「業態変革推進プラン-全印工連2008計画」説明会開催
 「業態変革推進プラン-全印工連2008計画」説明会が、平成16年度下期北海道地区印刷協議会の第2部として、1月11日午後2時45分から札幌市中央区の札幌グランドホテルで、講師に全日本印刷工業組合連合会業態変革推進企画室委員の木野瀬吉孝氏(木野瀬印刷株式会社代表取締役・愛知県春日井市)を迎え、80余名が出席して開催されました。
 講演要旨を紹介します。                  (文責:編集部)

〔第2部〕

「業態変革推進プラン−全印工連2008計画」

全日本印刷工業組合連合会業態変革推進企画室委員
木野瀬印刷株式会社代表取締役
木野瀬 吉 孝 氏

はじめに

木野瀬吉孝氏

 「業態変革推進プラン-全印工連2008計画」の説明会という話ですが、皆さんのお手元に「業態変革推進プラン-全印工連2008計画」の冊子が行っていると思います。一番後の頁に載っている委員会のメンバーで激論に激論を重ねこれを作り上げました。2005計画を皆さんはご存知だと思います。私自身、印刷組合にあまり興味はありませんでしたが、2005計画が出た時から私の意識が変わりましたし、組合自体が変わって行くと本当に感じました。ただ2005計画というのは凄く細分化されていまして、自分達の業態に合わせてもあまりにも細分化されていると、どれをとって、どうやって行っていいのかという若干の弊害もありました。それをもとにこの2008計画を始めましたが、毎月、東京に集まりまして3時間の激論を交わして、何か発言すると、その人に役割がまわってくるということになってしまいました。この冊子をまとめるにあたりましても第1章から第5章までありますが、これにはリード文がないとその章ごとに何が書いてあるか分からないのでリード文が必要ではないかと言いましたら、全員がそうだそうだと言い、そうしたら木野瀬やれということになり役割がまわって来ました。そういうことの積み重ねでこの冊子ができました。冊子の内容を熟知するだけであれば冊子を読んでいただければそれで終わってしまいますので、そうではなく業態変革を誰のために、どんな方法で、さらにもっと大事なことはどんな精神で実行し、最終的には本当に実現するのか、そういうことを皆さんと一緒に考えて、皆さんの心の中へ訴えることができましたら、それで私の講演は二重丸としていただきたいと思っています。ですからこの冊子から脱線することが度々あると思いますが、その時は講師選びが間違っていたとご容赦を願います。

業態変革とは何か

 先ず、業態変革とはどういうことかです。変化と変革です。変化はディフェンスで受動的なこと、要するに時代の流れに沿って時代が変わっていく、それに乗って自分も変わって行くこれが変化です。変革とはオフェンスで能動的に自分がどうしたいのか、どうするのか、先ほど言いましたようにそれは誰のためにということです。これは結論から言います。お客様のためにです。業態変革は、お客様のために我々の業態をどう変革させて行くか、自分たちの会社をどう変えて行くか、自分たちの会社の社員の意識をどう変えて行くのか、そのありようだと私は理解しています。今年の当社のスローガンは、「変化から変革へ」です。はやり社員一人一人の意識、私自身の意識です。そこからを原点として能動的に変えて行かなければ何も変わって行きません。お客様のためにと先ほど言いましたが、では客様は何を求めているのかです。
 皆さんは、お客様は何を求めているのかを真剣に考えたことがありますか。価格だというケースもあるでしょうし、綺麗な印刷物だというケースもあるでしょう。我々はその役目を担っています。しかし、今残念なことにお客様そのものがどうしていいのか分からない時代なのです。昔はお客様の要望に応えていれば、それで私たちの仕事はOKでした。こういう印刷物をこういう時までにこういうように作ってくれ、それから次にはこういう販促物をデザイン化してくれないか、そういうことに応えていればよかったのです。しかし、その方法が正しいのか、また本当に効果があるのか、また次の戦術はどうしたらいいのか、お客様自体が全く分からない時代に入ってしまいました。そのように思っています。そういう時代に私たちが何をするのか。多分この地区も一緒だと思いますが、チラシは週末、年末になると凄くたくさん入ってきます。特にボーナス前の商戦になると多い時は我々の地区でも50枚位は入ってきます。その内容はどういうものかといいますと住宅関連が圧倒的に多く、その次にスーパー関係、自動車、エステ・健康、その他の大型店というところで大体集約されるのではないでしょうか。ではバブルの頃、またそれより以前は、どうであったでしょうか。私がこの業界に入ってから25年くらいになります。そのころは近所の喫茶店の開店1周年とか3周年という、そういうものがチラシとしてありました。それを我々のような小さな印刷会社が刷っていました。しかし、今はそんな注文はどこにもありません。チラシと言えば大型店、大型店と言えばオフ輪、大量生産で大量なものです。では、小さいところは商売をやっていないかと言えばやっています。やっていてもどのようにしたらいいか分からなくなっています。そういう時に我々は能動的に何をするのか。そこがお客様のために考えるポイントではないかと理解しています。

