「効率化」という名の下に設備を強化し、適正価格を放棄し、業界全体のバランスを破壊してきました。
 それは、お客様から求められる「印刷物」を作ることを目的とし、そこから先の「手段」が抜けているからです。
 フルパワーで設備を増強し、営業を強化し、大量の印刷物をどこよりも安く提供するこのことを否定するつもりは、全くありません。
 ただ、私は、私の会社はできないし、トップである私がしたくないのです。
 ではどうするのか?
 目的として作られた印刷物は、お客様の手元に届いた瞬間、お客様にとっての「手段」となります。
 情報を伝える、記録する、販売の促進をする、集客する、売上げを向上させる、広報する、認知する、あらゆる「手段」となります。
 であるならば、「紙」にこだわるのか?
 お客様が求めている「手段」は、紙で達成できるのか?
 紙が手段として適切であるならば、オフセットじゃなければダメなのか?
 製品としての、紙の厳しく、リアルな視点が必要なのではないか?
 メディア論でとらえる「紙」とそれ以外の媒体、そして感性から考える紙の可能性を探り、紙にインキやトナー以外の「感性」や「経済価値」をのせることが必要だと考えています。
 今、我々印刷業界は業態を変革しなければなりません。
 座していると変化になります。
 自らが進んで変わることが、変革です。
 受注請負だけではなく、自らがプレーヤーになること。
 私は業態変革をこのように理解し、進んでいきます。

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