「印刷用紙の今後の動向について」
講師 北海道洋紙代理店会 会長 市 川 州 一 氏 |
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平成20年度第5回理事会(1月9日開催)において、北海道洋紙代理店会会長の市川州一氏(日本紙パルプ商事(株)北海道支社長)を講師に招き、印刷用紙の今後の動向について研修会を開催した。
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ご紹介に預かりました北海道洋紙代理店会会長の市川です。日本紙パルプ商事北海道支社の支社長をしています。平素は皆様方に大変お世話になり、私ども業界、本当に感謝申し上げる次第です。私自身、北海道に赴任して以来4年目に入りました。この6月末で丸4年になります。その間、幾度の値上げや再生紙の偽装問題など諸々ありまして需要家の皆様方にはご無理ご面倒をお掛けしました。この場お借りしましてご容赦願いたいと思っています。 さて、昨今のアメリカのサブプライムに端を発した世界同時不況の中で、我々紙の分野が現状をどのように捉え今後どのように考えていくかということを、私どもの考え、業界の足場、現状の中において、皆様方に少しお話申し上げて、皆様方と限られた時間の中でディスカッションさせていただけたらと思っています。 本日は、時間の関係もあり手抜きをして申し訳ありませんが、今の紙の現状を4つの項目に分けて簡単にご説明したいと思います。お手元の粗末な資料ですがご参考ください。最初のページが需要と供給です。次が今、非常に市況に影響を与えると言われています輸入紙の問題、3枚目がこうした環境の中で作る側のメーカーがどんな状況におかれているか、最後が今後の商品市況としての原材料ならびに紙パルプの製品の市況がどのように見通せるのかということについて話をさせていただきます。 印刷用紙は史上最高の在庫 先ず、需要と供給ということで話をさせていただきます。今、世界同時不況の中で紙パルプのおかれている状況は世界各国同じような状況にあります。世界中で紙が需要減、供給過多、原材料の乱高下による製品市況の下落という状況にあります。時間の差こそあれわが国も同じような状況に置かれています。紙パルプのみならず市況に一番大きな影響を与えるものに需要と供給のバランスがあります。岡部理事長さんがメーカーが減産しているという話をされましたが、減産をしている背景には何があるのかと言いますと、はっきり申し上げて在庫増です。これに尽きます。印刷用紙の主要4品種が、印刷用紙A(上質紙)、A2コート紙(上質コート紙)、A3コート紙(軽量コート紙)、微塗工紙でこれで殆どの印刷用紙が集約され、メーカー+代理店の在庫数量が紙の流通在庫といわれている数量です。4品種計で昨年の8月から両方を足した数量が100万トンを超えています。8月に1,000,339トン、9月も1,036,219トン、10月が1,025,448トン、11月も1,031,751トンです。わが国の紙パルプの印刷用紙の歴史の中で流通在庫が100万トンを超えたのは去年が始めてです。しかも去年の8月から、その100万トンレベルがすでに4ヵ月続いています。販売数量に対する在庫率で言いますと4月が141.6%(1.4月とみる。以下同じ)、5月が133.8%と来て、8月が193.8%、9月と10月が190.0%、11月が何と211.2%です。いわゆる2月分の在庫です。洋紙は昨年の6月に値上げをさせていただきました。我々は在庫が積み上がったのは値上げにおいての仮需の影響と値上げによる多少の需要減によるものだろうと見ていました。それからサブプライムの話は聞かないまでもないが海の向こうの話で、しかも紙パルプに直接的に数ヵ月後にこういう影響が出てくるとは全く思っていませんでした。ところが月を追うごとに値上げが終わってもまだまだ在庫が一向に減って行きません。これはおかしい。実のところ紙もそうした世界同時不況の影響が出ていたのです。中国の紙需要もオリンピックが開催されました8月以前の6月あたりの時点から既に余剰感が出ていたと言われます。わが国においても同じような状況が既に値上げとは別な次元で紙の需要減少>供給過多という状況が起きていたと見ざるを得ません。100万トンという異常な在庫、これら4品種の通常な在庫は80万トン程度と言われています。それからすると20万トン近く多いことになります。 