日本が直面している変化の原因

 日本が直面している変化の原因に4つの潮流と影響ということがあります。国際化、高度情報化、少子高齢化、成熟化です。これは一瞬聞いていると凄く耳当りがいい言葉ですが、下手をしたらこれらは全部、我々の今までのことの足を引っ張ります。見方によっては相当足を引っ張るということであります。特に少子高齢化は圧倒的にお客さんを無くしているということです。例えばここはホテルですので結婚式もやっているでしょうが、少子高齢化になった時には、ましてや成熟化社会の中で結婚率が落ちていますので当然結婚式の数は減っていきます。昨日は成人の日でしたが新成人の数が我々の時は220万人でありましたが今年は150万人でした。それだけの人数が少なくなった時にどうなるかです。お客さんの数が少なくなって来ます。自動車学校もそうであります。圧倒的に免許を取る人が少なくなっています。名古屋の自動車学校は次々と潰れたり、店閉まいをしています。何故かといいますと、主婦層も完全に若年層の時から免許を取ってしまいました。そして18歳人口がどんどん減少しています。そうしたら益々キャパが少なくなってしまいます。
 高度情報化は我々にとってプラスになるようですが、少し見方を変えると印刷物を必要としなくなるような社会を生み出していますし、素人のプロ化です。年賀状はプロが作っても素人が作っても変わらない出来栄えになってきました。逆に下手な印刷より個人向けプリンターの方が綺麗な印刷ができます。プロに頼むとくわえがいるので縁に白が出来ます。アマチュアが作ると縁まで綺麗に印刷が出来ます。これは本当におかしいですよね。でもそういう時代になってきているのです。ここの中で特に考えていただきたいことは、私は少子高齢化、ここだと思います。少子高齢化の中で私たちはどういう経営をしていけばいいのか。また、していかなくてはいけないのか。いろいろと問われてくると思います。今、フリーターとかニートとかそういう言葉で一括りになっていますが、そういう人口が物凄く増えています。場合によっては使い勝手のよい時もあります。当社も年賀のビジネスを昨年始めました。声をかけると手頃な年代がたくさん集まります。3ヵ月間目一杯働いて、また休むという人間がたくさんいます。補償をしなくてもよく凄く使い勝手がいいのですが、本当にこれでいいのか、本当にこのような経営の仕方でいいのでしょうか。確かに我々は労働集約をして経営をしなくてはいけませんが、そこの中でも使命というものがあると思います。印刷業には印刷業の使命、その前に企業としての使命があると思います。そこの中で、少子高齢化の中で有用な人材がきちんと税金を払えるようにする責務が経営者にはあると思います。これは印刷業だけは例外というわけにはいかないと思います。当社でも、女性のデザイナーは、結婚をするとパートになりたいとか、在宅でやりたいとか、少し休みたいとか言います。私はそういう時、叱ります。どうしてパートになりたいのか、どうして自分の価値を下げるのか、君は定時から定時で十分能力があるのだから、それを踏ん張ってやれば今までの価値を保てるではないか。パートになって喜ぶのは私だけだよと言います。何故かといいますといろいろな仕組みでお金をかけなくても良いからです。ましてや、ご主人の扶養に入るから103万円以下にして欲しいと言って来ても喜ぶのは経営者だけであります。確かに嬉しいのですが、本当に労働集約、本当に強い集団、強い会社、それから本当に強い全体の会社作りには、私は絶対プラスにならないと思います。そんなことも印刷業の経営者として一緒にお

3つの大きな変化

 スクリーンに映っています絵と文書は全印工連が作りました。これからどんどん怖い文書が出てきますが、私はよくこれだけ思い切って我々に脅しをかけるようなものを作ったものだと感心をしています。なかなか組合というものはそこまで踏み込めませんでした。これでいいのかというものをたくさん作っていますので見ながら味わってほしいと思います。
 3つの大きな変化のうちの主役は、先ほど言いましたようにお客様のためにです。全てお客様のためにです。昔はどうであったかといいますと産業を育成しなければいけませんでした。ですから構造改善事業とかいろいろなことを実施し生産者側を守ってくれました。生産者がやり易いような仕組み、そして雇用を作り易いような仕組みを国が守ってくれました。そこに安住していました。ですから我々も考えることといったら今度いつ機械を入れ替えるか、そしてそれをいつまでに償却するのか、それにはどれくらい回さなければいけないのか。そんなに簡単なものではありませんでしたが、凡そそのようなことを考えていれば経営ができた時代がありました。何故かといいますとお客様が勝手に大きくなって行ってくれたからです。先ほどの少子高齢化、成熟化によって商圏が少なくなるのとは逆で、どんどん肥大化して行きました。役所でも税収が伸びてくるので広報の発行部数は平気で増えて行きました。そんな時代がありました。それから完全に主役が消費者に変わって行き、その目線に合わせなければなくなりました。ですから消費者が一番ということになります。例えば、個人情報保護法(Pマーク)、ISOなどは、全部自分たちのためにではないのです。ユーザー、クライアント、その先の消費者、その人達のためにあります。つまり主役が完全に変わってきたわけであります。それから競争相手が変わりました。以前はここに集まっている人が競争相手でした。でも今は違います。先ほど言いましたように、昔、年賀状を素人が刷るということは思いもよりませんでした。作ったとしても版画くらいでした。それが今は玄人より綺麗なものが出来るようになりました。それと同時に学校内の校内印刷も変わりましたし、それから伝える手段も変わってきました。Web上でいいというものもたくさんあります。それから一番我々を苦しめていることは速度が変わりました。セブンイレブンというコンビニがありますが、朝の7時から夜の11時まで、そんなに長く営業するという驚きを与えるネーミングでありました。ところが今はセブンイレブンではありません。1日中です。それが当たり前になってきました。我々はそこの中でどういうことをどのように構築しなければいけないのかです。ここも一つの大きなポイントだと思います。こういうことを一つ一つ解決していく方法が、先ほど言いました誰のためにの次に出てくる、どんな方法でという方法が

