1.はじめに |
財政委員会は、組合財政状況の検討を行うため、平成14年5月24日開催の平成14年度第1回理事会において設置が決定された。
本委員会は、担当副理事長1名と全道の支部長13名の構成であるが、組織総務担当副理事長と札幌支部長が兼任のため実質13名の構成となった。
本委員会は、平成14年度第1回理事会での設置を受けてから、2年間にわたり7回の委員会を開催し、組合財政状況の分析・検討を慎重に行って来た。
この間、平成15年1月10日には、それまでの委員会の検討結果を「財政状況の検討結果について」としてまとめ、健全財政の確立のためには賦課金改訂に着手しなければならない時期にあるという中間答申を行った。
その後、本年度に入り、賦課金改訂を行うための具体的内容の検討を重ね、委員会としての結論を得たので、ここに「財政状況の検討結果・賦課金改訂に関する答申書」としてまとめ提言するものとする。 |
2.財政状況の現状 |
(1) |
本組合の賦課金は、組合員の自主申告による売上額を算出基準とした20ランクによる賦課金であり、この賦課金設定の基本概念は、順当な経済成長を見越してのものであることは否めないと推測する。
現段階では、現状の経済情勢に照らし合わせてみると、結果としては組合員の出荷額も、前回賦課金改訂時最終年の平成7年度(以下平成7年度)の出荷額1,332億523万円と対比した平成15年度の出荷額は1,247億9,421万円と84億1,102万円(△6.31%)のマイナス成長になっている。
しかし、当時、現下の経済状況を予測し得た人は皆無に近い状況であったと思われ当制度を否定する理由にはならない。 |
(2) |
組合員の状況では、平成7年度の組合数が434社であったものが、平成15年度の組合員数は357社と77社(△17.74%)の減少となっている。 |
(3) |
賦課金の状況は、前述の出荷額ならびに組合員数の減少を反映し、平成7年度賦課金は29,599,200円であったが、平成15年度賦課金は25,330,800円と4,268,400円(△14.42%)の減額となっており、この平成15年度賦課金額は前回賦課金改訂前の平成4年度賦課金25,174,500円と差異がない状況になっている。 |
(4) |
関連業企業からの広告収入の状況についても、「北海道の印刷」の広告収入について比較してみると平成7年度広告収入が10,092,030円であったが、平成14年度決算では4,666,475円と5,425,555円(△53.76%)の減収となっている。 |
(5) |
補助金収入については、官公庁ならびに全印工連からの事業補助金が、平成5年度の補助金収入12,494,875円を頂点として平成15年度の補助金収入は800,000円であり、この800,000円は全印工連からの事業助成金であり、官公庁からの事業補助金は消滅している状況にある。 |
(6) |
前回の賦課金改訂の答申が行われた平成4年度の答申書においても、負担金と一般管理費を合わせた経常経費は、賦課金で賄うことが提言されているが、平成15年度予算では負担金が6,894,000円、一般管理費が25,735,000円であり、これを合わせた経常経費は32,629,000
円であり、これに対して賦課金額は25,330,800円であり、賦課金による経常経費の自足率は77.63%であり、平成5年度以来努力目標として掲げてきたが未だに達成できない状況にある。
前回賦課金改訂時の平成7年度における自足率は75.68%であり、平成15年度自足率は77.68%で、若干改善されているように見えるが、平成15年度の数値は常勤役員が欠員よる役員報酬未計上の結果による数値であり、実状として自足率は平成7年度と比較して、さらに低下しているのが現状である。 |
(7) |
支出費用の面では、現状の予算を分析したところ、不必要相当と見られる費用支出は無いのが実状である。
当委員会の審議の中で、会議開催における低廉な会場の選定、会議出席者交通費の割引支給等が議論の対象となったが、現状では会議出席者に対する手当は無支給であり、会議会場を低廉な会場に設定すると市街地中心部より遠隔となり利便性に欠け、会議出席者に更なる負担を強いることになることに加え、会場設営に時間的・人的要素が要求され現事務局体制では対応が難しく、交通費の割引支給は時間的制約を受け便宜性に欠けることから導入を見送り、次代の役員就任者に負担を強いない正常な組織を確立することが組合活動の活性化に繋がるという結論に至った。 |
3.今後の見通し
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(1) |
現状の業界構造の大きな変革を考えると、組合員の増強はより一層困難になることが予測される。 |
(2) |
ここ当分の間での経済環境の好転は希薄であると予測せざるを得なく、印刷出荷額の大きな伸長は多分に期待することができない。 |
(3) |
前述の業界環境、経済環境に照らし、賦課金についても正常な経済活動の中での増額は期待することができないと判断せざるを得ない。 |
(4) |
また、現在の社会経済情勢から判断し、関連企業からの広告収入、官公庁からの補助金収入は後ろ向きに考えざるを得ない。 |
(5) |
以上のような要素に鑑み、経済縮小に伴う組合財政の緊縮は当然の必定であることは否めないが、現行の事業活動、事務局体制の維持に固執していては、今後の変革著しい時代において業界活動が萎縮してしまうことが懸念される。 |
(6) |
今後、事業の実施方法、諸経費の見直し等を重ねて行くことは勿論であるが、遠くない将来財源不足に陥ることは明らかであり、新しい収入の源泉を見出すことも現状では困難であり、賦課金の改訂に着手をしなければならないと判断せざるを得ない。 |
4.賦課金改訂 |