製紙メーカーが減産体制 こうした背景の中、王子製紙、日本製紙は塗工紙を主体に9月から2万5千〜3万トンレベルの減産を開始しました。ところが販売の数字がなかなか上がって来ません。販売の数字をみるとメーカーの国内払出の4品種計で7月は109.3%、6月が101.3%、5月が109.9%、4月が105.4%、メーカーの輸出を除く国内の実需に近い払出がこう推移していました。8月になって一挙に98%になりこれは仮需の反動だという見方もしていましたが、9月に92.2%、10月はさらに悪くなり90%を割り88.6%、11月には80%を割るに近い82.4%になりました。払出を実需に近い数字とみるならば2大メーカーが減産をしても在庫の過多を解消するには程遠いということがわかりました。10月からはメーカー各社も足並みを揃え減産に入りました。それでも10月を締めてみるとさらに在庫は減るどころか積み上がるような状況になってきました。11月になると販売に対する在庫率が211%という経験したこともないようなレベルまで積み上がりました。王子製紙も日本製紙もこれらの品種の減産幅を最大30〜35%としておりましたが去年12月からはさらに上積みして50%近い減産をしているというのが今の実態です。これだけまでメーカーは追い込まれています。卸商と代理店の販売の数字も大体右に倣いで80%の数字が縦並びになっているのが今の状況です。こうした中で減産をしながら何とか市況を維持したいというのがメーカーの偽ざる心境です。はっきり申し上げてメーカーは今の状況を相当憂慮しています。減産だけでまたいずれ需要が戻ってきて販売の方が少しずつ回復してくるという状況であれば別ですが、減産をしてなお販売数量が減っていくという現実に、メーカーはさらなるマシンの停止やリストラさらにはレイオフとかまで考えざるを得ない状況に追い込まれています。これが現在の状況です。新聞記事に需要が10〜15%落ちていると報道されています。11月は印刷・情報用紙が前年比17.3%落ちています。段ボール原紙も14.7%減っています。日経新聞の記事では「07年以降に大型抄紙機を導入してきた製紙各社は戦略転換を迫られている。王子製紙は新マシンの営業運転を当初予定の09年1月から同年2月に延期。今年12月から2ヵ月で印刷用紙を15万トン減産する。北越製紙は9月に大型抄紙機を稼動させたばかりだが12月後半から運転を停止。需要低迷が長引けば原油安や円高の恩恵を失いかねない。09年は1〜3月も紙の需要減少が続くとの声が多く回復時期の見極めは難しい。これまで以上に設備の過剰感が強まり再編の機運が高まる可能性もある」とあります。一昨年から昨年にかけて製紙メーカーでは軽量コート紙の新マシンを4社が新設しました。既に稼動したところもあれば王子製紙のようにこれから動くところもあります。これらのマシンは大体規模的には同じで、設備投資額もほぼ同じです。大体年間35万トンの軽量コート紙ができるマシンです。そのマシンは周辺の設備を全部入れると600億円前後の投資が必要です。設備投資をして今期から稼動させ回収に入っていくはずの機械を休ませざるを得ないという厳しい現実に今、メーカーは直面しています。日本製紙の石巻工場も同じような状況です。そもそも、わが国の4つのメーカーが新マシンを入れた背景には国内の老朽化した生産設備の更新と合理化という観点もありましたが、生き残るには成熟した国内市場から中国など成長市場確保のための国際競争力=コスト競争力確保が必要という考え方を持っていました。それがスタートする前から足踏み状態になっているというのが現状です。製紙は先ほども申し上げましたように莫大な設備投資が必要とされる産業です。王子製紙のように中国の揚子江近くで3,000億円を投じて製紙工場の建設を進めているメーカーもあります。生き残るために避けて通れない設備投資、そして余儀なくされる休転、需要と供給の関係を語る上でも今、メーカーの置かれた状況をご理解いただきたいと思うわけです。 輸入紙が増加 次が紙の輸出入の状況です。需給バランスとともに国内の洋紙の市況に一番大きな影響を与えていくだろうと言われるのが輸入紙の動向です。今、紙がどのくらい入って、どのくらい出ているかをまず頭に入れて、今後、輸入紙がどうなっていくかということを話します。わが国では紙、板紙を含めて数量的には輸入と輸出がほぼ拮抗しています。08年の紙・板紙の輸出は1〜9月で1,146,012トンです。