1. |
中小企業経営承継円滑法の概要
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中小企業の円滑な経営承継を図るうえで
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(1)民法上の遺留分の制約
(2)代表者交替による信用不安
(3)自社株式等にかかる多額の相続税負担
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の3点に課題があるとされている。
これらを解決するための手段として、中小企業経営承継円滑化法の施行により、遺留分に関する民法の特例、金融支援制度が創設され、また、相続税の納税猶予の特例の創設が予定されている。(平成21年) |
2. |
民法(遺留分)の特例 |
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一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者全員の合意及び手続(経済産業大臣の確認など)を経ることを前提に、以下の民法の特例を受けることができる。 |
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(1)贈与株式等を遺留分算定基礎財産から除外できる
(2)贈与株式等の評価額を予め固定化できる |
3. |
金融支援 |
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経営の円滑な承継のための資金融資制度 |
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(1)中小企業信用保険法の特例
(2)日本政策金融公庫法の特例 |
4. |
相続税の納税猶予の特例 |
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取引相場のない株式等の納税猶予制度 |
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○ |
後継者の自社株等にかかる相続税の80%を納税猶予 |
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後継者である相続人が非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその取引相場のない株式等を取得し、その会社を経営していく場合に、その後継者が80%に対応する部分の相続税の納税を猶予する。そして後継者が対象となった株式を死亡の時まで保有し続けるなど一定の場合には、猶予された税額が免除される。 |
○ |
担保の提供 |
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この特例の提供を受けるためには、原則として、納税猶予となった取引相場のない株式等のすべてを担保に提供しなければならない。 |
○ |
納税猶予が打ち切りになるのは |
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事業承継相続人が、相続税の法定申告期限から5年間、事業を継続していないと認められる場合には、その時点で猶予税額の全額を納付しなければならない。 |
○ |
5年経過後に対象株式を譲渡した場合 |
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5年経過後に、納税猶予の対象となった株式を譲渡した場合には、その時点で譲渡した割合に応じた猶予税額を納付しなければならない。 |
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5. |
納税猶予制度の主な適用条件
(後継者である相続人) |
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(1) |
会社の代表者であること |
(2) |
経営承継円滑化法における経済産業大臣の確認を受けた一定の中小企業の発行済株式について、同族関係者と合わせてその過半数を保有し、かつ、その同族関係者の中で筆頭株主である後継者であること。 |
(被相続人) |
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(1) |
会社の代表者であること |
(2) |
その会社の発行済株式について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、その同族関係者(事業承継相続人を除く)の中で筆頭株式であったこと |
(対象となる株式等) |
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相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、その会社の発行済株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、その同族関係者(事業承継相続人)の中の筆頭株主であったこと |