中小企業への
金融セーフティネットの拡充
平成14年度補正予算の成立を受けて、中小企業金融のセーフティネットが拡充され、新たな保証、貸付制度の創設、改正などが行われた。

セーフティネットの保証制度の拡充
概  要
 セーフティネット保証とは、取引先企業等の倒産、取引金融機関の破綻、自然災害等により経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金供給の円滑化を図るために、通常の保証限度額とは別枠で保証を行う制度で、このたび、金融機関が店舗統廃合等の経営合理化を行うことにより貸出の減少に直面をした中小企業者を新たに対象者として追加し、セーフティネット保証制度を拡充した。
対 象 者
 次に掲げる経済環境の急激な変化に直面し、経営の安定に支障を生じている中小企業者であって、事業所の所在地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けた方。
1号: 大型倒産(再生手続開始申立等)の発生により影響を受ける中小企業者
2号: 取引先企業のリストラ等の事業活動の制限により影響を受ける直接・間接取引のある中小企業者及び近隣等に所在する中小企業者
3号: 突発的災害(事故等)により、影響を受ける特定の地域の特定の業種を営む中小企業者
4号: 突発的災害(自然災害等)により、影響を受ける特定の地域の中小企業者
5号: 業況の悪化している業種に属する中小企業者
6号: 金融機関の破綻により当該金融機関からの借入れが困難になるなど、資金繰りが悪化している中小企業者
7号: 金融機関の相当程度の経営合理化(支店の削減等)に伴って借入れが減少している中小企業者
8号: 整理回収機構に貸付債権が譲渡された中小企業者のうち、再生可能性があると認められる者を新たに対象に加えた
※アンダーライン部分が拡充された箇所
保証料率
 おおむね年率1%以内で、各保証協会毎及び各保証制度毎に定められている。
保証限度額
(通常の保証限度額)
 普通保証      2億円以内
 無担保保証     8,000万円以内
 無担保無保証人保証 1,250万円以内
   +
(別枠保証限度額)
 普通保証      2億円以内
 無担保保証     8,000万円以内
 無担保無保証人保証 1,250万円以内
問い合わせ先
最寄りの信用保証協会

資金繰り円滑化借換保証制度の創設
目  的
 デフレの進行等による売上高の減少等に対応し、保証付借入金の借換えや複数の保証付借入金の債務一本化等を促進することにより、中小企業の月々の返済額を軽減し、中小企業の資金繰りを円滑化することを目的に、資金繰り円滑化借換保証制度を創設し、次の借換えが可能になった。
1.特別保証(中小企業金融安定化特別保証)の借換え
概  要
 特別保証を借り替える場合、セーフティネット保証の要件に該当する方(昨年末よりその対象を大幅に拡大)は、セーフティネット保証で借り換えることができる。セーフティネット保証の対象とならない方は、一般保証での借り換えとなるが、その場合、一般保証の枠内(例えば無担保保証の場合、8千万円の限度額の枠内)で保証する。
保証条件
(1)  セーフティネット保証による借換えの場合は、事業計画書の作成等が必要となる。
(2)  保障期間は原則として10年(措置期間1年以内を含む)以内となる。
(3)  特別保証は臨時異例の措置として、その他の保証とは別会計で実施されたものであり、本制度は既に終了していることから、他の保証との一本化は行えない。
2.一般保証とセーフティネット保証の借換え
<1>  セーフティネット保証の要件に該当する方
   セーフティネット保証の要件に該当する方は、セーフティネット保証で借り換えることができる。また、一般保証とセーフティネット保証を一本化して借換えることもできる。借換えにあたっては、追加的に新たな融資(増額融資)を受けることもできる。
保証条件
(1) 事業計画書の作成等が必要となる。
保障期間は原則として10年(措置期間1年以内を含む)以内となる。
<2> セーフティネット保証の要件に該当しない方
   セーフティネット保証の要件に該当しない方は、一般保証で借り換えることになる。借り換えにあたっては、追加的に新たな融資(増額融資)を受けることもできる。なお、セーフティネット保証を一般保証で借り換える場合、一般保証の枠内で保証することとなる。
保証要件
通常の保証における保証条件と同じ
(注)) 信用保証協会の保証付きの貸付で金融機関が旧債務を借り手企業の意に反して返済させること(旧債振替)は禁止されている。
問い合わせ先
 最寄りの信用保証協会