(1) |
現行の組合員の自主申告による売上げによる賦課金制度は、経済マイナス成長の現在においては、多少の歪みが生じているものの、仮に他の制度を採用しても現経済状況下では、組合員の理解を得ての賦課金増額は望めるべくもない。 |
(2) |
当委員会では、先輩諸氏が苦労を重ね考案し、全国各県工組に先鞭をつけた現行の組合員の自主申告による売上げ賦課金制度をあくまでも尊重し、現制度を維持していくものとする。 |
(3) |
売上げ基準による20ランクについても平成10年度の財政委員会の検討結果にあるように不変のものではなく、諸般の業界情勢、社会情勢、経済情勢等を考慮して柔軟に対応していくことは必要であるが、今回は改訂を行わず、現行の20ランク制を維持していくものとする。 |
(4) |
今回の賦課金改訂の目標額を前述のとおり賦課金による経常経費の自足を前提に審議を重ねたが、平成7年度改訂以来10年間見直しが見送られたことから100%となると、平成15年度予算をもとに試算の結果、7,298,200円(28.81%)増額なることから、激減緩和措置として目標額の60%相当の4,400,000円と設定し、近い将来において是正を図るよう付議することとした。 |
(5) |
賦課金改訂の方法については、平成10年度の財政委員会の検討結果にもあったが、基本賦課金の創設を視野に入れ、ランク間格差の是正ならびに組合員相互の連帯感の醸成と高揚の観点からの検討を重ねたが、目標額を組合員数で平均すると1社月額1,000円強になり、現行Tランクにおいて換算すると50%増となることから現下の経済情勢では見送るざるを得ないという結論に至った。
しかし、今回は導入を見送ったが、将来的には導入を真剣に検討しなければならないと付議することとした。 |
(6) |
組合員の出荷額をみると、平成15年度賦課金設定に基づく自主申告出荷額は、1,247億9,421万円で、札幌支部組合員112社と札幌支部以外の12支部組合員245社で比較してみると札幌支部組合員の出荷額が900億472万円で72.1%を占め、札幌支部以外の12支部組合員の出荷額347億8,949万円で27.9%となっている。 |
(7) |
平成15年度賦課金25,330,800円を札幌支部組合員と札幌支部以外の12支部組合員で負担割合を比較すると、札幌支部組合員の賦課金額が11,461,200円で45.2%の負担割合、札幌支部以外12支部組合員の賦課金額が13,869,600円で54.8%となっている。 |
(8) |
全国各県工組の事例を参照にすると、宮城県においては仙台4支部とその他支部、秋田県においては秋田地区と秋田地区以外、愛知県においては名古屋市内と名古屋市外、兵庫県においては甲地区と乙地区、和歌山県においては和歌山市内と和歌山市以外というようにそれぞれの諸事情、事由により地域間において賦課金格差を設けている先例があり参考とすることができる。 |
(9) |
これまでに行われた賦課金検討の都度、出荷額比率と賦課金負担比率が検討議題に上ったが見送られてきた経緯があるが、このたびの改訂では委員会委員の総意と札幌支部選出委員の度量により若干ではあるが是正を図る方向性を見出した。 |
(10) |
このたびの賦課金改訂については、前述のとおり多方面から検討を重ねた結果、現行の20ランクの賦課金額を均等に改訂することが最大公約数の組合員の理解を得られる最善の選択との結論に至った。 |
5.結 論 |
(1) |
賦課金改訂については、現行20ランクを札幌支部組合員は19%、札幌支部以外の12支部組合員は16%の増額改訂を行う。
計算上発生した100円未満の数値は切り上げるものとする。 |
(2) |
上記により算出した賦課金ランクは別表のとおりとする。 |
(3) |
この改訂賦課金ランクは今後の諸手続きの関係から、平成17年度予算より適用するものとする。 |
6.組合員への理解 |
(1) |
賦課金改訂にあたっては、ランク間格差、現行と改訂後の差額等に十分配慮をしたつもりであるが、もし配慮の枠を越えざるを得ない部分が生じていたとしても、自主申告による売上げ賦課金制度という特徴のある賦課金において、最も重要な均衡感や公平感の創出保持に特別な影響を与えるのものではなく、総合的な理解を得られるものと確信している。 |
(2) |
賦課金改訂にあたって、全組合員が全て納得できる賦課金改訂方法は存在し得ないと考えられる中で、最善と思われる改訂方法を委員会委員の総意として選択したものであり、組合が目的を遂行し、業界発展のためひいては企業発展のため、是非とも組合員各位の寛容なご理解と絶大なご支援を賜ることを切望する。 |
(3) |
今後は、組合執行機関の方々と組合員の皆様が胸襟を開いて忌憚のない意見交換を行い、手続きに則った賦課金改訂が適切かつ順調に行われることを願うものである。 |
7.財政状況検討の定期化 |
(1) |
賦課金の検討見直しについては、平成4年度の財政委員会の賦課金制度改正に関する答申に北海道印刷業者大会の開催年に併せ3年毎に行うことを定期化することが明記されているが、これは不変的に維持、継続していくべきである。 |
(2) |
賦課金制度については、現行の自主申告による売上げ賦課金制度に加え、組合員相互の連帯感の醸成と高揚の観点からも基本賦課金の創設を真剣に検討するべきである。 |
(3) |
組合財政の健全化を図るため、賦課金による経常経費の自足を段階的に早期に実現すべきである。 |
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以上をもって、「財政状況の検討結果・賦課金改訂の関する答申書」とする。 |
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