お客様の悩みを共感・業態変革実践プラン
平成21年度第1回全道委員長会議、
上期北海道地区印刷協議会、経営者研修会
平成21年度第1回全道委員長会議、同上期北海道地区印刷協議会が、6月12日午後1時から札幌市中央区の札幌パークホテルで、全日本印刷工業組合連合会の水上光啓会長、武石三平専務理事、全国青年印刷人協議会の臼田真人議長、三島秀夫・長田進副議長を来賓に迎え、全道から支部長と委員30余人が出席して開催された。
また、全体会議の中で、経営者研修会として全日本印刷工業組合連合会の水上光啓会長を講師に「業態変革実践プラン−特化と多様化−」をテーマに講演が行われ、委員会出席者と組合員80余人が聴講した。
〔全体会議・北海道地区印刷協議会・経営者研修会〕
最初に、岡部康彦理事長が、参集の組合員ならびに来賓に謝意を表し、「平成21年度通常総代会を5月に無事終わらせてもらった。7つの柱があるがその中の3つ、情報提供、教育、親睦を今年は念頭に置いて力を入れて行きたいという話をさせてもらった。これに向かって皆さんと意見を分かち合おうということで今日の研修会を開催した。また今日、石狩支庁長に最低制限価格制度等の採用を要請し、できるかぎり協力するとの言葉をいただいた。14支庁のうち5支庁への要望が終わり、残りについても各支部長の協力をいただき早急に実施したい」とあいさつを述べた。
次に、5人の来賓紹介が行われた後、経営者研修会に移り、全日本印刷工業組合連合会の水上光啓会長を講師に「業態変革実践プラン−特化と多様化−」をテーマに講演が行われた。
水上会長は、組合の役割について先行きの見えない社会の中で連帯が大切になり組合の果たす役割は大きいとし、そのためには組合員が参加することである。業態変革についてゴールは各社それぞれであるとし、明日から売上を10%増やす特効薬はないが経費を10%減らせば同じ効果があるとし「収益拡大−コストダウン実践プラン」の利用を促した。業態変革の実践にあたっては「業態変革ワンストップサービス実践ガイドブック」の熟読を基本にスタートすることから始まるとし、業態変革をして差別化を図るには経営者が勉強しなければ成し得ないとした。またアメリカの印刷業界についてアメリカも厳しい状況にあるとしながらもこれからも印刷付帯サービスに付加価値を見出す方向性は変らないとした。日本の印刷業界もこれからはサービス業にシフトして生き残りをかけて行く方向性を示し、印刷産業は弱肉強食でなく優勝劣敗であるとした。最後に印刷業は顧客第一主義になり、お客様の悩みを共感することでビジネスを進めると活路があると結んだ。
次に、武石三平専務理事から、全印工連事業概況として、業態変革実践プランの推進、人材育成プログラムの活用、印刷産業の将来ビジョン作成のための印刷産業戦略デザイン室の設置、感性価値創造事業の推進、官公庁の印刷発注に対するアンケート結果として著作権への対応方法、環境対応の問題、メディアユニバーサルデザインへの対応等について説明が行われた。
〔委員会〕
組織・共済事業、経営革新・マーケティング事業、教育・労務・環境事業、青年部事業の4委員会に分かれ、(1)平成21年度事業推進について、(2)意見交換、(3)委員会意見集約、(4)全印工連要望事項集約についての討議が行われた。
〔総括会議〕
組織・共済事業委員会
発表者 板倉 清氏(札幌支部)
・組合員を増やすことについて殆どの時間を費やした。どうやってやるのか、こうしてやるのかの結論には至っていない。同時に脱退する組合員をどう止めて行くのかということも必要である。一番勉強になったのは水上会長のワンストップサービスをどう浸透させていくかであり、課題になって来ると思う。一例として札幌支部で今組合員募集ということで積極的にやろうという考えを一部披露させてもらった。多少予算化し、皆さんの知っている方に声掛け運動をやって行こう。興味を持たれた方にはパンフレットやその他の資料を郵送して、最終的には訪問してまとめて行こうということにしている。そのなかで加入訪問台帳のようなものを作成してまとめていく必要もあるのではないかという意見があった。話題は出るがこれはという方策は出なかった。いずれにしても根気良く加入促進を進めて行くということになった。
