平成16年厚生年金保険制度改正
の基本的な考え方 |
国は社会保障制度改革について、世代間・世代内の公平、持続可能な制度改革を打ち出し、平成16年に予定される次期年金制度改正において、次の(1)〜(8)の基本的な考えに沿った改革であり、頻繁に制度改正を繰り返す必要のない恒久的な改革とする考えを打ち出している。国の一部を代行している厚生年金基金制度についても趣旨を踏まえた健全化が図れるよう切に望むところである。 (1)現行の給付と負担の水準では制度維持ができない。持続可能な制度を構築するには、将来の現役世代の負担を過重にしないため、早期の給付調整を図ることを基本とし、その後年金受給者や年金受給の近い者に対して、急激な変化をもたらさないように配慮する。 (2)保険料は引き上げざるを得ないが、将来の最終的な保険料については、国民負担率の上昇抑制と、将来の現役世代の過重な負担の回避という視点を重視し決定する。保険料の引上げは早期に行う。 (3)基礎年金の国庫負担については、平成12年年金改正法附則の規定を踏まえ対応する。 (4)将来における負担を一定水準に固定し、既に年金を受給している者も含めて、人口や経済の状況変化に応じて給付を自動的に調整する仕組みの導入を念頭に置き、長期的な給付と負担の均衡を図る。 (5)年金給付については、(4)にあわせて、片働き世帯を前提とした給付水準の見直しを行うとともに、高齢者の経済格差に配慮した給付抑制や負担のあり方についての検討を行う。 (6)積立金については、その水準は将来に向けて、年金の支払に支障のない程度まで抑制する。積立金の運用は、独立した第三者機関で効率的に行い、受託者責任を厳正に適用する。 (7)第3号被保険者制度の見直し、短時間労働者の年金運用、在職高齢者についての給付のあり方の見直しなど、女性や高齢者の就労を阻害せず、働くことに中立的な制度とする。 (8)年金制度の未納・未加入者に対する徴収の強化を徹底する。また、以下の課題についても検討を行う。 <1> 基礎年金の負担の仕方は、現在、職業等によって異なっているが、基礎年金の役割・位置付けを明確にし、職業を問わず共通の負担の仕組みとなるよう給付の仕組みと併せて検討を進めること。 <2> 将来の生涯現役社会を展望した支給開始年齢のあり方について、雇用と年金の連携を考慮しつつ、検討を行うこと。 |