「設備の共有化は可能か?真のコラボレーションとは!」
平成18年度第2回全道委員長会議・下期北海道地区
印刷協議会・業態変革推進プラン第3ステージ説明会
 平成18年度第2回全道委員長会議、同下期北海道地区印刷協議会が、3月2日午後1時から札幌市中央区の札幌パークホテルで全道から委員60人が出席して開催された。
 また、全体会議の中で、花井副理事長から「業態変革推進プラン・第3ステージ」についての説明が行われ、委員と組合員90人が熱心に聴講した。

〔全体会議・北海道地区印刷協議会・業態変革第推進プラン第3ステージ説明会〕
 最初に、岡部康彦理事長から、「昨年、皆様方とも話をさせてもらったが、紙の値上げについていろいろな動きがあった。そんな中で、私達は製紙メーカー、洋紙代理店、洋紙同業会と話し合いをした。その結果は『北海道の印刷』12月号に掲載した。それと同時にその結果を踏まえて11月30日に日本経済新聞に全5段の意見広告を掲載した。あの文章が活かされるかどうか本当に私も心配しているところである。今日お集まりの皆様は、帰られたら営業の方々にコピーを持ってお客様のところ行って価格転嫁を訴えてほしいと思っている。その後に日印産連の意見広告も載った。2つをペアにして持って歩いて是非価格転嫁ということを頭に入れて進めて行ってほしいと思っている。
 2期目の理事長になった時に約束をした全道支部を隈なく訪問し、組合員の方々の意見を聞きたいという形で動いた。稚内支部を皮切りに十勝支部、函館支部、旭川支部、北見支部、南空知支部に伺わさせてもらった。膝を交えて、酒を酌み交わしながらの話し合いもあった。いろいろな意見を述べてもらい、その中で早速使えるものは使おうということで今意見を纏めている。今年は残り6支部を回って何とかいい意見をもらい反映したいと思っている。
 今日は、後でグループに分かれてディスカッションをしてもらうことにしている。そのタイトルは「設備の共有化は可能か?真のコラボレーションとは!」として、皆さんで話し合ってもらう。このタイトルは何処から出てきたのかというと、6支部を回った時にそのような意見が出た。私自身もコラボレーションとか格好のいいことを言っているが中身は何も分かっていない。今日お集まりの皆さんに議論を重ねてもらい素晴らしいアイデアを発見できたらと思っている。
 今年は選挙の年であり4月の地方選につづき7月に参議院選もある。印刷業界に少しのフォローの風が吹いているのではないかと思っている。是非これを機にこの1年素晴らしい印刷業界になるように期待をしたいと思っている」とあいさつが述べられた。
 つづいて、全印工連副会長の山岡景仁氏から、「全印工連業態変革も第3ステージまで辿り着いた。残りの第4ステージは今のところ発表はされていないが、総括的なことになると思っている。
 皆さんが印刷図書館に来て閲覧される機会はあまりないと思うが印刷図書館が60周年を迎えた。60周年事業の協賛金を募集しているので協力をお願いしたい。
 今年は全国大会の開催がない。『印刷の月』の9月に東京でIGASが開催される。それに併せて全国大会に代る何かを企画する。来年は鹿児島で全国大会を開催する。是非、たくさんの方が参加してほしい」とあいさつが述べられた。
 次に、業態変革推進プラン第3ステージについての説明が花井副理事長から行われた。
 花井副理事長は、業態変革推進プランの背景として4つの潮流と3つの変化による大きな環境変化について説明した後、第1ステージの業態変革ミニマム、第2ステージの原点回帰とツールとしての7keysについて触れ、第3ステージの新創業について、新創業とは起業家精神を取り戻すことと事業領域を再定義し、さらに顧客の役に立つことと説明した。また、新創業のキーワードはワンストップサービスであるとし、アクションプランとしての5Doorsについて、Door1の顧客のことを真剣に考える企業体質、Door2の社会の大変化の認識と対応、Door3のより競争力を高める発想、Door4の独自性を発揮できる武器、Door5の新創業への戦略について解説した。
 つづいて、全印工連事業報告として、武石三平専務理事から「業態変革を全国各地で業態変革推進企画室の委員の方が説明をしているが、大変難しいという声をたくさんもらっている。浅野会長は、業態変革は大変分かり易い、これほど分かり易いものはないと言っている。冊子は分かり易い言葉で書いていて、難しい表現はない。カタカナが多いので注釈も付けてあり、言葉の解説もしている。読むのは分かり易く書いてあるので読めるが、実践は大変難しいということだろうと思う。この冊子を是非読んでほしいことのお願いをさせていただく。先ほどの講演にもあったいろいろな背景から始まり、第1ステージ、第2ステージ、第3ステージまで全て書いてある。端書と奥付と中をパラパラということではなく、是非これを読んで勉強してほしいということをお願いさせていただく。分からないことがあれば冊子の一番後に企画室のメンバーの名前が書いてあるので企画室の方へ問合せをしてほしい。
 約40年振りに印刷校正記号が改正をされた。40年振りということになると当時はまだ活版の全盛の時代であった。それから技術が大きく変わり今はDTPというような形でコンピュータがあらゆる部門、工程で使われるようになった。そういう意味でも校正記号が40年振りに改正されたのでお目通しをしてほしい。校正記号表は日印産連でセット販売をしている。100部単位で販売をしており100部で5,000円になっている。著作権の問題があり無断転載はできないことになっている。社員の教育にも使っていただけたらと思っている。
 生命共済制度の内容を変更した。掛金は変わらないで加入限度額を引き上げた。変更の理由は高齢の方が増えて来たということと定年延長があり高齢者の方々の補償を充実したいということで4月1日から適用していく。是非、共済事業に加入いただきたい。特に経営者の方に加入いただきたいと思っている。
 印刷コラボレーション展を開催する。今年9月に東京でIGASが開催される。全印工連と地元の東京工組でIGASの中に100小間のブースを確保した。コラボレーション展に出展の企業を今、募集中である。先着順であるので活用いただきたい。
 印刷用紙の値上げについて日印産連でも日経に意見広告を掲載した。この広告をコピーして発注先に価格転嫁のお願いをしていただきたい。また営業マンの教育にもなるという声もあった。今までは営業マンはお客さんのところに行って値段を下げることばかり聞いて、それを受けてきた。今回は値段を上げる話を営業マンにさせていきたいということである。一般の消費者の方は原油高ということを十分認識しているが、日印産連では値上げの機会は3月までが限度だろうという話をしている。印刷資材の上昇分を我々印刷会社で止めることなくお客様に転嫁をさせていただく。この機会に是非それをお願いしたいということである。
 今年の夏以降それぞれの製紙メーカーで約120〜130万トンの設備増強が行われる。18年の紙の生産高は約3,100万トンである。その増設された分が中国に行くのか国内で使われるのかによって変わってくるが、130万トンが国内で使われるのであれば需給が相当弱含みになることが考えられる。そういう意味で洋紙の値上げ問題についてはもう少し様子を見たほうがいいのではないか」と説明が行われた。

