人の上に立つ人は、いわゆる苦労人が多い。頭の良い悪いは学業成績でもわかるし、仕事のやり方でも明らかになる。ただ人の上に立って魅力を覚えさせるほどの人は、大なり小なり苦労した人に違いない。
もちろん生まれつきできの良い人もいるでしょう。苦労した経験がなくとも思いやりがあり英明な人もいる。だが、仕事にも人間関係にも苦労した末に人間ができ上がってくるのが順序で、人の上に立つ人の魅力は苦労人の中に見出されると言っても過言ではないと思う。
人を知るためにも、自分自身を点検するためにも知っておく必要性があると思う。困難を経た人と経ぬ人とは、どうしても違いが出ると思う。坊ちゃん育ちは人間が善良でも人に対する思いやりの深さと人間認識が違う。学校出の秀才でトントン拍子にいった連中は利口であっても、どことなく横柄でわがままで「苦労が足らん」と陰口をきかれる人が多い。せっかくの能力が自己発揮にとどまり、人を動かすまでに至らないのは苦労の末の同情心が足りないからだ。人が頼めば世話する人と、頼まれなくても世話をする人がいる。頼み込んだ人によく世話をやき、家庭のことまでも面倒を見るが取り入ることを好まない者は苦しんでいても顧みない。
世話をやくけれども世話のやき方が自分勝手、わがままなところがある。差し伸べる手はことごとく自分の打算から来ている。わが利があればどこまでも世話をするが利益につながらないことは絶対に手を出さない。そういう苦労人も必要な時もあるが親切心からの助力ではないため感謝はされない。一般からは魅力があるとは言われないと思う。良い方面を見ずに悪い方ばかり見る人は損な性分で人の上に立つ人としては魅力は薄い。魅力はどこから生まれるだろうか。人間味の豊かさからでしょうか?