技術の専門性が薄れた

 それに付随して技術の専門性が薄れました。ここに懐かしい言葉が並んでいます。活字、植字、製版、それが70年代でした。私の会社も最初入ったころは活字の馬があり、職人が活字を拾いそれを組んで、また元に戻していました。今から考えてみると凄くのんびりしたいい時代だと思いますが、これが完全に変わりました。それから写植から電算写植の時代に変わって行きました。その後のトータルスキャナで、この辺りからデジタル化の投資が始まりました。次にDTP、イメージセッタです。製版はDTPが謳歌できた時代です。95年にCTPが始まりました。そしてWindowsです。最終的にどうなったかといいますと印刷技術の専門性が薄れたのです。今はお客様からデータをもらいそのまま刷るものが本当に増えています。加工して印刷するものも増えています。オンデマンドビジネスとも言われていますが、そうではなくてもそれに類するものが皆さんの周りにどんどん増えてきていると思います。

印刷産業の出荷額の消失

 冊子の24頁にグラフがありますが、1991年に印刷産業の出荷額は9兆円に迫っていました。この頃、印刷産業は将来14兆円産業になると言われました。これから増えて行ったらどうやって機械を揃えていったらよいかということを考えていた時代です。それから下降線を辿り、今は15%以上、下がっています。どうして下がったかといいますと、プリプレスのデジタル化により2.9兆円が消失しました。昔はマスクがどうだとか製版一つにしても凄い手間をかけて凄い料金をとっていました。それを証拠に製版会社は物凄く設備投資をして、その時代を謳歌しました。その製版会社はさぼっていたかというとさぼってはいませんでした。ずうっといい仕事をしてきました。でも残念なことに技術革新によってお客様はそれを必要としなくなってしまいました。もう一つは印刷の価格低下により1.4兆円が消失しています。北海道は官公需で既に物品販売から製造請負に変わって、入札の最低制限価格も実施されていると聞いています。全国的にその勢いを持っていかないと揺り戻しが来るような気がしてなりません。ですから北海道の方にお願いしておきたいことは、道内以外の印刷業者に北海道はこうしているのに、お前のところは何をやっているのかとどんどん言ってください。そうでないと何かのときに逆の潮流が来たときに同じようなことになってしまう可能性があります。愛知県も北海道、東北地区、香川県を真似てこれを進めようとしています。しかし、愛知県の場合は幸か不幸は景気がそんなに悪化していない部分があります。トヨタとか万博とか中部新国際空港の開港を控え、そういう風潮ではありません。こういう時は逆向きのそういうことは物凄く弱いと思います。北海道で成功したということをどんどん吹聴していただきたいと思います。

価格競争は愚かな行為

 冊子の6頁に「価格競争は愚か行為です」とあります。価格について中村前全印工連会長が、「第1は経営者のモラルです。経営者のモラルは経営者の価格戦略であり、経営者が価格をどのように戦略化するかが大切です。価格を現場の営業マンに対応させているのでは経営者の資格はありません。価格は経営者の責任です。」と整理されています。大手の印刷会社が全て悪という言葉は使いませんが、大手の印刷会社は損益分岐点を越えると何故か売上げを達成したがります。そうすると無茶苦茶な価格で持っていくことになります。こちらの北海道地区のことはよく分かりませんが、そういう傾向が我々の近辺にはあります。そういうような無意味な我々の仕事の価値を無くすようなことを止めない限り先ほどの低落傾向には絶対歯止めがかからないと思います。

不況を転機に

 私どもの会社の昨年のスローガンが「不況よし、知恵の出し時、工夫のし時」でした。これは昔、松下幸之助さんが言った言葉です。それをスローガンに使わさせてもらいました。不況は企業にとってダメージになりますが、不況によって生まれるものも物凄く大きいと思います。私どもの会社は社員が一所懸命頑張ってくれまして、今年度は前年対比で売上げが25%増えています。新事業もやりましたのでこのまま行くと多分30%は増えると思います。中身を伴うように今一生懸命やっていますが、どうしてこのようなことができたかといいますと不況のお蔭であります。私は、今から20年前の34歳の時、ある朝突然父親が亡くなったので社長に就任したわけです。その頃、仕事はどんどん入ってきました。もし今と同じような仕事の形態をとっていたらどうなっていたかといいますと、社員は全員辞めていったと思います。ある新事業のために、この3ヵ月間で休み無しで働いた社員が当社に4人います。でもそれは何故大切かということを一所懸命話し合っていますから、彼らに休めと言っても休みませんでした。それも若手です。一番の年長者が32歳でした。それでも休みませんでした。それは何のお蔭かといいますと不況のお蔭なのです。不況のお蔭で新事業を手がけることも出来ましたし、不況のお蔭で胸襟を開いて何が大切なのか、どうしたらいいのかということを話し合うことができました。そうしたら休日はどうしたらいいのか。このシステムで実行するにはどうしたらいいのか。新しいビジネスはどうっやって成功させるのか。これらを真剣に話し合いました。これは不況がなかったら絶対にできません。先ほども言いましたように、機械の償却だけを考えていれば良い時代、ゴルフをしていても、一所懸命仕事をしても結果は同じような時代でなく、今は真剣に考える人が報われる時代になり、本当に平等な社会にこの不況のお蔭でなったと感じています。ですから不況のお蔭でそういうようなプラス材料も出てきます。いろいろなことが考えられます。業態変革も然りです。不況のお蔭でこういうことがどんどん考えられます。もしあのまま14兆円産業まっしぐらでありましたら「業態変革」ではなく「業態そのまま計画」です。業態そのままでどうやって行ったらいいのか、どうやって仕事をこなしたらいいのかという議論をそういう講師を招いてここで講演会をしていたと思います。しかし、それが全く違う時代になってきたということです。業