〔グループディスカション〕
 グループディスカッションは、開会にあたり伊藤専務理事から開催主旨について、「全道委員長会議は、年2回開催されているが、その開催時期と開催方法について、検討をしてきた。昨年1月に開催した理事会において一つの結論を出した。開催時期はこれまでは6月と9月としてきた。開催時期が近いという問題があったが、9月開催は北海道情報・印刷産業展への動員という意味もあり開催してきた。これを10年間続けてきたので所期の目的は達成したという判断に立った。また、6月、9月開催は北海道だけで全印工連の地区協議会と開催時期では異質で運営上アンバランスな面もあったので、全印工連の地区協議会と開催時期を合わせるという意味もあり6月と2月または3月に変更することにした。開催方法は、1回は従来の委員会形式で開催し、1回はテーマを絞り、参加者全員で共通の討議をすることにした。この共通テーマ方式は北海道のオリジナルである。今日のこの委員会が新しい形での第1回の委員会となる。
当初は、2つまたは3つ位のテーマという構想であったが、最初ということもあり今回はテーマを1つに設定し、討議をいただくことにした。先ほど、理事長のあいさつにもあったが、経営者懇談会で6支部を訪問したが、共通の話題となったのが設備投資の問題であった。それは投資金額と稼動時間が反比例するという経営上の大きな隘路であった。2005計画では共創ネットワークというキーワードであったが、それは、もしかするとそれ以前から出ていたかもしれないテーマである。2008計画に入るとコラボレーションというキーワードというか言葉で表現されている。皆さんの話を聞いていると頭では認識をして理解をしているが、実行するとなると理想と現実は違うということを聞く。その原因は各社の経営上の前提条件が多種多様であることはまぎれもない事実である。でも果たしてそれだけでしょうか。そこで、今回の委員会では、『設備の共有化は可能か?真のコラボレーションとは!』というテーマを設定させてもらった。設備の共有化をいう表現をしたが、新たな投資をして設備を持つということだけでなく、既存の設備の共同利用やもちろん新規設備の共同利用も含む。さらにはコラボレーションということになるかもしれないが遠隔地にある設備も含むと理解してもらって構わない。討議は、各テーブルとも副理事長が進行役を務める。グループ討議の時間は、1時間25分である。その後、1テーブル5分を持ち時間として討議内容の発表をいただくので、予め各テーブルで発表者を決めておいてほしい。その後で、理事長集約、各テーブルを横断しての質疑応答を行う。この質疑応答には全印工連の山岡副会長、武石専務理事にも参加をいただく予定にしている。1時間30分程度の討議時間で結論の出るテーマではないので、どうか飾らない本音の部分で意見交換をいただき、次回の委員会のステップアップになれば幸いであるし、各地区での同じような意見交換ができる契機になればと思っているのでよろしくお願いしたい」と説明が行われた。
 次に、5つグループに分かれて「設備の共有化は可能か?真のコラボレーションとは!」をテーマに1時間30分にわたりディスカッションが行われ、討議内容について各グループから発表が行われた。