・共済は、9月から加入促進キャンペーンを行うので組合員全員でキャンペーンに参加し盛り立てていこうということで一致した。全国的に見ても北海道の加入率が悪い。生命共済は全国平均が33%に対して北海道は17%の加入率よりない。掛金が非常に割安になっており加入していただく方にもメリットがある。是非進めて行きたいと思っている。
経営革新・マーケティング事業委員会
発表者 野津雅之氏(十勝支部)
・今年の政府の政策の目玉であった定額給付金を旭川印刷製本工業協同組合で旭川市から入札無しで仕事を一括して受けてそれを組合員で手分けして仕事をした。資金的に市の予算でなく国の予算で市は代行業務的な形であったので出来たのかもしれないが、これは大きな目玉になると感じた。直ぐに他の都市もということにはならないかもしれないし、一般の事業会計に組み込まれたものに適用されるがかどうか分からないが、これからいろいろな政策の中で、国の補助金とか別枠のものは他の支部でも自治体に働きかける必要があると意見が出た。北海道印刷工業組合は法人の資格があるが各支部にはないが、形としては一般の会社の支店も入札の資格は代理権で出来るので、自治体に働きかけることも可能ではないか。
・昨年の委員長会議の席上で帯広市の1円入札の話があったが、十勝支部で要望書を市に出したが、その時に聞いた話では印刷組合は要望書を過去あまり出していないが、建設関係からは1年に何十も何百も陳情・要望書が出るようである。常に物申して行く団体になることによって組合に入っている意義も出てくるのではないか。
・各支庁・出先機関への最低制限価格制度採用等の要望書は14支庁のうち5支庁が既に終っている。他はこれから逐次進めて行く。終ったところの話では、突然行くと担当レベルではよく分からないような話をしているようであるが、行くことによって新たな検討・認識を持ってくれると思うので、終っていないところは早めに実施してほしい。
・用紙やCTP等の価格の調査依頼があると思うが、なるべく正確に答えてほしい。昨年10月の集約で用紙価格のアンケート結果が出ていたが、15%は全国何処を見ても見当たらない。逆にいうと10%以下が大半で首都圏では5%位が相当あった。例えば上質紙は首都圏では120〜125円/キロで買っているものが地方に来ると185〜190円/キロになる。道内でも札幌と地方都市では運賃もあるだろうが開きがある。組合として紙の業界に対してもっと強い要望を言っていくべきではないか。過去は5円、10円という値段の上がり方が、昨年はパーセントになった。当初から価格差がある場合には高い方が損をする。今年の2月頃日経新聞で製紙会社も経営は苦しいが値段を下げなければならない、3%(3円)という微妙な記事が出ていた。5月の初頃3円という話に落ち着きそうであったが、3%という形で落ち着きそうだと聞いている。組合として複数で要求するものは要求する。自治体にも物申す団体になって行くことが組合としての意義があるのかと思った。
教育・労務・環境事業委員会
発表者 大和繁樹氏(札幌支部)
・環境問題は、GP認定、法規制の改正等があるので各組合員隅々までどのように行き渡らせたらよいか。「北海道の印刷」や「日本の印刷」に載っているものをもう少し各組合員に分かり易いかたちで配付する方法を考えたいところであったが時間がなかった。
・教育労務では、印刷営業士の資格について時間と費用がかかるのでwebを使うなどして安価で皆さんが取り易くし、取ってどのように役に立つかを考えて行かなければならない。
青年部事業委員会
発表者 岸 昌洋委員長
・今期、全青協は昨年に引き続き業態変革100選事業ということで業態変革を実際に進めている企業100社を集めてガイドブックを作る事業を進めて行くので、経過報告と進捗状況を説明した。