業態の幅はデジタル

 これからは業態の幅を広げる時代に入ってきたと思います。業態の幅つまりデジタルです。前回の北海道の講演でも話をしましたが、当社の社員が花井さんの講演でホームページは印刷業の仕事ということを聞いて、役所へ行ってホームページの申請を行いました。そうしたらコンテンツ会社と一緒に呼ばれました。ことごとく全部勝ちました。何故かといいますと向こうは全部丸投げをしていて高いのです。デザインも丸投げ、いろいろなことも丸投げして、訳の分からないところにやらせて掠め取るやり方です。我々は広報の仕事をしていますので市のことは物凄く詳しいので、何がポイントかということが分かっていますので、提案するプレゼンも何処より素晴らしいということになってきます。この業態の幅を広げたところからスタートして、今当社が何をやろうとしているかといいますと、広報の発行部数を半分に減らすことをシステム的に提案しようとしています。今いろいろな市町村の広報は、半値八掛の時代になってきました。何故かといいますと、先ほどいいましたように我々経営者のモラルの低下によりとんでもない値段が当たり前に出るようになってきました。普通に入札したら馬鹿らしくてできない時代になってきました。それであったらどうしたらよいのか。その中枢に占めるものはなにか。広報は何も印刷物で見せる必要はありません。ましてやデータベース化になっていない広報がたくさんあります。例えば文化センターの1年分の利用状況をチェックしたいというときにXML化になっていてデータベース化になっていれば誰でもそれを簡単に引き出せます。広報で蓄積されたものがあれば引き出せます。ましてや3歳児健診をチェックしたい人は3歳児健診だけを見たいわけです。そうしたら携帯電話で3歳児健診と入力すると日にちが出てくる、場所が出てくる。そのように広報の入力形態を変えます。今は、住基ネットとの関係があり、各市町村はセキュリティーポリシーを物凄く大事にしています。セキュリティーポリシーとは要するに外から入られていろいろな物が覗けない仕組みです。これもやりようによっては出来ます。そのシステムを今、当社で開発しています。それは当社の力だけでできるものではありませんので、四国の会社とコラボレーションをして開発し提案をしています。99.9%受注に漕ぎ着けました。あとはどう入札をクリアするかですが、多分これは採用されると思います。そうしたらそれを全国に広げて行き

業態変革に企業規模は関係ない

 この冊子にはいろいろな方法が書いてあります。第1章には業態変革は会社の規模ではない。2〜3人の企業がこれだけ成功したという事例も書いてあります。実際に人数、規模は関係ないということが言えると思います。しかし、方法をきちんと我々で見つけて100通り200通りある方法の中からどのように進めていくのか。中には印刷業にだけ特化しているような会社もあると思います。それはそれで素晴らしいことです。印刷業に特化してこういう印刷は我が社にしかできない。いろいろな印刷物があるが、高精度のものは我が社にしかできない、薄物は我が社にしかできない、精度は悪いが早い印刷は我が社にしかできない。全部が本当に早くて綺麗な印刷物が求められるかといいますと違う印刷物もあります。大体でいいけれど早くて安い方がいいものなどもあります。いろいろな形態で印刷物に特化するということはあると思います。よくフォーム印刷は衰退していると言われますが、私は全くそう思いません。といいますのは我々のような印刷会社がフォーム印刷機を持つと、当社にもフォーム印刷機が1台あり、それを長年あるオペレータが使っていますが、その人が倒れたり定年になったらどうするのかを私自身考えていました。そうするとまた雇わなくてはいけないか。そうすると機械も老朽化しているので買わなくてはいけないか。そう考えていましたが、考えてみたらフォーム印刷を自社でやるのを止めればいいだけのことです。やってくれる印刷会社はたくさんあると思います。フォーム印刷は先細りになりながらも絶対残っていきますから、そういうものは今度はどこかに集約してやればよいことになります。そういう感覚になれば、業態変革というのはそこの中でもお客さんの捉え方を変えるだけでできることはたくさんあると私は考えています。