Aグループ 発表者 井 田 多加夫 氏(旭川支部)
 コラボレーションの定義について厳密には言えない。どこかで設備をした時のお金の分担方法、それぞれのお客さんの情報が相手に伝わるときに信頼関係が維持されるかが懸念材料である。設備の共同利用、共有化を実際に進めて行くのであれば資本の提携、株の持ち合いということからお互いの身内意識を高めていく必要がある。新会社を設立した方がリスクに対するリターンがはっきりする。年賀状の見本帳をそれぞれ作るが、その作成費用も相当かかるので、何社かで共通した見本を作ったらどうかということと、既に実際に運用されているところもある。設備の共同利用、共有化は結局のところお互いの信頼関係がなければ進みずらい。企業風土の合ったところ、同じ価値感を持ったところでなければ進めることは難しい。釧路の例では、今は共同利用、共有化というより旭川の会社にデータを送って印刷をしてもらっている。この方がお金は掛からないし安全であるという意見もあった。
 旭川では2月21日から紙の値上げをしたいという要請が紙商からあり、支部で情報交換をしたところ、上げ方がおかしいということになった。上げ易いところから上げるのでないかという感じがして、この値上げに対しては断固反対しようということにした。組合が各事業体に対してどうしなさいということができる立場ではないが、情報を取りながらそれぞれが交渉してほしいという文書を各組合員に配布した。印刷組合は初めて組合らしいことをしたという組合員もいた。
 北印工組では、昨年、北海道庁に最低制限価格70%復元の要請をしたが、上川支庁は最低制限価格はない。仕事が少なくなったのもあるが現在は状況が悪くなっている。組合員から申し入れの要望があったので支部で検討し実施することにした。上川支庁だけでなく他の支庁でも申し入れをしてもらうとそれだけ力が大きくなると思う。

Bグループ 発表者 佐 藤 敏 夫 氏(釧根支部)
 個人的見解で申し訳ないが、今回のテーマには不安定なものを感じる。実際の印刷営業では信用をかなり捨てて受注合戦が行われている。釧路は仕事が減っており価格も厳しくなっている。同一エリアの機械の共有化は、設備の有効利用ということで言葉尻はいいが、本当の印刷会社同志の信用関係、信用が積み重なった信頼、本当にこういうものを構築する気があるのだろうか。設備の有効利用、地域の格差が上手くいくようにはどうしたらいいのか。あくまでも人間関係の信用が第一である。突き詰めるところ人間関係をどう構築していくか。社長同志がどう手を結んでいくか。営業段階においても一定レベル以上の営業ができるには計算するだけのセールスマンでは駄目でありレベルアップが必要である。組合ではどのようなことを考えてこういうテーマを出したのか。

