組合員増強へ魅力ある組合づくり
平成16年度第2回全道委員長会議
   平成16年度第2回全道委員長会議が、9月3日午後1時から札幌市中央区の札幌パークホテルで、全印工連から武石専務理事、登坂全青協議長、池尻企画業務課長、全道から委員60余名が出席して開催された。
 また、全体会議の中で、全日本印刷工業組合連合会の池尻淳一企画業務課長を講師に迎え、「著作権問題へのアプローチ」〜著作権の基本と印刷業界の権利の検討〜をテーマにマーケティングセミナーを開催し、90余名が熱心に聴講した。
 

〔全体会議・マーケティングセミナー〕
 全体会議は、岡部理事長から「今日は第2回の全道委員長会議である。第1回の委員長会議には浅野会長に来ていただき、浅野会長から3つの変化の話があった。一つは主役が変わった。2番目は競争相手が変わった。3番目はスピードが変わったということである。全印工連自体の動きも変わってきている。会議では地方の意見も取り入れたいということで、必ず発言しなさいということである。北海道も広域であるので、全印工連にならい皆様方の意見をどんどん吸い上げていかなければならない。図式でいえば今までは上に全印工連があって下に各県工組があったということであるがそれは逆である。各県工組が上にあってその下に全印工連あって皆様の意見を吸い上げて採用していくようにさせていただきたいという話である。駒大苫小牧の優勝に因み、北海道の印刷業界をも全国に知らしめたいと思うので皆様のお力添をお願いしたい」とあいさつが述べられた。
 つづいて来賓紹介が行われ、来賓を代表して武石全印工連専務理事から「平成13年から3年間、共済の拡大キャンペーンを行ったところ、3ヵ年を通して北海道がトップクラスの成績であり、香川印刷文化典で表彰を行わせていただくことになった。個人情報保護法が来年4月に完全施行される。印刷会社はいろいろな情報を扱っている。個人情報の事業者ということではないかも知れないが、取引先、お客様から預かる情報、原稿の中に個人情報に関するデータが入っているケースが多々あると思う。既にいろいろな取引先の会社の方では個人情報のデータを扱うにあたって、第三者の認定機関の認証を受けていないと仕事は出さないという話も出ている。電通の文書を入手したが、その中に17年4月から個人情報保護法が施行されるに当たっていろいろな委託をさせていただく場合には第三者機関の認める認証取得を取ってください。そうでないと誠に残念ながら委託をさせていただくことが出来なくなる。というようなことが正式に文書で取引先に出ている。印刷会社がデータ管理をきちんとやっているといっても第三者の正式な機関のお墨付きがないと商売がやりづらくなるということである。経済産業省でも6月に個人情報保護法のガイドラインを出した。現在、日印産連でそのガイドラインを印刷業向けに落とし込む研究を始めている。個人情報保護法にはそういう動きがあるということを頭の中に入れておいていただきたい」とあいさつが述べられた。
 次にマーケティングセミナーに移り、全日本印刷工業組合連合会企画業務課長の池尻淳一氏から「著作権問題へのアプローチ」〜著作権の基本と印刷業界の権利の検討〜をテーマに講演が行われた。
 池尻講師は、知的財産権の全体像、著作物とは、著作物の種類、日常取り扱う著作権の例、著作物にならないもの、著作権の全体像、著作権の発生と保護期間、ソフトウェア購入の意味、不正コピーとは、気になる判決、著作権フリーの意味、著作権の制限、気をつけたい著作権の周辺問題、肖像権・パブリシティ権に関する裁判例、商標とは、官公需における権利処理の問題など、著作権の基本と印刷業界の権利について分かりやすく解説した。

〔委員会〕
 組織、経営革新・マーケティング、教育・労務、環境、共済事業、青年部の6委員会に分かれ、(1)事業推進の課題について、(2)意見交換、(3)委員会意見集約、(4)全印工連要望事項集約についての討議が1時間30分にわたって行われた。

〔総括会議〕
 各委員会における討議内容や意見・提案などが発表された。
組織委員会
     発表者 斉藤副委員長
(札幌支部)
・組合員新規加入問題について討議をした。組織のメリットは何かとういうことは究極のテーマである。それについていろいろ意見が出たが、例えば小さな会社が1社では出来ないような人材育成、セミナー、経営・労務・環境・新技術等の情報提供、研修会を各委員会に頑張ってもらいもっとたくさん行う。ただ組合員数を増やすだけでなく組合自体の魅力を増すような努力をする組織にしていくと自然と組合員数が増えるのではないかという結論になった。