業態変革の第一ステージ

 「顧客の3大不満は、時間、品質保証、価格です。印刷業界も大競争時代です。もう一度真っ当な印刷業者になろう」というところが私は一番怖いと思いました。真っ当な印刷業者になろうというあたりは理解できます。
 顧客の3大不満の一つの価格です。価格と言っても、価格をどんどん下げていったらどうなるでしょうか。先ほどの広報ではありませんが半値八掛、ただ(無料に限りなく)に近づいていくだけであります。品質保証も要求され、時間も限りなく短いものが要求されます。これは全て要求されますが、先ほど言いましたように品質保証でもこの程度でいいというもので十分製品になるケースを味わっている方も相当いると思います。価格も100万円で納めていた販促物を95万円で納めてお客様は本当に喜ぶのでしょうか。そうではないと思います。100万円で納めていてさらにその物が販促物によって1割でも2割でもあるいは5%でも余計売れることを望むはずです。そこを捉えないで価格を下げて行っても意味がないと思います。

真っ当な印刷業者

 私たちの町でラーメンで町作りを行うということでした。札幌でもないのにラーメンでと思いましたが、15店舗でラーメン頑固会というものを作りました。そこから木野瀬印刷はいろいろなアイディアを持っているのでやってほしいと依頼してきました。母の日には子供たちに似顔絵を描いてもらい店内に張って家族に来てもらってというようなアイディアをたくさん出してほしい。そういうものをプロモーションしてその都度チラシを打つので木野瀬さん考えてよということでありました。その話を聞いていてその場でそういうものもう止めませんかと言いましたら、向こうがむーっとして、任せるというのだから請負うのがあなたたちの役目でしょうと叱られました。営業は社長を連れて来いと言われ連れて来たら、私が足を引っ張るようなことを言うものですから気が気でない顔をしていましが、そんな企画を行っていても種切れになったら終わりでしょう。あなたたちのやらなくてはいけないことは本当のお客さんにきちんとサービスをすることではないでしょうか。あなたたちは本当のお客さんに本当のサービスをしていますか。実際にいろいろなイベントでチラシを打つとその時は集客が物凄いわけです。しかし、上位25%のお客さんが50%くらいのラーメンを食べています。そういうことがお店によって常連さんで当たり前にあります。そうすると年間15万円くらいラーメンを食べる人、仲間を連れてきたり家族を連れてきたりしてもっと食べる人とチラシを打った時にだけ来てトータル3千円を使う人と同じサービスしていていいのですか。そうではないでしょう。それだけお金を使っていろいろなことをするのであれば、15万円使う人には1万円くらいサービスしてあげなさいよ。3千円の人はサービスするのは止めなさいよ。その仕組みをつくるのに何ができるか一緒に考えましょうということで、リライトカード(ポイントカードのデータの取れるもの)を薦めて話を進めています。当社の社員はもっと高度なものを薦めてラーメン店の主人に、俺たちを馬鹿にするのか俺たちが客に説明できるわけがないではないかと居直れて叱られていました。
 このあとコラボレーションの話をしますが、当社がリライトカードのコラボレーションをしているのは北海道の業者さんです。当社は中国の大連にも会社がありますが距離は関係ありません。いいアイディアを持っていて、どのように利便性を図って、それを取り入れるかであります。ここ2〜3日、当社の社員と北海道の業者の方と頻繁に連絡を取り合っているはずです。さらにQRコードの活用です。印刷物にQRコードを入れて情報をすぐ取れるようにします。要するに今日のサービスは今日見られるようにします。北海道はいいなあと思いましたのは、普通こういうリライトカードとか新しいもののプレゼンをするときの資料を送ってくださいといいますと、売上げ予測を立てるのですが、そうすると耳ざわりのいい方法で取り入れて欲しいので売上げは2割くらいアップしますと、ついつい私たちも言ってしまいます。しかし北海道というところは地味なところだと思いましたのは、こういう時代ですからまず5%を目標にしましょうという資料を送ってきました。そうすると余計説明しやすくなります。我々のプレッシャーも5%なら何とかできるのではないか。そこの中でどれだけいいアイディアが出せるか。先ほど言いました価格ということは問題にならなくなります。そこでラーメン店が負担にならない仕組みを考えてあげます。リライトカードを実施しても月々1万円くらいのリース料でできるようにならないか。そういう努力をします。それが真っ当な印刷業者ではないかと思います。

有能な人材の離散を防ぐ

 昨日、腹の立つことがありました。当社の4大を出て入ってきた4年目の社員が、同級生で同じ系列の短大を出ている女性がいるので一度社長会ってやってくれないかということでした。どうしてというと凄く腕がいいし、性格もいいし、一生懸命やっているが、今やっていることはあまりにも過酷過ぎるし、彼女のやろうとしていることが実現しそうにないから会ってやってくれないかということで会いました。そうしたら夢をもって業界に入ってきたわけですが、最初入った会社が月の残業が大体300時間、徹夜が3日から4日ありました。それを1年くらい続け辞めて今の会社にいます。今の会社はそこまでひどくはありませんが残業手当無し、ボーナス無し、全て無い無いづくしです。薄い小さな月刊誌ですが、彼女一人で企画して取材をして発行しています。凄い能力を持っています。でももう完全に消耗し切っています。私が思いましたのは折角希望を持ってこの業界に入ってきたのにそうやって消耗させてしまったら、その人材を無くすことになります。日本を代表する大手企業の離職率は印刷業界でも低いと思っていましたが、無茶苦茶高いのです。普通はありえません。一部上場企業で世界に艦たる企業が大卒の営業でも離職率が高いのです。現場も凄く離職率が高いです。どういうことかといいますと、本当にいい人材を留め置くシステム、組織になっていないということであります。そういうことでも真っ当な業界にならないといい人材が離散していってしまいます。そうすると何が起きるかといいますと最終的には誰にでもできる仕事の価格競争になってしまいます。いい人材でないといいアイディアは出て来ません。いい人材というのは優秀な人材ではありません。一生懸命頑張って理解しようとする人です。先ほど話しましたラーメン店にいろいろ提案している人間も学生時代はラグビーしかやっていませんでした。彼は入社して10年くらいになりますが、最初に仕事をEメールで受注したのが彼でありました。一番苦手なところを一生懸命頑張ったからです。ですからいい人材を留め置く業界にならないと離散したものは元に戻らないと思います。