一方、08年の1〜9月の紙・板紙の輸入は959,074トンで輸出が若干多くなっています。アバウトな言い方ですが、紙・板紙は10万トン/月が輸出であり輸入です。先ほど国内の主要4品種で在庫が100万トンに達していると話しましたが、この4品種で国内の販売が約60万トンです。輸入の上質、PPC、コート紙、中質コート紙全部で大体6万トンくらいです。PPCを除くと塗工紙と上質紙で3万余トンです。そうすると国内の洋紙の販売数量が4品種で月に60万トンくらいですのでPPCを除くと僅か5%程度の数量です。ところがどうして輸入紙が注目されるかというと価格にあります。日経新聞の記事に「印刷用紙の輸入が増加している。貿易統計によるとカタログやチラシなどに使われる塗工紙の輸入量は昨年11月で3万301トンと前年同月に比べ38.6%増加した。世界的な景気の減速で欧米の紙需要が鈍っており中国や欧州の紙メーカーが日本向け輸出を増やしている。塗工紙の中で特に増えているのが通販カタログやチラシなどに使われる中質コート紙、11月は前年同月比91%増の2万3,326トンが輸入された。印刷用紙は昨年6〜7月に値上げした後、国内でも需要が減退しているが、製紙各社の大幅な減産で相場が維持されている。一方で中国などでは在庫増による相場下落が進んでいるほか、為替相場の円高傾向もあって輸入紙は国内紙に比べ1〜2割安い価格で販売できるという。塗工紙は2年ほど前から日本への輸入が減っていた」とあります。我々の感覚では輸入紙と5円/キロ程度の開きであれば国内紙を使うというお客さんの方が多い。輸入紙と国内紙の価格の分かれ目は10円/キロ位まで価格差が拡大した時だと思います。このレベルになりますと多少は皆さん考え始めます。それが20円/キロもの開きがあるということになりますと皆さん無関心ではいられなくなります。 したがって輸入紙の数量は少なくても市場におけるインパクトがあるというのはその辺です。例えば、よく言われることにパチンコのチラシなどは、製品に占める紙代比率が50%を超えているような印刷物もあります。こうした印刷物では大幅な価格の開きは即粗利に影響を与えますので余計関心は高くなることがあります。今現在はそこまでの価格差とはなっていませんが、今後の推移には注目すべきと思っています。 輸入紙の課題 しかし、輸入紙を検討していくうえで心配なのは、いつも言われていますが国内紙に比べ価格の振れが短期間でしかも大きいこと、それに量的な制約があるということです。先ほどの新聞記事で中質コート紙は前年比91%増で入ってきているとありますが、中質コート紙は大手通販1社だけでも年間1万トン位使います。そうしたところが先取りしてしまうと誰でも安い輸入紙が手に入るというわけには行きません。思うようにならないから輸入紙は余計扱いも難しくなるわけですが、そうは言うものの価格差が広がれば広がるほど輸入紙への関心と市況への影響力が高まるのは間違いありません。今、メーカーは輸入紙に簡単に市場を奪われないように、いや多少は奪われたとしても価格で応ずる前に、先ずは減産を急ぎ需給をバランスさせ市況を維持していこうという考えです。しかし、入ってくる輸入紙にはなかなか歯止めがかけられないのが厳しい実態です。先ほど流通在庫が100万トンを超えたという話をしましたが、中国では某大手メーカーが100万トンものコート紙の在庫を抱え、近隣諸国に投げ売りをしようとしているとの情報もあります。こういった市場というかメーカーが近隣にあり、その機を窺っているわけですから、水際で止めようとしてもなかなか難しいわけです。おそらく今後輸入紙はさらに増えて入ってくることは間違いないと思います。先ほど輸入紙は洋紙国内需要の5%程度と言いましたが、それが20%にも30%にもなるような入り方はまずしてきません。まともなビジネスとしてペイできるような価格で継続的に持って来るということはそう容易いことではありません。国際的に見ても日本市況はむしろ安い価格帯にあり、彼らにとってそれほど美味しい市場ではないからです。当面、中国の余剰感が解消されるまでは日本に積極輸出してくる可能性は高いと思われます。韓国もそうだと思いますが、いずれにせよそうした状況をいつまでも続けられるわけではありません。 製紙メーカーの経営状況 そうすると国内市況はどうなるのかということですが、減産を強化し実際の需要も減っている中で、安い輸入紙も散見され始めています。そうしたなかメーカーの業績はどうかということであります。