2003全印工連全国大会盛大に開催
業態変革へ向け特別アピール
全日本印刷工業組合連合会の、「2003全印工連全国大会」が9月26日午後1時から東京都文京区の東京ドームホテルで開催された。全体会議には550名、懇親会には570名が出席した。印刷発達功労者顕彰、印刷関連産業功労顕彰など各種表彰を行うとともに、業界変革に向けた「特別アピール」を発表した。政府のe-Japan戦略が進行するなか、印刷業も総合コンテンツ支援業としての存在を社会に認識させていく必要を訴えた。

 午後1時からの全体会議であいさつした全印工連の中村守利会長は、業界が直面する課題としてマーケティング戦略と官公需対策の2つを挙げながら、「マーケットの個性化、多様化にどう対応していくか。官公需ではe-Japan戦略への対応が重要。これにしっかり対応しないと業界の存続が危うくなる。一方で、破壊的な価格競争にも歯止めをかけなければならない」と述べ、組合としての統一的な行動とともに各地域での積極的な取組みを求めた。
 来賓からは経済産業省の広実郁郎文化情報関連産業課長が祝辞を述べた。
 広実課長は、「日本経済は大きな転換期にある。これまでは悲観的な考えが支配してきたが、風は確実に変りつつある。大きく帆を張って勇気をもって企業経営に取り組んでほしい」「経済産業省としても、印刷業を製造業、情報産業、サービス産業の3つの側面をもった業界と捉え直している。私どもは勇気をもって挑戦するみなさんを全面的に支援していきたい。日本の印刷技術は世界一なのだから、あとはそれを高く売る努力をしてほしい」と激励した。
 表彰式では、印刷産業発達功労者2名、印刷関連産業功労者1名、組合功労者35名、優良従業員93名の表彰などが行われた。
 印刷産業発達功労者顕彰は大橋茂氏(株式会社博文堂社長)と関啓三氏(セキ株式会社社長)、印刷関連産業功労者は森澤嘉昭氏(株式会社モリサワ会長兼社長)で、中村会長から顕彰状が手渡された。受彰者を代表して大橋茂氏から謝辞を述べられた。

共済事業優秀工組の
  表彰を受ける西山副理事長
       (左から2人目)

 北海道からは、組合功労者として、中北龍夫氏、優良従業員として4名の方々が栄えある表彰を受けた。
 また、昨年度実施した共済事業拡大キャンペーンの優秀工組に対する表彰が行われ、北海道工組も優秀工組として表彰をされ、西山副理事長が表彰状を受け取った。
 続いて武石専務理事が業界報告を行い、その中で「ポスト2005計画のキーワードは業態変革だが、特別委員会では節目節目でアピールを行っていくべきという意見が出ている。本日この場でまず発表したい」と述べた。
 2005計画特別委員会の花井副委員長が登壇し、「特別アピール」を発表した。〈6頁掲載〉
 アピールでは、「印刷産業は間口の広いサービスを有し、IT革新により新たな取組みが可能な業種であり、決して紙媒体だけの製造業ではない」としたうえで、総合的コンテンツ支援業としての印刷業を認識させるロビー活動、広報活動の必要を訴えた。新たなサービスとして、Webコンテンツ制作やデジタルアーカイブ、文書データの一元管理、オンデマンド印刷など7項目を挙げた。
 次期印刷文化典については、主管する香川県工組のメンバーが登壇してアピールを行った。2004年全日本印刷文化典香川大会は、「時代を彩る印刷文化、空海生誕の地から未来へ」をテーマに来年10月15日・16日、高松市で開催され、記念式典、基調講演、懇親会、全体会議、分科会などが行われる。
 香川県工組の牟禮昌忠理事長は、「ポスト2005計画が香川大会でキックオフすることになる。高度情報時代にふさわしい大会にしたい」と抱負を述べた。
 午後2時30分からは分科会が行われ、5時まで経営革新、マーケティング、教育・技術、労務・環境、組織・情報、共済事業の6つの分科会で熱心な討議が行われた。
 午後6時からは多数の来賓、関連業者を交えて懇親会が開催された。中村会長、西川太一郎衆議院議員、泉本和秀都商工施策担当部長のあいさつに続いて鏡開きが行われ、宇田川芳雄衆議院議員が乾杯発発声を行い開宴した。
 また、翌27日には東京ダイヤモンドホテルで全国各工組事務局から58名が出席して全国事務局研修会が開催され、事例発表、テーブル討議などを行った。


業界変革に向けて 特別アピール
2001年に決定されたIT国家戦略が「e-Japan戦略」です。
 国家的構造改革に懸けて高度情報通信ネットワーク社会への移行(IT革命)を断行している政府、その目標達成をクリアできる企業に対して、我々印刷産業の現状はいかがでしょうか。少なくとも同じ努力を試み、変革期の経験を共有しなければ、来たるべき社会に取り残されてしまいます。電子政府の実現で我々はどのように対処すべきでしょうか。顧客である行政、企業は印刷産業に何を期待しているのでしょうか。
 中小企業近代化促進法(近促法)から中小企業経営革新支援法(経営革新法)への移行は、業界ぐるみの設備近代化やスケールメリット追求という護送船団方式を反省し、企業個々の経営意識と事業計画の革新性が求められました。また、印刷産業の所管が紙業印刷業課から文化情報関連産業課(通称メディアコンテンツ課)に改組したことは、印刷産業はコンテンツ産業とみなされていると解釈できます。間口の広いサービスを有し、IT革新により新たな取組みが可能な業種であり、決して紙媒体だけの製造業ではないのです。
 最近の印刷発注では、Webコンテンツ(PDF、HTMLなど)との一体発注が増えています。発注側は印刷会社にそれを求めています。印刷業で対応できなければIT関連などの異業種に流れていくのは必至です。「e-Japan戦略」はペーパーレス化を推進するものではなく、紙媒体のほか多様な媒体、サービス(メディアミックス)に派生していくビジネスプロセスの構造改革といえます。我々印刷産業のビジネスプロセスも共創ネットワーク、異業種連携などの相互補完で問題解決できるでしょう。
 印刷工業組合としても、総合的コンテンツ支援業としての印刷業を認識させるロビー活動、業態変革に挑戦中の姿を社会に周知させる広報活動を展開しなければなりません。
 我々印刷産業は、情報の交差点にいます。そして、情報の流通サービスやコンテンツサービスを提供しているのです。
1.
印刷物のデータを二次活用してWebコンテンツ(ホームページ)やPDFデジタル文書を作ります。
2.
総合的コンテンツ支援業として、紙媒体にとらわれない、情報のメディアミックス化を提案します。
3.
過去の印刷物をデジタル化し、庁内LAN、イントラネットに移植します。(デジタルアーカイブ)
4.
文字・画像処理の技術を利用してCDやDVD−ROM、動画コンテンツを制作します。
5.
文書・情報処理のエキスパートとして文書データの一元管理(DB化)を支援します。(SGML/XML)
6.
必要な時に必要な内容で必要な部数だけ印刷します。(オンデマンド印刷)
7.
「24時間、365日、ノンストップ、ワンストップ」の行政サービスをお手伝いします。