時代と政策の移り変わり

 経済産業省の担当が紙業印刷業課からメディアコンテンツ課に変わりました。これはもう何度もお聞きなった方もいると思います。要するに世の中が我々を見る目を変えたのに、業態を横に広げようとしなかったらそこで止まってしまうわけです。この業態を広げるのも1社でやっては意味がありません。1社いいところができた、2社いいところができたでは駄目なのです。あの会社は特別だからできるのでは駄目なのです。業界が当り前にそれが出来るようになると全ての人達がその業界を頼りにし出すのです。業界ごとステップアップしていかなければ、そこがいくら目立っていても大手メーカーのネーミングに負けてしまうのです。しかし業界自体がしっかりしていれば、それは先に行けると思います。

業務のオンデマンド化

 冊子の26頁に印刷業界の課題と対応があります。その中に「ホワイトカラーの生産性の低下、工務の奮闘で何とか進む仕事」というところがあります。これは凄く大きなテーマだと思います。多分どこの印刷業でも一緒だと思います。
 先週、新年の挨拶まわりに行っていて一番感じましたことは、物凄く電話の問い合わせが多いことです。今日これ納品できるか、この入れ先は明後日この製本会社に変えてくれというような問い合わせの連続です。携帯電話は便利ですが、後からでもいいようなことも全部問い合わせがあります。そこで当社でどうしてもやりたいと思い進めていることがあります。このまま行ったらお客様を本当に満足させるには営業と同じ人数だけの工務が必要になってきます。工務は物凄く優秀な人間、要領のいい人間、印刷の分かっている人間でなければ務まりません。でもお客様を持っていないし、何も作り上げないから非生産部門なのです。その非生産部門がどんどん膨れ上がっていったらどうなるかといいますと、最終的には原価の高いものをお客様に売るか、赤字を出すかの二つに一つしか残らないのです。それを抑える方法は何かといいますとやはりシステム化であります。システムによってできるものはシステムで行います。お客様にパスワードを与えておいたらお客様が勝手にアクセスして自分のところの製品が何時配送されるかどうかを確かめられるようにします。別にお客様は営業を捕まえることが趣味でないわけですから、もう持って出ているからいいなとか、それでいいわけです。もし納品先の変更があればお客様がここで指示すればよく、それを工務が見て変更すれば証拠も残っているのでいいわけです。これは不可能なことかといいますと簡単ではありませんができます。今はいろいろなシステムが出来上がっています。それを自分の会社のシステムに合わせてカスタマイズしていけばよいので、これは可能です。そうしたら営業は本当の営業の仕事だけをすればよいことになります。工務の人間は増やさなくてもきちんとお客様に迷惑をかけないで済みます。その代わり嘘は付けなくなります。刷ってもいないのに少し乾きが悪いから折りがあるので明日一日寝かせないと駄目ですとか言って次の日に慌てて刷ったり、持って出ている筈ですがというようなそば屋の出前みたいなことが許されません。しかし、今、企画部で内校正を行っています。内校しているのか、あそこは立派な会社だと思わせるように、あからさまにして優位性を高めればいいのです。そうなって行った時にその業務なりのことができます。それも各部署がバーコードでそれが出来るようにします。それを居ながらにして、印刷業務なら印刷業務がこれだけやらなくてはいけない

部分最適から全体最適へ

 当社は昨年度、年賀のビジネスを行いました。注文書の入力を全て中国で行いました。入力だけの件数は15万件やりました。紙は移動することができませんのでスキャニングをして戻ってくるまで全部3時間以内でやりました。時間帯は朝から昼過ぎまでですから、物凄い短い時間で1日最高5,500件の入力を完遂させました。それもどこの会社にも合うように定義書を150通りも作ってきちんとシステム構築をしたのでできました。印刷も4万件ほどやりました。4万件といいますと当社の大体50年分です。50年分を2ヵ月くらいでやりました。1日最高印刷物を上げたときは2000件余でした。それも印刷に携わる人は合計7人で、4台の機械でやりました。何故できるかといいますとシステムでやるからです。バーコードを読み取るだけで全部できるようにしました。絵柄を確かめて、いちいち印刷機を動かしていたり、いちいちプリターを動かしていたのではそれはできません。それを一気通貫でできるようにしました。冊子の中に何度も出て来ます。部分最適から全体最適へです。今までは私たちの仕事は部分最適でした。例えば請求書を出すまでの納品形態ですが、作業伝票と連動しているところはたくさんあると思います。部分的にいいだけで全体的な一気通貫ではないのです。一気通貫を実現させましょう。それを1社でやると大変ですから、大体をいろいろなところで構築して、カスタマイズするというようなコラボレーションが必要になってきます。