・もう1つの事業が感性価値創造事業を進めて行く。感性価値創造事業は、これからの印刷産業を考えるオピニオンであるという位置付けである。受注請負だけではもうなかなか上手く売上が上がらない、利益も上がらないということで、我々がプレイヤーになって行こうということである。プレイヤーになると言っても直ぐ出版をやるとかイベントをやるといってもなかなか難しいが、それぞれの支部、地元でいろいろなことをやって行けないか。例えば、私は生まれ育って会社があるのか菊水である。菊水という街もいろいろなお祭りやイベントがある。逆になければ菊水という街をどうやって盛り上げて行くのか。いわゆる地域活性化とどう結び付けて行くかというような、こちら側が如何にプレイヤーになれるかということである。それだけではお祭りをやって終わりということになってしまうので、紙の上にインキ以外に感性というようなことを載せて行くというようなことになる。昨年の12月にルーブル、今年の5月にニューヨークで行った経済産業省のジャパン・オブ・デザインを9月に行われる情報・印刷産業展の方に出展をすることを考えている。6人のアーティストと6社の印刷会社のコラボレーションという、ルーブル美術館とニューヨークのジャヴィッツセンターで展示されたものがそのまま来るので是非見に来てほしい。
・メディアユニバーサルデザインの啓発をして行く。ユニバーサルデザインはどんなものかということもあるので、コンペの入選作品をこれも情報・印刷産業展の方に出展することになっているので、ユニバーサルデザインというものの実物を見ていただく良い機会である。
各委員会の意見発表に対して、岡部理事長・水上全印工連会長から感想所見が述べられた。
岡部理事長
・組織・共済で組合員の増強については、パンフレットを作る。それを基にして動いていただきたい。札幌支部が一番アウトサイダーが多いところであるので、足を運んでの声掛け運動は結構なことであるので是非頑張っていただきたい。
・共済は、北海道が重点推進工組とし9月からキャンペーンに取り組み加入促進を図るので協力をいただきたい。
・経営革新・マーケティングでは、定額給付金は旭川支部は見事なクリーンヒットだと思う。札幌市の場合は地元の業者でなく本州の業者に発注された。しかも札幌の営業所に3人よりいない会社で、どうやってやったのかと思う。未だ給付金は支給されていない。私どももお願いに行ったが、既に遅くて特別委員会を設置しやっていて入札になるということであった。
・石狩支庁に要望書を提出して、快く受けていただいた。未だ行っていない支庁は早めに行っていただきたい。
・印刷営業士の受講料は、今年から時間も短くなり受講料も下がっている。30人以上集まると持ち出しも少なく済むが、今は18人であるので、是非受講者を出してほしい。
・各支部で業態変革の話をした時に実践でどういうものがあるのか教えてほしいという意見が多かったので、是非100選を作っていただきたい。
・感性価値は、9月の北海道情報・印刷産業展に展示するので多数の方に参加いただいて見ていただきたい。
・メディアユニバーサルデザインコンペの出品も北海道は少ないので、皆さんの企業で努力して作品を作っていただき出品の協力をお願いしたい。
水上全印工連会長
・物申す団体。本来そうあるべきだと思う。私は行動する団体でありたいと思っている。行動するからといってプラカードを持って反対するのではなく、受身ではなく積極的に前へ向かって行くという意味である。物申す団体、結構である。我々は受注産業という内側から外へ一歩出て行くということを皆さんでやって行こうではないか。私は大いに共感するところである。私自身も実行して行きたいし、皆さんにも一緒にそういう団体を目ざして実行して行こうではないか。
・工組がやるべきこと、全印工連がやるべきことをそれぞれ明確に分けて、全印工連がやるべきことは全印工連がやる。工組がやるべきことは工組がやる。工組がやるべきことも全印工連がサポートするということを明確に考えて行きたい。