経営革新・マーケティング委員会
     発表者 加藤副委員長
(札幌支部)
・全道で全体的に仕事量は減っている。特に7〜8月は減っている。企業間格差がひらき、組合員数の減少が顕在化してきた。
・印刷料金積算講習会の案内が出ているが、自治体との取り引きのあるところは重要な講習会であるので参加してほしい。
・札幌市の公式ホームページガイドラインの説明会は組合員だけのメリットであるので、こういうことを今後も行って行きたい。
・昨年は年賀状を印刷会社で印刷したものが15億枚、個人のプリンターで印刷したものが20億枚であった。今年は11月1日に年賀状が発売される。四面付きは10月18日に出荷される。プリンター用年賀状は136%増であり、印刷会社の仕事はますます減ると思われる。
・新聞折込チラシは新聞社が本紙に印刷する傾向にあり、オフ輪業者との競合になる。

教育・労務委員会
     発表者 本田委員
(十勝支部)
・印刷営業研修会は、営業のスキルアップ、これを通しての社員教育を行うということで現在12社21人の申し込みがあるが、各支部で今一度参加要請を行ってほしい。
・今後は印刷営業研修会の講習の形態について、インターネットやe―ラーニングで各社で受講できるよう検討を要請したい。
・印刷営業士は更新制度がないので、技術革新の時代であるので更新制度を含めて全印工連で検討してほしい。
・マルチメディア基礎講座は、旭川・十勝・札幌の3支部で10月20〜22日に行われるが、全組合員に案内が行くので、近隣の支部で受講をしてほしい。組合として皆さんに勉強の機会を与え、全体のレベルアップを図ることが利益につながると考えている。
・印刷料金積算講習会は、組合から各社に案内が行っているが、主催は経済調査会で、対象が主に官庁の積算担当者向の講習会であるが、今回はそれに北印工組がタイアップして、発注者側の積算を受注側の印刷業者も一緒に研修する。道庁は現在70%の足切りが行われており、それがどのような積算過程で行われているかなども勉強ができるので、特に官庁受注の多い会社は是非参加してほしい。
・改正高年齢者雇用安定法が施行される。平成18年から25年にかけて定年が65歳に延長されるので各社おいて対策を今のうちからたてて行くべきである。
・パートの残業について、法定の40時間以内でも契約時間以上は残業対象となる法律が論議されている。働く人達には結構な法律であるが、印刷業界の現状を考えると非常にきつい法律になると思う。業界として反対運動を行っているが、こういう動きがあり、従業員の方々もかなりの知識を持っているということを認識して対策を進めてほしい。

環境委員会
     発表者 福井副委員長
(札幌支部)
・第1回委員会で、全印工連ISO14001のネット取得が第4期を迎えるので、この話を各支部に持ち帰って討議をしてほしいと宿題を出した。
・各支部に持ち帰って議論は白熱したが、各社各様であり、現状は取り組みたいが経済的問題や小規模であるため人の役割分担がなかなか難しいということであった。
・ISO取得が環境問題の根底にあることは分かるが、ISOを取得をするがためのことではなく日夜印刷を主としている会社なのでやれるところからやって行き、背伸びをしないで一生懸命に環境問題に取り組んで行こうということでまとまった。

共済事業委員会
     発表者 稲田副委員長
(札幌支部)
・平成13〜15年度にかけて共済事業拡大キャンペーンを行った結果、特に生命共済の伸び率100%以上の工組に北海道と鹿児島が入り表彰されることになった。
・本年度のキャンペーンは、9月1日から来年3月31日までで、対象として生命共済、設備共済、医療共済である、
・医療共済は追加募集を行う。
・共済の意義を組合員に再認識してもらい、委員会として加入拡大をアピールしていく。

青年部委員会
     発表者 野津委員
(十勝支部)
・全青協の登坂議場の出席を得て全青協北海道ブロック協議会として会議を進めた。
・登坂議長より来年2月の大阪でのPRINT4の案内があり、できるだけ多くの方が参加してほしいと要請があった。
・青年印刷人フォーラムを6月の委員会で札幌支部以外での開催の提案があり、その続きの討議を行った。来年の北海道情報・印刷文化典が旭川で開催されるので、そのPRもかねて旭川でという話になった。過去は知識を高めるということでこの業界に関係のある方の講演を行っていたが、折角、旭川で行うのであれば旭川でなければ聞けない話を聞きたいとうことになり、旭山動物園の園長の話を聞きたいということになった。新たらしいことを全くやらない前例どおりの公務員のスタッフを動かして新しいことをやるのは大変なことではないかと思う。我々民間企業でもなかなか新しいことに取り組めないのに公務員の中でやったのはすばらしい。相手のスケジュールもあるので決定はしていないが雪の降る前の11月の土曜日に開催し、園長の講演を聞き、動物園を見学し、旭川の印刷会社を見学し、夜に懇親会を行いたい。