仲間と共に創る「共創ネットワーク」

 コラボレーションで面白いことがありました。全印工連の浅野会長の会社は金羊社です。業態変革の矢部委員長の会社は三松堂印刷です。業態変革の水上委員の会社が水上印刷です。この3社は何をやったかといいますと、最初は会議をやっていろいろと話合いをし、その次に社員の交換をやりました。確か工場長の交換もやりました。我々のような会社ではこのオペレータが向こうの会社に行ってどうするのかという気がしますが、その3社は実行しました。若干の規模があるからできたのですが、規模の小さいところでも名古屋で実験を始めました。どういう意図で始めたかといいますと、彼らは冗談半分で俺たちは露出狂だと言っていましたが、そうではなく本当に出来るのは思想が同じで胸襟を開いているからです。これを盗まれたら困るとか、そんな小さなことを考えていましたらできないことです。最後には何をやりたいかといったら、社長の交換をやりたいと真剣に言っていました。社員の交換をやるといろいろなものが見えてきます。向こうの良さもわかる、こちらの駄目さもわかる。逆にこちらの良さも分かり、向こうの悪さもわかる。そういうことを意見交換して本当のレベルアップをしていくといろいろなものが見えて来ますし、いろいろなことができるようになってきます。コラボレーションというのは別に企業と企業が何かをつくり上げることだけでなく、そういうことも当たり前にできる業界であったら本当にすばらしいと思います。当社でもそれをやりたいと思います。そうすると先ず自分のところをきちんしなければいけなくなります。

環境変化は続く

 冊子の44頁に業態変革のミニマムが出ています。少なくてもレベル1はやっておいてください。その後はそれぞれの会社の規模や方針に応じてやって、ここに書いてあることが到達点かどうかは別として、こういう方向で取り組んでみてはどうですかということであります。IT基盤の整備の第1歩はEメールです。Eメールを使っていなければそれは駄目です。それは少なくてもクリアしてやりましょうということがこのミニマムです。

基本は5S

 生産技術のところに5Sの実践とあります。5Sは基本です。しかし、当社でも一番汚いのは社長室だと言われるくらい基本が疎かだと思っています。当社の工務や営業がいろいろな会社に仕事を出していますが、技術的には一緒なのに、協力会社のある1社にどんどん発注量が少なくなっていきました。その社長が来て木野瀬さん少し冷たいのではと言うのです。社員は原因を言いませんが段々分かってきました。会社が汚いのです。打合せに行ってもそこら辺をガサガサと片付けて慌てて打合せの場所を作ります。片方のところは打合せをするところはきちんとあり綺麗で現場へ行ってもヤレ紙一つ落ちていません。やっぱり綺麗なところに出します。5Sのきちんと出来ているところはお客様に重宝がられるし注文が来るということであります。どんなにいい技術を持っていても見た目が悪ければ駄目ということであります。そういうことを同じようにお客さんにも提案できます。先ほどのラーメン店にもづけづけと物を言います。これをやったら木野瀬さんお客さん来ると思うかいと聞かれますので、来るかも知れないと言いますと、かもかよということになります。その人達を本当にリピーターにするのはあなたたちですよ。ラーメンは脂ぎっているからといってテーブルがネチャネチャしていたり、椅子がベタベタ感じたり、床がペチャペチャというようなラーメン店であったらジーパンを穿いた時にしか行けないラーメン店になってしまいます。デートの時に寄れるラーメン店にしましょう。そういう努力もしないで結果だけ求めてもだめです。リライトカードをやろうがQRコードで新しい宣伝をしようが駄目です。そこが基本です。その基本を守ってどうやって到達点にいくかです。

冊子の上手な活用法

 それともう一つ面白いものがあります。冊子の41頁に印刷業簡易健康度チェックチャートがあります。その会社がどういう方向性で行くのか、また健康度はどうなのか。脳梗塞状態なのか、瀕死の重傷なのか、それとも栄養を補給すれば何とか生き延びて行けるのかがこのシュミレーションの中で正直にやると出てきます。皆でやると嘘になりますから、家に帰ったら自分に問いかけてじっくりやってみてください。それと自分ひとりでやらないで社員さんにもやらせてあげてください。どういう見解の差が出るか。こういうことをやると経営者はどうしても良い方向へ持っていってしまいます。10のうち9やってなくても1つやっていると、あれやっているということになります。これは何人かでやると正直な答えがでます。それも一つ確かめてみてください。
 それとこの冊子の良いところは最後の方に用語解説が出ています。おまけにそれぞれの頁にも下のところにも用語解説を載せています。どうして用語解説を載せたかといいますと、最近、業界でJDFだとかCIMだとかMISだとか訳の分からない3文字のアルファベットがやたらに多いと思いませんか。それは1回聞いても絶対忘れるでしょう。忘れてもいいようにこれを作りました。全部物凄く大事な用語であります。DTPやサーバというような基本の基本まで載っています。
 それと2つの穴が空いているのはバインダーで閉じるためです。これからいろいろなものがどんどん送られて行きます。その時は必要のないものは捨ててください。必要なものだけをバインダーに閉じてください。このままの状態で置いておきますと何処に行ったか分からなくなり取り出せなくなりますのでバインダーに閉じてください。若い社員が何か言った時、一度聞いていてもう一度聞き辛いときにはこれを引っ張り出して見て、知ったかぶりをしてください。ただし、私もそうですが、あまり知ったかぶりをしてもぼろがでますので適当にしてください。