Cグループ 発表者 山   浩 司 氏(札幌支部)
 旭川支部から紙の値上げの状況について聞きたいということがあり意見交換をした。結果、現状では各地区で紙の代理店は統一された形をもって話し合いをしている訳ではないのではないか。状況見の段階と思う。昨年、紙の価格は上がったが、今回は場所によってまちまちの状況ではないか。各企業ごとの話し合いになっている。
 主題のテーマについては、印刷会社の現状として機械設備が多過ぎる、価格は一般ユーザーにとって叩けばいくらでも下がるという認識がある。設備の共有は可能かという以前に、そういう方向に持っていかなければならない。営業とか企画、制作等いろいろな仕事の形態があるが、設備を共有化する方向に持っていくと印刷を加工するということとは別の形態が出てくる。機械があまりにも多過ぎるという現状の中、逆にそれをやっていくべきではないか。進めていく上でいろいろな問題点が出てくる。設備を共有化する上でそれぞれの企業が特化することが第一の条件である。特色を持った企業同志でなければ共有化は難しい。経営者の意識を本気で変えられるかどうかが一番大きなポイントになるのではないか。実際に共有化をして売上げが上がっていく状況の中で、その仕事を出しているところが設備をしてしまったら話にならない。企業同志の信頼関係が築けるかどうかが大きな課題になってくる。共有化をしていく上での問題点もあるので議論が必要である。共有化を進めていくと最終的には合併という状況になるだろう。それが良いか悪いかは分からないが、社長が1人要らなくなる。自分たちも選んで最終的には選ばれる会社、スピード感のある会社、安心安全で良いモノ作りができる会社にしたい。共有化をする上で一番大切なのは意識改革である。

Dグループ 発表者 谷 川   敞 氏(旭川支部)
 我々Dテーブルは花井副理事長のコーディネーターの下でどちらかというと情報交換をしながら花井副理事長の意見を聞くということが多かった。設備の共有化については地域の格差はあるが、お互い不文律を守りながら共有化して仕事をしていくことが主眼である。地域の仕事は地域から出したくないという意見が多い。できるだけ地元の仕事は地元の仲間を使い合おうという意見であった。他が持っていない設備をしていこう。そうでない限りは設備の共有化ということにはなっていかない。コラボレーションも出来にくい。外注先を完全に決めてそこにしか頼まないという形で仕事を進めているのが現状である。組合が仕事の橋渡しを行っていくのも大事なことである。会社同志の信頼関係が大事になってくる。仕事をする場合に同じエリア内だけでなく他の地域とのコラボレーションも必要である。同じ地域内で仕事をすると不文律が守られないことも出てくる。グループ化したところで商品開発をして、エリアを越えたところで受注をすることによって生き残りが図られる。各支部で支部内での特徴を出す。活字組版の得意なところであれば全国の活字組版をその地域が受注する状況をつくる。情報の共有化をする。北見支部ではカーボンを塗ってくれる会社がない。旭川支部にはカーボン印刷を行う会社がある。これから北見支部は旭川支部のその会社に仕事を出してもらい、旭川の会社は売上げを上げることによって旭川支部は生き残れるのではないか。ネットを上手に使ったビジネスを行う力をつけていく。デザイン力を高めていく。印刷会社がホールディング化してそれぞれにあった選択肢を持った会社を作って企業合併も含めて共同化して生き残っていく。各支部のいろいろな意見交換ができたことが今回の利益ではなかったかと感じている。


Eグループ 発表者 辻   憲 一 氏(函館支部)
 機械の共有化は将来に向かってそういう形がいいというのが結論である。それまでの間にいろいろな問題がある。地域の中にグループを作り信頼関係を築き仕事を頼むとか機械を利用させてもらうことを少しずつでも進めていく。通信でデータのやり取りができ、地域差が無くなってきていて、時間的なことも解決できるので、お互い信頼関係を持ちながらやっていけるはずである。最終的には合併が一つの選択肢ではないか。札幌、旭川で大手が合併したが、結果は人の問題、機械の問題等非常に難しい問題がある。最終的にはそういうところまで行かなければならないという話であるが、実際難しい問題がある。まとめとして、将来的には機械の共有化は必要である。
 函館は合併し瞬間的に人口が30万人になった。今は29万人強である。合併して仕事が増えたかというと実際そういうようにはならない。どんどん売上げが落ちて行き、利益も出てこない。そういう中で新しい設備投資ができるかというと、実行したとしても機械代を払っていくという状況にならない。お互いの機械を利用しながら行くべきではないか。
 旭川支部長から紙の問題で連絡をもらった時には、函館では具体的な動きは無かった。その後、問屋に聞いたところ、ぼちぼち話を出しているということであった。価格交渉ではなく、状況がこういう状態なので近々値上げになるので理解してほしいという話をしているとのことである。函館は3月21日から上げるという話である。