 各委員会の意見集約に対して、岡部北印工組理事長、武石全印工連専務理事からそれぞれ感想所見が述べられた。

理事長集約

岡部理事長

・組織委員会では、新規加入促進について札幌支部では8社を目標にしており、現在3社が加入しているが反対にやめていく企業もあり増減ではプラスになっていないのが実情である。新規加入は札幌支部が中心になるので札幌支部に是非頑張ってほしい。
・組合加入パンフレットは新しいものを作成し加入促進を行いたい。
・教育・労務委員会では積算講習会の話があったが、これは官公庁の人達に積算を教える講習会であるが、これに印刷工業組合員も参加させてほしいとお願いして了解をもらった講習会である。
・道庁では最低制限価格制度を採用しているが、その積算を知る良いヒントになるのではないかと思う。
・各支庁、市町村などのいろいろな官公庁から勉強に来る、そこに我々も参加するということになる。
・環境委員会でISO取得が取り上げらている。合わせて個人情報保護法が来年4月から施行されることになる。これに併せてPマークの取得は1社では200万円以上になるので、5〜6社がまとまってPマークが取れるように全印工連で検討をしてほしい。
・共済事業は全国表彰を受けるということであるので委員会の皆さんの努力に感謝する。

全印工連集約

武石専務理事

・組織委員会で加入促進の話があったが、組織で新陳代謝のないところは衰退する。勿論、加入があって脱退も出てくるが、加入よりも脱退が多くなると数が減ってしまう。業界としては危険信号が出る。やめる方もいるがどんどん新しく入って来るところは活気がある業界である。残念ながら印刷業界は環境がたいへん変わってきた。紙媒体というメディアからいろいろな形のメディアが出てきた。我々からすると競争相手であるが、いつまでもそう言っていると取り込みが難しくなる。一緒になんとか出来ないかということ考えていく必要がある。紙だけにこだわっているといろいろなメディアが侵食してくる。印刷業の出荷額のピークが1991年で8兆9千億円であった。直近の工業統計では7兆6千億円となっている。15%の1兆3千億円がどこかに行ってしまった。お客様はどんな媒体を望んでいるのかを考える必要がある。紙媒体の優れたところ、Web、インターネットでの情報提供で優れたところもある。印刷業界はそういったメディアも頭の中に入れて取り組んでいく必要がある。製造業としての印刷が核であるので、印刷業で収益の出る体質をつくることが前提にある。その上で新しい事業領域を拡大していく。情報産業としての領域もあるし、ソフトサービスとしての事業領域の拡大もある。年賀状の殆どは我々中小印刷業界のマーケットであったが、今までのお客様が自分たちでパソコンで年賀状を作り始めた。このことを見ても印刷業界はどんどん新しいものを取り入れていかなければならない。
・全印工連では来月、香川印刷文化典で業態変革推進プランのキックオフを行う。業態変革を行わないとこれから先は非常に難しくなる。異業種への業態変革でなく印刷業としての業態変革がある。何もしなければ年賀状のように売上高は減ってくる。まず印刷業としての業態変革を行い、次のステップとして新しい事業領域の業態変革を進めるプランを立てている。冒頭、述べたように新しい方が入って来ないと、業界・産業としてイエローカードが出てしまう。組合員の数を増やすことは難しいこととは思うが、魅力ある組合づくりを検討していきたい。
・新聞折込の話では、熊本日日新聞で印刷を始めた。中央会、経産省とも相談をしながら熊本工組、全印工連で反対運動を展開してきたが、結論として法的な対抗手段はなかった。従来印刷会社が行っていたものを新聞社が行うことになり大変であるが、規制緩和の中で印刷業だけが特別ということにはならない。しかし、熊本日日新聞と熊本工組が話し合いのテーブルについているので結果が出たらお知らせをする。
・営業士の更新制度については各地区協でも話題になっている。合わせて営業士の教育の中身、処遇についても意見を頂いている。これを教育・労務委員会で検討することになっている。
・営業士の資格ということは間違いで称号である。国家検定の技能士も資格ではなく称号である。したがって、国では称号について更新制度はない。全印工連としては営業士、管理士について要望があるので、この資格をとられた方に次の勉強をしていただくことを教育・労務委員会で検討をする。
・ISO14001のネット取得のシステムを提供している。これには安いといっても100万円はかかる。これに加え国の方で新エコアクション21という登録制度を検討している。これは数十万程度で認証が出来るようである。内容によって、ISOのネット取得、新エコアクション21による認証を企業の判断で取り組んでほしい。環境問題はこれまでは後向きの議論で済んでいたが、今は表舞台に出ているので、各取引先との関係もあるので積極的に取り組んでいってほしい。
・医療共済制度を提案したが、残念ながら数が500人に足りない。引き続き追加募集をして何とか500人をカバーすることにしている。


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