・用紙のデータの話があったが、皆さんに今後是非お願いしておきたい。全印工連、工組からいろいろなデータのお願いがあると思うが、是非出してほしい。データの募集団が多くないと客観的な数値が出ない。昨年の7月に経営動向調査を行った。その結果は、全国平均で売上が1人1,870万円、付加価値が870万円、人件費が490万円となっている。このようなものを利用してほしい。組合の指標としてより的確な指標にして行きたい。経営動向調査は404社のデータであった。できるだけ募集団を多くして、皆さんが自社のポジションを見たり、紙についても客観的な数値が出て来ないと役立たない。皆さんの協力なくしてはできないので協力をお願いしたい。データを集めて組合として言えることを対応して行きたい。
・価格ということは独禁法の問題があるが、個別には言えることもあるし、対応しなければならないこともあるので、できる限り対応して行きたい。
・環境問題は避けて通れない。面と向かって環境問題に取り組む。他と差別化するつもりはないが、できる限り環境問題は情報を提供して行きたい。
・印刷営業士のweb教育は良い。なるべく安くやりたい。全印工連が儲けているということは全くない。できる限り全印工連として皆さんに客観的に同じ予算の中で教育をしたい。今すぐwebに載せるのは難しいが、今後Webを通じて教育を進めることは素晴らしいことだと思うので時間をいただいて検討させてほしい。また営業士の教育の内容の質を上げなければならない。これは全印工連の役割だと思っている。
・日本の印刷5月号にシャグラBBの申込書を載せた。従来の垣根を越えて全印工連だけでなくそれぞれの団体が素晴らしい機能を持っていたらそれぞれの団体の機能を共有しようと考えている。ジャグラBBは素晴らしい機能だと思うので敢えて宣伝する。情報量は多いが月500円であるので活用してほしい。
・次世代に組合を繋げて行くこと、次世代に会社を繋げて行くことは大きな役割である。目の前が大変なのは分かるがそれをやり続けなくてはならない。そのために全青協に暖かい支援をお願いする。
・機材展は大変な時代になって来た。全国を見ても機材展そのものが、機械の展示が非常に難しくなって来た。機械メーカーのトップと話をしてももはや機材展に機械を出しても意味がないのではないかと機械メーカーのトップが言っている。世の中が変わったので、従来の機材展と同じことが出来なくなるのではないか。展示会のあり方自体も根底から考えなくてはならない。東京ではPRIMEDEXという展示会を2年に1回やっている。そこでも従来にない新しい魅力は何かという皆さんと同じ悩みを持っている。例えば、受身で機械を並べるということから、我々が受身から一歩前に出て我々が自社をアピールする場であるとか、これだけの仲間が居ていろいろな技術・アイディアを持っているのでそれぞれのコラボレーション展をするとかいろいろなことが考えられる。そこには従来の印刷産業だけではなく、我々のクライアントであったり学生であったりいろいろな大きな流れを作って行かなければならない。北海道の皆さんは一生懸命やっているが自分達だけと思わないでいつでも一緒に仲間に入れてほしい。展示会のあり方を考えて行かなければならない。
・今日は素晴らしい皆さんとコミュニケーションが出来たことを感謝する。現実には厳しい社会で考えてみると2〜3日前までは通れた道が突然大きな壁が出来てしまったのが今の社会である。選択肢が狭まってくる。今まで通れた道に壁が出来たらそれをよじ登って向こうに行ってみよう、しかし壁が出来てしまうと壁の向こう側がどうなっているか不安である。横から回っても元の道に届くかどうかも不安である。さらにもう1つは元に戻るという撤退という3つの道がある。この閉塞感を解決して行くのがコニュニケーションではないか、最後には究極的にコミュニケーションである。会社に戻れば社員の皆さんと全てのことを共有化するコミュニケーション。仲間ともコミュニケーション、それが大きな連帯に繋がると思う。