 各グループの発表に対して、岡部理事長、山岡全印工連副会長、武石同専務理事から感想所見が述べられた。

理事長集約 岡部理事長
 地域別に全道の人達が話をできるようにグループ分けをし、今回初めての試みとして設定をした。初めての人に急に話をして、直ぐ仲良くなれといっても無理な話であるが、その中でも何か見つけ出すものがあればいいという基本的な考え方で進めた。テーマを「設備の共有化は可能か?真のコラボレーションとは!」にした。先ほどBグループから何故こんなテーマになったのかということがあったが、今、印刷業界は変わろう、変えようとしている中にある。業態変革の講演の中にもあったように、重要なのは共有化とコラボレーションをやっていかないと駄目ではないかというヒントがあった。私も6支部を回った時にこのような話をいただいた。例えば、CTPは自社ではそんなに使うことがない。1,000万円の機械であれば5社が集まって1社200万円であれば協力できるというような意見もあった。そんなところからこのテーマを考えた。
 私はフォーム印刷の会社である。一昨年、札幌市内のあるフォーム印刷会社が自社の機械は古くなったが、新しい機械は入れられないので工場を閉鎖して、営業だけは続けたいということになった。何処で印刷しているというのは禁句という条件で受けた仕事を印刷してくれないかということであった。当社を入れて3社で受けることにした。値段については高いか安いか分からないので取り敢えず1年間やってみようということでやっている。これが非常に上手く行っている。これも一つの共有化というかコラボレーションになるのではないか。
 これから出てくるICタグの問題がある。この機械設備をするのに1億2〜3千万円かかる。我々は仕事があるかどうか分からないのにそんな設備はできない。ICタグに取り組もうとしている会社の社長と話をして、札幌のフォーム印刷業者は機械は入れない。その代わりそういう仕事を受注した場合はそこに全部お願いをする。それは極秘にすることとして実行することにしている。当社はICタグの仕事は1件も受注していないし、そこもまだ機械を入れていない。それも一つの機械の共有化ということになるのではないか。我々中小零細企業は、今いろいろ設備をしても大変である。それなら何とかグループ化をして行ってはどうか。それには先ほどから話が出ているように、先ず経営者同志が親しくならなければどうにもならない。昔、仕事を出したらそこの営業がクライアントのところに行き、これは当社でやっていると言い、10円のものは8円でやるということがあった。そういう次元の低い人との付き合いだけは皆さんやめましょう。本当に信頼できる者たちが集まって、そこで何回も話し合いを重ねて行ってほしい。先ほど話のあった株を共有することでもいい。今日初めて会った人たちもいると思うが、酒を飲んだり語り合ったりしながら、この人となら組んで行きたいという人たちでグループ化をして行くのも一つの手である。そうした中で合併という話もあったが、今、大企業で合併ということが起きているが、そのうち中小企業にも来るかもしれない。合併のことはよく分からない。
 ドイツやアメリカでは営業専門、昔でいうブローカーが増えている。その人は仕事を受けたらこの仕事は何処が得意だというようにして仕事を振り分ける。アメリカではディストロビューターというようである。アメリカの印刷会社はディストロビューターからの仕事を受けるところが多くなってきている。ドイツではそういう人は工学博士くらいの身分である。印刷は決して蔑んだものではない、素晴らしい情報産業の中にあっての印刷製造業である。我々は情報産業で製造業ではないと言っても機械を使って印刷をする製造である。美しい言葉でいえば情報産業の担い手であるとなるが、やっぱり製造である。その中で如何に皆が上手に生活していくのか、そして如何に安い価格でなくいい価格で、従業員に少しでも多い給料を払って、優秀な人材がどんどん会社に入ってくれる。そうなると印刷業はハイレベルの業態になっていくと思う。答えになっているかどうか分からないが、いずれにしてもいただいた意見は整理し、三役会で取り上げ煮つめていきたい。できるだけいい答えを皆さんに発信したいと思う。


