第3回 
『就業規則等の見直し』

〜「継続雇用制度(再雇用制度)の導入」と就業規則等の変更〜

 第1回目で掲載したとおり、平成18年4月以降、段階的に65歳までの安定した雇用確保措置の導入が義務付けられました。そのためには退職事項を変更する内容の就業規則等の改正が必要となり、当然ながら既に就業規則を改定し実施している企業も少なくありません。
 また、実際に、定年前と定年後の処遇条件を異にする嘱託社員などが勤務するのであるならば、その旨を就業規則等へ明記しなければ労使トラブルの原因にならないともかぎりません。
 今回は、『雇用確保措置』の中で実施している割合が最も多いと言われる『再雇用制度』を導入例として、その主な導入手順及び再雇用制度の就業規則規定例を取り上げ、就業規則等の見直しを検討してみましょう!!
〜60歳定年を迎える社員がいる企業の主な導入手順〜
(1)  60歳定年後の職務内容や処遇等を定める
 ここでは、継続雇用制度(原則希望者全員の雇用)の1つである再雇用制度の導入を選択することにします。
(2)  60歳以降雇用対象者となる者の基準を労使協定により書面で定める。
 原則、労使間で協議する必要があります。但し、労使間で協議が調わなかった場合は、中小企業では平成23年3月31日まで、事業主が就業規則で基準を定めることができます。
(3)  雇用対象者へ契約内容を提示することにより実施
(4)  社会保険関係等の届出
 人事担当者を悩ます事務手続き等を含め、社会保険関係の届出をしなければならないことが沢山でてきます。(次回以降で記載予定)
■就業規則規定「例」……再雇用制度を就業規則に規定する場合
 第 条(定 年)
  社員の定年は満60歳に達する日をもって退職とする。ただし労使協定の定めるところにより、
 次の各号に掲げる基準のいずれにも該当する者について再雇用する。
 (1)勤労意欲に富み、引き続き勤務を希望していること
 (2)直近の健康診断の結果、業務遂行に問題がないこと
 (3)職務能力に係る基準を満たすこと
 再雇用期間は原則1年単位の契約とし、前項を勘案して再選考より雇用契約を更新し継続雇用
する
 継続雇用の上限年齢は65歳とする
 満60歳以後に再雇用する場合、賃金の減額等、勤務条件を見直すこととする
 60歳以降の勤務年数に対して退職金は支給しない
 再雇用に関するその他の事項については、別の定める嘱託規程によるものとする。
「就業規則等の見直し」辛口ワンポイント!
 常に進行形で、尚且つ常に課題を含むそれが「労務管理のあり方イコール就業規則等の見直し」ではないでしょうか。またその見直しが企業の実態とかけ離れていては適切な就業規則とは程遠くなってしまいます。それは優秀な人材を流出しないためでもありますが、このところ増えつづけています個別労使紛争の防止にも目を向けなければなりません。そのためには「昔のままの就業規則等」を見直し、やはり社員に周知しておかなければなりません。
小松社会保険労務士事務所 社会保険労務士 小松勢津子

BACK