コラボレーション

 メディアフロンティアはコラボレーションの会社です。これには当社も参加しています。1月28日、29日の札幌でのフカミヤ展示会でこの紹介がされます。現在160数社が全国で加入しています。当社はコラボレーションを物凄く進めています。先ほど言いましたように限られた人間が限られた能力の中でやっていますから、自社だけでできるものは限られてきます。提案をするときは広報のような中枢のものでも平気で他所の会社の人を連れて行きます。以前でしたら木野瀬印刷に頼んだのにどうしてそういう無責任なことをするのかと叱られましたが、今は高度情報化の社会です。木野瀬印刷に全てできるわけがないということをお客様は知っています。ですから、そういう人達を連れて一緒に提案をしに行くと、なお一層の信用をされます。さらに間誤付きません。例えば、今日、私がパソコンを操作しながら話をしていたら間誤付くのと一緒です。馴れた人にやってもらえばお客様も安心して聞けます。そういうコラボレーションをやってお客様を安心させていろいろな物を提案します。
 愛知県で愛地球博という万博が3月から始まります。愛地球博にはフレドシップシティということがあります。私の住んでいる春日井市であれば春日井市が何処かの国を紹介するというようになっています。それを市庁舎の1階に展示することになりました。当社の営業は、当社は展示が得意ですと常に言っていました。メディアフロンティアは160社のうち印刷会社は半分くらいで、あとは印刷関連の会社が入っています。その中に展示が得意なところもあるのでそことコラボレーションをしています。チェンジングという見る方向によって見えるものが違うボードがあります。4ヵ国を紹介しなければならなくてブースが限られているので、正面から見たらチェニジア、横から見たらヨルダンというようにするボードの提案をしましたら当社に発注が来ました。ついでに印刷物も注文が来ました。印刷物はついでであります。何が言いたいかといいますとコラボレーションです。情報をどれだけ持っているか。武器をどれだけ持っているか。先ほど経営者のモラルで価格競争をするのをやめましょうと言いました。しかし、その前提条件として営業マン一人一人に武器を持たせないで戦いに行かせても駄目です。武器を持たせればどんな戦いにも勝てます。それは戦いではなく向こうから喜ばれるような大切な材料、宝になり得るものです。コラボレーションはそういうことが実現できると思います。

印刷組合は共創ネットワークそのもの

 昨日の朝、NHKテレビで再放送と思いますが「京都ノ家訓」という番組を放送していました。京都で昔からの家訓を守ってどのように企業を続けているかを紹介していました。その中の一つに帆布でバックを作っているという有名なところがありました。そこのところの家訓は「ようお使いくださって」であります。ですから、直しに、作るより手間をかけることを創業から続けていて、今、新しい需要や新しいファンが増えています。それを無くしたら自分のお店でなくなると言っていました。皆さんにも自分の会社をこうするというものがあると思います。私の会社の社是は利他共栄です。他人を利して共に栄えるです。お客様が第一です。これを鸚鵡返しのように手を変え品を変え私が言うものですから、当社の営業マンはお客さんから物凄く喜ばれています。時には金にもならないのにそこまでするのかと、じれったいこともあります。でも物凄く喜ばれて当社はそのお蔭で仕事をいただいています。もしこれを無くして利益だけに走るくらいでしたら私は会社を閉めてもいいと思っています。
 それと同時に高度情報化ですから、いろいろな方針はころころと変わります。社員と話をして変わるし、間違いを指摘されたら何をと思いながらも間違っていたと改める、命令しながらあれ良くないので止めようということはしょっちゅうではないがあります。これは構わないと私は自分で思っています。その代わり大切なものはきちんと大切にしてそれで業態変革を進めて行くことです。これだけの人がここの会場に来てくれました。一人一人の思いの中に業態変革ということを落とし込めたと思います。一人一人全く感覚は違うと思います。でもそこの中でどう活かしていくかは100通りも200通りも方法はあると思いますし、このメンバーでもコラボレーションができたらいいなと思います。いろいろな情報交換をしながらできる、これが組合の力、組織の力ではないでしょうか。もう組合は皆が平等、皆が一緒というようなことの提供は何一つできません。また、そんな力は組合にはありません。こういういろいろな提供の仕方で皆さんにヒントを与え、皆さん自身がいろいろと考えて完成させるということができる素晴らしい団体に成長しています。ですから耳の痛いことも言っていますが成長し続けていると思います。
 このメディアフロンティアも是非とも覗いてみてください。コラボレーションとはどういうものなのか、異業種ではありませんがそういう人達の力を借りて武器を与えるということはどうなのか。東海地区でもこの集まりを毎月開催しています。当社は社員が行って、社員がその人達と勝手にコラボレーションをして裾野を広げています。当社に全国のいろいろなところの会社の人が来て、一緒にお客様のところへ行って提案をしています。そして一つ一つ仕事を成功させています。そういうことを繰り返して行くと大きな力になりますし、業態変革はより一層スムーズに進み、そしてお客様のための業態変革ができるのではないかと思っています。


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