全印工連の事業推進について
平成16年度下期北海道地区印刷協議会開催
 平成16年度下期北海道地区印刷協議会が、1月11日午後2時40分から札幌市中央区の札幌グランドホテルで80余名が出席して2部構成で開催された。
 第1部は、全日本印刷工業組合専務理事の武石三平氏より「全印工連の事業推進」についての説明が行われ、第2部は全日本印刷工業組合連合会業態変革推進企画室委員の木野瀬吉孝氏より「業態変革推進プラン-全印工連2008計画」についての解説が行われた。

〔第1部〕

全印工連の事業推進について

全日本印刷工業組合連合会
専務理事 武 石 三 平 氏

武石全印工連専務理事
武石全印工連専務理事

(1) 新潟県中越地震について
 昨年は、私たちの仲間が集中豪雨、台風による水害、10月の新潟の中越地震と多くの被害を受けた。新潟県には126社の組合員がいるが、その内中越地方の組合員が40社位ある。直下型という地震であったので少し離れるとそう大きな被害は無かったということであるが、小千谷の会社の社員の方が1人亡くなった。後は機械等がずれたり、工場の中のものが倒れたりで大変な状況であった。全印工連の11月の理事会に新潟工組の理事長が出席され、その時の報告が行われた。その時、印象に残ったことは被害の大きさは勿論であるが、やはり最後はアナログだという話である。ライフラインが全部止まってしまうと電気が点かない、水道も止まる、ガスもストップしてしまう、電話も勿論駄目、携帯も通じ難いという状況である。そうする最後はアナログということになる。新潟工組では地震が起きたら、すぐにA全、B全の印刷用紙を各自治体の広報担当に渡した。昔でいう中国の天安門事件の壁新聞のようなものである。そこにいろいろな情報や安否を手で書き込んでもらうようにした。これが随分感謝をされたと聞いた。また小学校の学童用に新潟ガンバレとタイトルをつけてノートを贈ったという話もしていた。今はIT、デジタルが全盛時代であるが、やはり最後はアナログが決め手なのかという感想をもった。
 全国の皆様から義援金を募集したところ19,050,157円の浄財が全国から集まった。1月6日に新潟県で新年会を震災復興激励会に名称を改めて開催したので、浅野会長がお預かりした義援金を届けに行った。今年の10月には新潟で印刷文化典、全国大会が開催される。皆さんに来てもらうことが何より新潟に元気をつけることだというのが新潟県の理事長の話であるので、是非揃って参加してほしい。全印工連も今年50周年であり、新潟の文化典で50周年の周年行事を併せて開催する。
(2) 業態変革推進プラン−全印工連2008計画について
 この後、プランを立案した木野瀬委員から詳細について話がされる予定になっているが、業態変革推進プランは何も目新しいことは書いていない。当たり前のことしか書いていない。世の中が変わり、国の施策が変わり、中小企業に対する施策も変わった。インターネットの普及、デジタル技術の進展と世の中がどんどん変わってきた。その中で印刷会社はどうしたらよいかを書いたのが業態変革推進プランである。世の中の変化に併せて印刷会社も変わろうということである。今まではそう多く努力をしなくても仕事はついてきたが、これからはそういう時代ではないということである。何のために変わるかというとお客様のために変わるとうのが浅野会長の口癖である。お客様あってこその商売、お客様から見捨てられたら仕事はなくなるし印刷会社自体もやっていけない。そのためには、先ずお客様のために自らを変えようということである。自社の仕事のあり方をもう一度見直して、お客様のために商売をやろう。会長がいつも言う真っ当な印刷会社になろうということである。特にこういう状況だと価格引下げの値段競争になりがちである。1割や2割引いてもまた次はさらに値引きが要求される。価格ダンピングはその場凌ぎにはなるが決してお客様、印刷会社のためにならない。真っ当な印刷会社をもう一度作り上げようということである。そのための業態変革である。
(3) 印刷用紙問題-輸入紙調査研究会のスタートについて