日経新聞に09年3月期予想経常利益増減率が掲載されていますが、数ある製造業、小売業を含む全産業の中で、3月の予想経常利益率が上期、下期、通年で前年を上回っているのは数少ないというか紙パルプだけでした。自動車部品は下期は赤字となっています。これを見たら皆さん紙代を下げろと大騒ぎしますよね。ところがこの新聞記事の時点から年をまたいで僅か10日したらメーカーが、10〜12月の第3四半期と4〜12月の連結経常利益の数字を出しました。これがなんと一転相当厳しい数字を出してきたわけです。思った以上に早くさらに悪くなるということで1〜3月の厳しい見通しのもとに急遽下方修正を行ったわけであります。昨日、日経新聞に日本製紙経常横ばいと出ましたが正にそれを物語っています。既に、王子製紙の経常横ばいと12月27日に出ましたが、王子製紙はこれを明らかにした後に、減産強化という観点から富士工場の8号マシンを止めることを決定しました。世の中の動きの始まりと終わりが早いと言ったらなんですが、業績発表をした10日くらいの間に状況はさらに厳しく変化しているというのが今の実態です。これはなにも紙パルプに限ったことではないと思います。日経新聞の1月8日の日本製紙の記事で「収益環境は製紙会社にはプラスとなる円高ドル安や原油安になっているがまだ業績を押し上げる効果は出ていない。足元の減産によって過去に割高な価格で仕入れた原材料の在庫がたまったままとなっており、これを使用してきたことが一因。また輸出事業などでは円高による為替差損も出ているようだ」とあります。要は売りが悪いので古い原料在庫が捌けないということです。また「10〜12月期だけでみると、当初は100億円前後の経常利益を見込んでいたようだが、印刷用紙の減産が重荷となって50億円程度にとどまり、昨年同期比でみても減益になったとみられる。年明けも印刷用紙の減産を続けており需要回復のメドはたっていない」ということです。値上げによって多少、他の業種みたいに浮上したかに思われていた王子製紙、日本製紙の収益も海面に頭を出さずしてもう1回潜ることになりそうだというのが今の状況です。日経新聞の記事に、「王子製紙は主力品種である印刷用紙の減産を1月から強化する。塗工紙を中心に生産能力の約5割にあたる月間9万5千トンの減産に踏み切る。日本製紙も12月から生産能力の約5割にあたる約9万トンの減産をしている」とあります。5割減産は今まで聞いたことがありません。おそらくいくら資産を持っていようと5割減産が1年間も続いたら製紙メーカーは潰れるのではないでしょうか。製紙メーカーは資産があっても借金も多いと言われています。いかに有能な経営陣でも5割もの減産ではまともに経営の舵を取ることは難しいでしょう。当社は流通でありますが、15%〜20%販売減の状況が昨年9月から続いています。おそらくこの状況がさらに3ヵ月、半年、1年と続いていけば赤字は免れ得ないと思います。 製紙メーカーは市況維持 市況ということでは、業界紙に市況の安定が本年最大の課題へと題する記事があり「4台目の新マシンが稼動し、設備増強はいったんこれで終了するが、経済不況による需要減退は昨年後半から顕著となっている。メーカー各社は操短を強化しているが、需要減退の環境下、市況安定を優先した営業展開をすることが収益確保のためにも必要であることを認識して取り組まなくてはならないだろう」とあります。メーカー各社のトップの新年の挨拶は、「何が何でも市況は維持する。たとえ5割の減産がこの先も続いて行くようであっても市況を守っていく」と言っています。それに対して我々はメーカーの代理店でもありますので同じ思いで臨まなければなりませんが、輸入紙も量的には僅かなものですが、これ以上国内紙との価格差が開いてくるようだと市況への影響も全く無いとは言い切れません。このところ、製紙原料が安くなっているので当然メーカーも生産コストは下げられているだろう。それを売価に反映して紙の値段を下げてきてもいいのではないかということを言われることがあります。古紙の価格は輸出古紙に比べると国内の価格下落というか値下がり度合いはかなりなだらかです。輸出の古紙が昨年の9〜10月にかけてなんと1ヵ月の間に価格がピーク時の3分の1に落ちました。輸出古紙に値が付かなかったことも何度かありました。そういう状況の中で国内の古紙もそこまで下がると思った方もいると思いますが、国内の古紙はまだそこまでは下がっていません。