と、仮に考えてみよう。そうすると「でも社員の教育はどうするの?」、「しかし経営に不可欠な情報は自分で取得しなきゃならんなぁ」、「そうは言っても官公庁との取引改善の働きかけは誰がしてくれるの?」、「印刷という業種はあっても業界は消失しちゃうよね」とか「経営者も井の中の蛙になって料簡が狭くなるね」等々の思いが続出する。その結果「やっぱり組合は絶対必要だよね」という組合肯定論に帰着する。これを『NO BUT YESの法則』と言うそうである。
逆に、「組合は素晴らしい組織である」と全面肯定して論を進めるとどうなるか。そうすると「でも……」、「しかし……」、「そうは言っても……」とか「but etc.……」が続いて、結果的に「組合なんてやっぱり必要ないよね」という組合否定論になってしまう。これを、『NO BUT YESの法則』と言うのだそうである。
実に人間の心理をついた面白い法則だなぁとつくづく思う。しかし、ここで大切なのは、この二つの法則のどちらが人間を幸せにするかということである。主題を変えていろいろやってみると分かるが、それは前者なのである。強く否定することによって初めて美点や長所を浮かび上がらせることが出来るのだ。
つまり何が言いたいかというと、組合を否定することは簡単であるが、そこで歩を止めて頂きたくないということである。今一歩進めて目を見開いて“自分にとってのメリット"を一つでも多く探し出して欲しいということである。「でも…」「しかし…」を重ねて最後は組合の役割を見つけ出して頂きたい。よしんばその人にとって結果が否としても、私達はその努力だけは続けなければ印刷業に身を置く者として余りにも情けないのではないだろうか。
旭川大会が終わった。心にしみる実に良い大会だった。旭川支部の面々の気概がそこかしこに感じられ頭が下がった。秀峰大雪連山と滔々と流れる石狩川の神聖なる大地が育んだ素晴らしい風土に思いを馳せながら、色々と考えさせられることも多かった。とりわけ嬉しかったのは全道から馳せ参じた組合員の一人ひとりがこの組織のもとで明日に向かって建設的に、前向きに、ポジティブに大いに意気を高めあった、そのたぎる情熱を共有することが出来たことだ。この炎が次の帯広大会まで燃え続けることを祈るとともに、その時までに組合の存在意義も更に一段と高まっていることを心から期待したい。実行委員長が仰った「本当に厳しい状況だからこそ…」の一言が頭から離れない。