新春経営者研修会開催
ペーパーメディアの将来と印刷会社の役割
100人が熱心に聴講
 新春経営者研修会が、1月10日午後2時30分から札幌市中央区の札幌グランドホテルで、講師に東京電機大学出版局次長の植村八潮氏を迎え、「ペーパーメディアの将来と印刷会社の役割」〜紙情報と電子情報は並存するのか〜をテーマに100余人が出席して開催された。

 研修会は、植村講師が、出版市場が1996年をピークに売上高、刊行点数ともに減り続けているとし、その中で電子出版への期待がますます高まっていることについて、「ペーパーメディアの将来に対する不安が出版界にあるのではないか」とした。
 問題としては、電子書籍には紙の本や新聞が持っているような再生装置が不要、空間の把握性が容易といった利点がなく、わざわざ不便な環境でしか読めない仕組みを作ってしまったとした。
 しかし、百科事典や辞書のようにデジタル化に明らかに向く種類の本もあり、紙の上にインキで情報を載せる媒体だけを今は「本」と呼んでいるが、将来は電子ディスプレイで読む電子書籍も本と呼ばれるように概念が変わる可能性があるとした。
 また、デジタル技術が進展する中で、今の印刷業界は価格の安さだけの勝負であり、デジタル化によって付加価値をアップしなければ生き残りの道は難しいとも指摘した。
 大事なのは、ペーパーが残るか、電子媒体が残るかということではなく、両方の特徴を見極めて、用途に応じて使い分けをすることであり、そこをうまくとらえるとビジネスチャンスは広がるとした。
 今は、出版業は、ケータイやWeb、ブログ、eメール、SNSといった新しいメディアによる文字データ流通の一部になった。目の前の現象を正しく理解し、自らデジタルメディアを作り出す印刷会社となってほしいとした。
 最後に、「未来を予測する最良の方法は、未来を創りだすことだ!」という言葉を紹介して研修会を閉じた。

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