官公需取引の研究に着手
平成15年度第1回全道委員長会議
平成15年度上期全印工連北海道地区印刷協議会
 平成15年度第1回全道委員長会議、平成15年度上期北海道地区印刷協議会が、6月27日午後1時から札幌市中央区の札幌パークホテルで、全印工連から中村会長、武石専務理事、浅野常務理事と全道から60余人の支部長・委員が出席して開催され、全体会議、委員会、総括会議の中で、官公需取引の研究、破壊的価格の問題や当面する問題、課題について討議が行われた。(前月号より続く)

組織・情報委員会
マーケティング委員会
経営革新委員会
教育・技術委員会
労務・環境委員会
共済事業委員会
青年部委員会
理事長集約
全印工連集約

〔総括会議〕
 各委員会における討議内容や意見・提案などが発表された。

組織・情報委員会
         発表者 高橋委員(北見支部)
・組合加入促進を積極的に展開する。そのためには、組合に入ったらどんなメリットがあるかをPRする必要がある。
・全国で加入促進を行い現在の組合員の5%増強を目指すことにしている。全国で440社、北海道は18社が目標となっている。
・国では、各種の中小企業助成制度があるのでこれを利用することを各社で検討する必要がある。
・印刷価格が低迷しているので、独自の工夫をして進むことが必要である。 ・
全国の問題としては、熊本日日新聞のチラシ印刷が印刷業圧迫になるという問題が提起された。

マーケティング委員会
            発表者 井田委員(旭川支部)
・苫小牧支部では、公取の調査依頼、組合活動が鈍っているとのことである。また組織率が低いので自治体に対する影響力が弱く、地域の印刷会社が大きな仕事を受けるために事業協同組合の設立も考えているとのことである。
・共創ネットワークをどう作ったらよいか悩んでいるので、その「場づくり」を組合で行ってほしい。
・印刷業は、製造業であるということを強く主張するべきである。それにより製造業であるので製造原価があるということをお客さんに理解してもらうようにする。
・組合の役割を考えると、全体会議の中で話のあった自分のことは自分で考えるということと、肩を組み合い仲良くやっていくこととのバランスが大事ではないか。

経営革新委員会
            発表者 小川委員(南空知支部)
・全体会議の中での浅野常務理事の講演は足が震えるほどインパクトがあった。相当な覚悟をもって今後は挑んでいかなければならないという気持ちで話を聞いた。
・その講演を踏まえて、各支部の状況が話されたが、過激というか大変な状況になっているようである。
・研修会でのプリプレスの積算結果が資料にあったが、安いところは1万円から高いところは10万円を超えるところまでという格差があり、今一度、企業内コストを再計算し厳格にしなければならない業界であると感じた。
・官公庁の設定している予定価格も相当のバラツキがあり、我々のプリプレス分野と同じようにまだ成熟していないというか十分に把握していない現状にある。
・そのような大変厳しい現状の中で、我々業界が生き続けて行かなければならない実態の話があった。
・各支部から官公庁の発注の現状が報告されたが大変なようである。全ての地域で落札価格が極端に低く予定価格の半分以下というところが殆ど100%に近い状態である。
・全道最悪の状況と認識したが、それでも業界が生き続けて行けるという不思議さも反面感じた。
・官公庁の発注者側の姿勢は、過去の方法を引きずったものではなく新しい観点にたった発注方法が最近とみに見受けられる。
・我々の業界のデジタル化が進んだ関係で、今までは役所が大まかなレイアウトをし、デザインを案じさせるような発注であたったが、今ではそれも落札者が考えなさいという発注が多くなってきており、非常に混乱状態であることを全道的な意見と理解している。
・現在、道庁の印刷発注について研究を行っている。道庁は既に製造の請負契約になっており、最低制限価格の導入について運動を行う予定である。これを組合の大きな運動として実現し、全道の自治体に波及することに我々は望みを繋いでいる。
・浅野常務理事は、講演の中で、時代の要請について行けない企業は精算するのも一つの選択肢と話していたが、残念ながら私どもはあまりにも借金が多く、その選択をすることができない。
・ずるずると深みに嵌っていくのではないかと思うが、何とか歯を食い縛って泥沼から抜け出したいと考えている。