全印工連集約 山岡副会長
 価格の問題が出ていたが、北海道だけの問題ではない。価格の問題は何処に行っても同じである。発表にもあったが機械設備が多過ぎるのかもしれない。そのため機械を回すために仕事を取ってしまうという話が東京でもたくさん出ている。原価管理をしっかりしないと価格は下がるだけである。ひどい話では赤字になっても平気で取っていくところがある。それを防ぐためには、原価管理がされていないと、取った仕事が儲かったのか、損をしたのか分からないということになる。一度、原価管理をきちんとしていただいてこの価格以下では取れないという皆さん方の考えをしっかり持っていただければ価格は下がらないと思う。
 印刷用紙が3月21日から値上げするという話があったが、東京でもそういう話が随分出ていた。値上げの時の最初の話は原油が上がったのでどうしても値上げをしなければならないと紙屋さんは一生懸命言っていた。今、原油は下がっている。それでどうして上がるのか聞きたいと思う。相手が何かを言って来たからはいそうですかということではなく、分かりましたという返事だけはしてはいけないそうである。紙屋さんから値上げしてほしいと言ってきたときには分かりましたとは言わない方がいいそうである。そこのところは逃げておいて安いところから買いましょうということにした方がいいと言っていた。
 東京の場合は、製版、刷版、製本等分業化されているので共有ということができるが、地方では近くにそういうところがないと自社で全部設備をしなければならない。そういう点では本当に大変だと思う。共有化の話では、皆さんが設備をオープンにして、こういう仕事が来たけれど出来るかというようにしていくのがいいと思う。
 先ほどの講演で、東京に行って仕事をしなさいという話があったが、今、東京に地方の印刷業者が1,400社以上来ている。はっきり言って価格を安くされている方もいる。東京は確かに仕事は多い。浅野会長は「東京の人間は甘い、仕事があるからのんびりしている。地方から来て一生懸命やっている」ということを随分言っている。何はともあれ印刷物がなくなることはないという話をいろいろな人から聞いて、私も安心している。印刷物が最終的になくならないものはお札である。これは刷るところが決まっているのでしょうがないが、自分のところで刷れたら一番いいと考えている。本当に厳しい時代に入ったが、皆さん方はどうして原価を維持して、的確な価格で仕事が取れるように頑張ってほしい。地方の場合は企業の本社が東京に移ったりして仕事が少ないと思うが、今現在ある仕事で何とか上手くやっていただければと思う。
 市町村合併で3市が1市になったら伝票や何でも印刷会社は1社になってしまう。量が増えるかと思えば量は増えないそうである。そういう意味でも仕事量は減ってきている。たくさんあった銀行が今は都市銀行は3つしかない。仕事量は増えたかと思ったが減っているわけではないが大して増えていない。カレンダーをみれば分かると思うが、そこのエリアに配るだけであるので、同じようなところが一緒になっただけであるのでエリアが増えるわけではない、数も増えるわけでない、仕事量は減っている。これからデジタル時代に入り、自分のところでは出来ないが通信で他所に頼めばなんとかなる。
 聞くところによると新聞社もかなり厳しくなってきたという話が出ている。厳しい話ばかりであるが、一番楽しい話は皆さんがこうやって集まり、何とかやっていこうという話し合いができるだけでも幸せと思っている。
 価格を下げないためには、原価をチェックしていただきたいということをお願いしたいと思う。


全印工連集約 武石専務理事
 業態変革は現実、実際に行うのは大変に難しいという話を聞いた。理想だが実際にこれを行うのは難しいということだと思う。ただそれをやらないと印刷業、個々の印刷会社は生き残りが大変難しいということで業態変革推進企画室でこのプランを作った。印刷業界の目指すべき方向性を示した。私どもは印刷で飯を食べているので印刷には非常にこだわりがある。少しでも良いものをお客様に提供したい。立派なものを提供したい。ところが世の中はそういうものを求めていない世代がどんどん増えている。そういう意味でも私どもも意識を改革して行かないとこれから非常に難しいと思う。経営される方々の意識改革が第一であるという発表があった。私ども自身がもう一度自社のあり方を見詰め直して業態を変えて行くことが何よりも求められている。出来ない理由をいろいろと並べたらキリがないと思う。地域の事情がある、人もいない、物もない、金もないというような理由を挙げるとキリがない。後ろ向きではなく前向きに理想に一歩でもあるいは半歩でも近づくように努力をしていきたいと思う。個企業の状況に当てはめると大変難しい課題がたくさんあると思う。ただ、難しいだけでは5年先、10年先がどうなるのか分からない。全印工連でも皆様のお手伝い、ご支援ができるようにさらに頑張っていく。印刷業界の明るい未来を作っていきたいと思っているので、ご協力ご支援をお願いしたい。

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