新聞古紙でいうならば大体、昨年から今年にかけて3〜4円/キロ位、2〜3月にかけてあとプラス1円/キロ位で都合5円/キロ位下がると思います。国内の新聞古紙が20円/キロ前後でしたので25%位、最大でも3割位のところでとどまるのではないかという見方をしています。それからすると輸出の価格とは古紙に関してはかなりの開きがあります。メーカーも当初、国内古紙価格を輸出価格に連動して引き下げたいという気持ちもあったようですが、製品市況への影響を考え古紙の買値を段階的に引き下げてきているというのが現状です。古紙とは別に目立ったのが、針葉樹や広葉樹の海外から輸入しているクラフトパルプの急反落です。これは毎月のように値段が下がっています。昨年夏場には780ドル/トンであったものが550ドル/トンレベルに、2ヵ月の間に250ドル/トン近く下がってしまいました。瞬く間に3割安になっているということになります。古紙やパルプの輸出入価格推移を折れ線グラフで描くとまるで真っ逆さまに下がっている感じです。現在これらの製紙原料価格は多少戻しつつありますがまだ先は読みにくい展開となっています。 用紙価格の展望 紙の価格がこの先どうなっていくかということを皆さん一番知りたいと思いますが、あるメーカーのトップは当面需要の回復は見込めないだろう、今よりもっと悪くなるだろうとも話しています。紙の国内払出が80%余で来ていますが、もっと悪くなるということは80%を維持できるかできないかのレベルまで落ち込む可能性があるということです。メーカーとしては市況優先ということでできる限り減産を継続します。先ほども申し上げましたが、もし仮に国内紙に価格の乱れが生じたときにはそれは減産を解除した時だと見てもいいでしょう。減産は負の設備投資であります。投資した機械をその間金利を払いながら止めています。これをやっている間は製紙メーカーは価格は絶対に崩しません。しかし、これがどこまで続くのかということであります。メーカートップもさらに悪くなると言いますが、半年、1年以内にはなんとか良くなってほしい、浮上してほしいと期待感を込めています。ここから先、来年になってもまだこの状況から抜け出せないということになれば、いくら大手メーカーといえどもとても我慢できないでしょう。そうなったときの悲惨さは想像したくもありません。しかし、メーカーが下げなくても流通が下げることがあるだろう。それはないとは言えません。流通が下げたとしてもそれは長続きしませんし、ましてや需要減のなかではリスクも付いて回ります。輸入紙に関しては先ほど申し上げたとおり今後かなり市況を揺さぶりかねないとも思われます。しかし、内需の90%以上は国内紙です。国内メーカーはこの枠の中に輸入紙を封じこめることになるでしょう。そうなれば市況への影響も限定的なものになると思われます。本来我々がいちばん憂慮すべきは需要減です。ひとつ申し上げておきたいことは、紙は1990年半ばからGDPに対する弾性値を失い1%も無いような伸び率で推移してきています。紙は1990年から5度前年割れをした年がありました。今、直面しているのが15%近い実需の減です。我々は今から20年前に立ち戻ったような時代での営業、経営、ライフスタイルを含めてそこに立ち戻る勇気も必要ではないかという気がします。私どもは人口減少による明らかな紙需要の曲がり角を2015年あたりからと推測していました。こうした状況がいつまで続くのかはわかりませんが現下の状況を見ると既に5〜6年早くその時期が到来したような気さえします。 今こそ知恵と協調 僭越ですが、今のようなときこそ、こうして印刷組合の皆さんが一つのテーブルで話し合える場が必要ではないかと思っています。組合員数も減少していると伺っていますが、こうした場でアライアンスを組むなり、いろいろな建設的な意見が出てきてほしいと思います。あまり余計なことを申し上げるつもりはありませんが、紙を大事に使っていくという観点では、デッドストックになっているような紙もたくさんあります。Aという印刷会社とBという印刷会社が内容によっては一つの紙を上手くキャッチボールすることもできます。それも組合という場がそうしたことを生み出していくのでないかと思っています。私ども紙流通としましても皆様方のお知恵を拝借し、活かしながら共にこの北海道で強く生き残っていくために努力をしていくつもりです。今後ともよろしくお願い申し上げます。 |
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