 昨年の7月に日本製紙が印刷用紙の値上げを発表した。その後を続いて三菱製紙、大王製紙等が値上げを発表し、暫くして王子製紙も値上げを発表した。今回の値上げが従来と違うのは2大製紙メーカーが足並みを揃えて上げなかったということである。製紙メーカーはいつも価格修復とか価格復元という言葉を使って大体2年毎に値上げをしている。2年毎の値上げは中小印刷業者にとって大きな痛手である。製紙メーカーは代理店、卸商を通じて上げてくるが、私たちはお客様に価格転嫁ができない状況である。コストを下げて、人件費を圧縮してもその分はカバーできない。全印工連では日印産連と協調して今回の値上げに対応してきた。昨年末、日経のコラムで日本製紙の社長が今回の値上げが認められれば安心して正月を迎えられるということを言っている。これが業界に体質である。結論として印刷用紙を購入する幅を広げようということである。日印産連では輸入紙の問題を検討するため輸入紙調査研究会をスタートした。2大製紙メーカーに牛耳られている用紙の調達方法を輸入紙も視野に入れて考えて行こうということで準備を進めた。日本では現在9.3%が輸入紙の依存率であるが、主要産出国では20%を超えている。輸入紙の依存率が2割を超えているといろいろと選択肢として使えるが、日本の場合は1割以下で、輸入紙を購入しているところは少ないし、輸入紙の品質について誤ったイメージが随分あるので今年の3月までに輸入紙を選択肢の1つに出来るよう研究を進めることでスタートした。これには経産省の課長にも委員として入ってもらっているし、大日本、凸版、共同の購買部長にもメンバーに入ってもらっている。2年毎の値上げは本当に止めてほしいと思っている。また、今年に入り製紙メーカーは減産体制をとっているという報道もあるので、安定供給、安定価格ということで私どもが用紙を購入できればと思っている。
(4) 個人情報保護法の施行について
 個人情報保護法については既に勉強会やセミナーを行っていると聞いている。今年の4月から完全施行ということである。5000件以上の個人情報をデータとして扱っている場合は個人情報の事業者として法律上のいろいろな規制が入ってくる。昨年2月にヤフーBBで個人情報が漏れた時にお詫びの費用等で40億円かかったということである。情報が金になるので持ち出したり、盗み出す人がいる。90%以上が会社の社員の方、従業員の方、派遣社員の方などから情報が漏れているそうである。盗難ということもあるが内部の犯行というのが殆どである。人の問題であるので、経営者の考え方である。社員は経営者を見ている。どうもこの会社は気に食わないとか不平不満がある場合は辞めるときにデータを持ち出すようなことが結構あるようだ。就業規則を変えたり管理体制を整えたりして情報が漏洩しないように努力をしてもとどのつまりは人の問題ということになると、経営者の方と社員の方の風通しを良くしてそういったことが起こらないようにするしかない。印刷会社の場合は5000件以上のデータを扱っていなくても個人情報自体保護すべきことであるので留意をしてほしい。12月28日に日印産連で印刷業界向けのガイドラインを作ったので購入してほしい。このガイドラインの最後のページに各省庁、各団体のガイドラインのURLが掲載されているので、金融関係とか医療関係などそれぞれ取引先の関係のガイドラインも参考にしてほしい。
(5) 人材投資促進税制、中小企業新事業活動促進法について
 現在は自民党税調の案であるが、経産省でも間違いはないといっているので法制化されると思う。特に人材の問題は急務であるので、ITがらみでそれに対応できる人ということになると費用がかかるので、国の方で人材投資促進税制を17年4月1日より適用させるということである。教育訓練費の中小企業者の特例として税額控除が行われる。
 中小・ベンチャー企業等の活力向上は、従来の経営革新支援法が廃止され、新事業創出促進法、中小企業創造法、経営革新支援法の3つが合わさって、新しく中小企業新事業活動促進法が4月1日から施行される予定になっている。経営革新支援法を活用してきた企業も多いと思うが、3つの法律が一つになって、どちらかというとベンチャー企業を対象にやる気のあるところの支援を厚くする内容の法律になっている。

※〔第2部〕「業態変革推進プラン−全印工連2008計画」については、次号に掲載の予定。


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