教育・技術委員会
            発表者 板倉副委員長(札幌支部)
・価格破壊の問題が大きなテーマとして提起された。
・その中で教育・技術委員会は何をすべきかということで討議をした。
・自分達のことは自分達でやらなければならないので、教育・技術委員会では社員教育に繋がるセミナーを実施する。
・今年度の事業として、オフセット印刷技能検定を8月に旭川支部で実施する。管理印刷営業研修会を1月に、管理印刷営業技能審査認定試験を2月にいずれも札幌で実施する。

労務・環境委員会
             発表者 藤田委員長
・全印工連では、今年からインターネットを使ったISO14001の取得事業を始める。
・第1回の募集締め切りを9月とし、11月から開始し、3月に取得する。4ヵ月間という短い期間での取得を目標にしている。
・北海道では5社が集って1単位となるので、何とか皆さんの協力をいただきたい。





共済事業委員会
            発表者 西山委員長
・昨年度、全印工連から共済事業の加入促進について重点推進工組の指定を受け、生命共済、災害補償共済、せつび共済の3つを取り上げ加入促進運動を行った。
・その結果、お蔭様で大変スムーズに加入促進を進めることができ、全国で5番以内の成績を収めることができ、全国大会で表彰を受けることになった。
・各企業の社長さんに社員の福利厚生の向上に繋  がるという理解をいただいた賜と理解している。
・加入状況は、生命共済がキャンペーンで19社が加入し合計50社、災害補償共済がキャンペーンで5社が加入し合計16社、せつび共済がキャンペーンで3社が加入し合計23社、経営者退職共済はキャンペーン対象外であったが現在4社が加入している。
・今年は、医療共済が新設される。9月の全国大会以降に加入運動が始まる。
・共済事業は唯一の収入事業で、実績如何によっては道工組の大きな財源になる。
・生命共済は、配当があり今年は掛金の26%を各事業所に還元した。これも全印工連の共済のメリットである。
・北海道の共済の加入促進方法は全国的にも注目されているので、これを継続して今後も運動を展開して行く。

青年部委員会
            発表者 加藤副委員長(札幌支部)
・苫小牧支部では8名が参加し青年部が発足し、セミナーを中心に活動を行っている。
・十勝支部では、セールス会に50余名が参加し、セミナーや新年交礼会を行っている。
・北見支部でもセールス会で活動を行っている。
・旭川支部でもセールス会でセミナー等独自の活動を行っている。
・各支部にあるセールス会は、名称が違っても青年部とやっていること考えていることは同じであるので、上手くタイアップして情報を共有して今後進めて行くことを検討したい。
・全青協全国会議は、これまでは札幌のメンバーが中心に参加していたが、今後は全道の方々に参加してほしい。今年度は2月に開催されるので詳細が決まり次第ホームページ、広報紙でPRをして行きたい。
・全青協北海道ブロック協議会は、9月の全道委員長会議の青年部委員会の中で開催の予定である。
・北海道青年印刷人フォーラムは、14年度は札幌凸版印刷(株)の花井社長に講師をお願いし、「IT時代の中小印刷業の対応と今後」をテーマに開催し、小樽・稚内・十勝・旭川・札幌の各支部から70名が参加した。今年度のフォーラムは9月の委員会で検討することになっている。
・全国・道・支部の流れの中で、正確な情報を上手く流し、共有していく仕組み、体制づくりを強化して行きたいと思っているので協力をお願いしたい。

