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DMの今後と動向

副理事長、経営革新・マーケティング委員長 花井 秀勝
パラシュート株式会社代表取締役会長

 昨年から日本の広告費のボリュームは少しずつ動きはじめており、予測だと前年比102.1%の伸び率です。その中でSP関係のDMの前年比は下がっていますが、実際のダイレクトメールは5.8%伸びています。なぜかというと、郵便のDM以外にメール便というのがあって、需要が今非常に大きく伸びています。現在、日本では販促費の5.8%がダイレクトメールですが、アメリカでは19.5%です。広告主に広告経費の内訳を徐々に変えていこうという見直しが増えてきており、DM市場のパイも増えてきています。
 例えば、紳士服の業界が動き始めています。紳士服の折込チラシが4年前と比べて減っていると思いませんか。これは人口減少が非常に影響しています。人間が一生に買うスーツの量というのは約32着というのが平均だそうです。こういったマーケットのパイがある程度なくなってくると、マス媒体から個を対象とした媒体に移行していかなければなりません。しかし、個を対象にやるにしても郵便料金がネックになります。
 そういった中で、ダイレクトメールの市場拡大の可能性はどうでしょうか。マス中心の広告が主流であれば、ダイレクトマーケティングの率は低くなります。ダイレクトマーケティングにかかる費用対効果は、先進国では日本が一番低いと言われております。一方、メーカーの販売チャネルは、小売中心から通販とかメールによる消費者に直接アプローチする動きが出てきました。DMをみると、日本は一人当たりのDM受取り数は先進国で最も低く年間平均44通です。フランスは78通、ドイツは79通、アメリカは329通もあります。ですから日本はまだ倍くらいいけるだろうと推測しています。そこで一番の期待要素に、郵政民営後に向けた郵便サービスの大きな変化が上げられます。料金の見直し、冊子小包、そしてタウンプラスなど、サービス・商品が非常に変化してきている状況です。
 もうひとつは、マスから個へのアプローチ。情報告知の効果検証が非常に難しいのがテレビ、チラシ、新聞、ラジオです。それに比べて、DM、電子マネー、モバイル、eメール、コンタクトセンターなどは、誰が・いつ・何を買ったかということがはっきりします。そのためにクロスメディアが、今以上に必要になってくるのです。
 個の時代に向けていろいろなアプローチ法がありますが、とにかくROI(費用対効果)がどれだけ得られるかというところが非常に重要です。ダイレクトマーケティングのクロスメディア利用をこれからどのように展開していくかがポイントになります。

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