第三者保証人等を不要とする融資
概  要
 第三者保証人を依頼することや担保を提供することが困難な方に対して、第三者保証人や担保を不要とする融資を行う。
貸付対象
 税務申告を2期以上行っており、かつ、所得税等を期限内に完納していること
貸付限度
 1千万円
返済期間
 運転資金5年以内(うち措置期間6ヵ月以内)
 設備資金10年以内(うち措置期間2年以内)
貸付利率
 基準利率+0.7%
連帯保証人
 法人営業の方…代表者のほか必要に応じその家族、社内の方など
 個人営業の方…家族又は従業員の方
 (注)使いみちによって異なる利率が適用される場合がある。
問い合わせ先
 国民公庫

経済再生改革対応緊急貸付制度
概  要
 取引金融機関から貸し渋り・貸し剥がし等の取扱いを受け資金繰りに困難をきたした中小企業者に対して融資を行う制度。
貸付対象
 取引金融機関から貸し渋り・貸し剥がし等の要請を受け、資金繰りに困難をきたした中小企業者であって、事業活動等改善計画を提出し、かつ、現状程度の金融支援を行う取引金融機関が一つ以上存在する方
貸付限度
中小公庫  一般貸付とは別枠で3億円
商工中金 一般貸付とは別枠で1億円
国民公庫 一般貸付とは別枠で3千万円
貸付利率
中小公庫  基準利率(但し、担保徴求の一部免除を受ける場合は、担保免除部分について基準利率+0.3%)
商工中金 所定利率
国民公庫 基準利率
貸付期間
5年以内
担保条件
中小公庫  担保が不足する場合は、事業の見通しを考慮し、担保徴求を一部免除するなどの特例がある。
商工中金 担保が不足する場合は、事業の見通しを考慮し、5千万円を限度として貸付額の50%まで担保徴求を免除することができる。
国民公庫 要望に応じて相談
問い合わせ先
 中小公庫・商工中金・国民公庫

企業再建貸付制度
概  要
 経営改善、経営再建等に取り組む必要が生じている中小企業者であって、通常の融資制度では取り上げが困難なものに対し、企業再建計画の策定を前提に融資を行う制度で、今般創設された。
貸付対象
 地域経済の産業活力維持への貢献や技術力などが認められるものの、経営改善、経営再建等に取り組むことが必要になっている中小企業者であって、債務償還能力が認められ、かつ、適正な企業再建計画が策定され、取引金融機関からの既往債務について当該金融機関からの協力が得られる等支援体制が構築されており、自助努力により企業再建が見込まれる方。
貸付限度
中小公庫  7億2千万円(うち長期運転資金2億5千万円)
商工中金 所定の限度内
貸付利率
中小公庫  基準利率(但し、担保徴求の一部免除を受ける場合は、担保免除部分について基準利率+0.3%)
商工中金 所定利率
貸付期間
中小公庫  設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金10年以内(うち据置期間2年以内)
商工中金 設備資金15年以内
運転資金10年以内
担保要件
中小公庫  担保が不足する場合は、事業の見通しを考慮し、貸付額の50%(但し、8千万円まで)を限度として担保徴求を一部免除するなどの特例がある。
商工中金 原則として必要
問い合わせ先
 中小公庫・商工中金

セーフティネット貸付(倒産対策資金)の拡充
概  要
 政府の「改革加速プログラム」に基づき、セーフティネット貸付(倒産対策資金)を拡充した。
1.  倒産した企業に対して50万円以上の売掛金債権などを有する方
2.  倒産した企業に対する取引依存度が20%以上である方
3. 倒産した企業に対して貸付金や差し入れ保証金などの債権を有する方
4. 倒産した企業の債務を保証している方
5. 倒産した企業の設置する商業施設に入居している方であって、倒産の影響による業況悪化などが見込まれる方
6. 倒産した企業から受注した商品や役務などが倒産の影響により取り消された方
資金使途
 売掛金債権の回収困難、売上減少などのために緊急に必要な運転資金及び5に該当する方の店舗移転に必要な設備資金
融 資 額
 一般貸付とは別枠で3千万円以内
返済期間
運転資金  5年以内、特に必要な場合7年以内(うち措置期間1年以内、特に必要な場合2年以内)
設備資金 15年以内(うち措置期間2年以内)
問い合わせ先
 国民公庫
※アンダーライン部分が拡充された箇所。