 各委員会の意見発表に対して、岸北印工組理事長、中村全印工連会長から、それぞれ感想所見が述べられた。

理事長集約
           岸理事長
・各委員会で討議いただいたものを集約して、すぐ実行できるものは実行して行きたいと思っている。
・組合員増強運動については、北海道は、製版・製本の関連業も全印工連の考えている準組合員ではなく正組合員として加入している。
・行政と交渉をするときは、現在、印刷工業出荷額の70%は組合員が占めているが、それをさらに増やし、我々の組織はこれだけの力があるということでなければ、行政との相撲はとれない。やはり数は力であるので組合員増強に協力をお願いしたい。
・官公庁の印刷発注の問題であるが、官公庁の印刷発注担当者は2〜3年で替わる。印刷料金の積算を行うにしても、印刷の中身の分からない人が積算資料、物価資料の項目を拾うといっても大変である。むしろ我々が、だれでもパソコンを開いたら積算ができる基本的なエンジンを提案していかなければならない。そのためには皆さんの知恵と力を借りることが当然必要になってくる。
・ISOの問題では、ISOを取得したら直ぐに商売に繋がるということはないが、行政・一流企業という我々のクライアントがどんどんISOを取得していくということになると、何処かの時点で一気に堰を切ったようにISO取得が見積参加資格になるということが突然出てくることも考えられる。その時にあわてないように今から各社が準備を進めておかないと、ある日突然窓口が閉ざされる可能性がなきにしもあらずである。
・道工組でも全印工連でもそうであるが、組合のメリットということは、組合が何かしてあげるということはない。むしろ皆さんが組合をどう利用するかである。
・三役会、常任理事会、理事会で今日の意見を取り上げ、可能なものはフィードバックをして行きたい。

全印工連集約
               中村会長
・共創ネットワークを組合でやってほしいということであるが、各地区印刷協議会でも話題にのぼり東京工組では実際に行っている。
・それは、先ず、執行部の方が場づくりをしてあげることが一番大事である。自分の支部内、地域内に簡単に集まれるような場づくりをしてあげることである。
・東京の場合に常に言っていることは、あまり会議的にやってはいけないということである。最初は、ビール、おつまみで立食パーティー形式で名刺交換をしコミュニケーションを図ることからである。お互い何をやっているのか分からなければ共創ネットワークは作れない。お互いが理解をすると、この企業はこんなことをやっているのかそれでは仕事が頼めるということになる。
・実際、東京では面白い事例が出てきた。墨田支部での事例であるが、仕事の交流をしている間に、自分のところは営業だけ貴方のところは製造だけをやってお互い経費の節減をしようという話になり実行し成果を上げていた。それを今度は、それぞれが別々のところで事業をしていたが、それでは不便なので一緒のビルに入り、2階が営業の株式会社、1階が製造の株式会社で事業をし、両社とも利益を出している。
・共創ネットワークは、自分の得意技をしっかり出して始めて上手く行く。
・下関では、赤字の3社が合体して、合体といっても1つの会社に合併したわけでなく、別々の会社のままで共創ネットワークを組んだら1年で3社とも黒字になったという例もある。
・そういう形を作るためには、先ず場づくりをしてあげなければならない。話し合いの機会がなければ始まらない。仲良くなる、飲み仲間になる。共創ネットワークの原点は親しくなることである。
・親しくならなければ、ツールを使って、通信を使って、共創ネットワークをやるといってもできないし、利益がでない、儲けが無くなったら止めるということになる。
・ところが親しくなったら、お前のためにやってや  るというように心が通いあうことが大事である。
・価格の問題は全国共通の問題である。物品の購入から製造の請負にと声を出してからしばらく経つが最近漸く成功事例が出てきた。
・青森県では、最低制限価格が設けられ、あまりにも安価に入札をしたところが2年間の指名停止なったという事例があった。
・最低制限価格は導入されたら規制力がでる。
・最低制限価格を設けるためには製造の請負にならなければならないので、今は、日印産連を動かして運動を行っている。
・今年からこの件に関して、日印産連にワーキンググループが作られ研究を始めている。これは、全印工連、ジャグラ、製版の3団体で業界機構改善委員会を作り提案してきたことが下地にある。
・今期はかなり動き出すという期待をしていただきたい。