船旅に魅せられて 副理事長、組織・情報委員長、札幌支部長
岡部 康彦 北陽ビジネスフォーム株式会社代表取締役社長 船旅など何年ぶりだろうか。 昭和38年から4年間ほど青函連絡船の船底に揺られ、雑魚寝しながら、帰省したそれ以来だと思う。海が荒れたときなどトイレが満員になり、やっとのおもいで嘔吐したあの辛さも、痛いほど知っている……。 そんな自分が妻と息子と一緒に31時間の船旅をすることになってしまったのだ。 息子が大阪の印刷会社へ研修員として二年間お世話になることになったため、どうしても車が必要とのことが理由であった。 雪解けの始まった3月末、夏タイヤに履き替えた車で我々一行は小樽に向かった。事前に旅行会社に予約を入れ一等室を確保していた。 午前10時の出航を前に、大型トラック・ボンゴ車・乗用車など数十台が長い列を作り並んでいた。 息子の車も30番目位には船の中へ導かれていった。 私と妻は客室から乗船した。大きな船だと思ってはいたが説明書を見てびっくり!!全長193m、巾30m、旅客定員796名、乗用車80台、トラック186台、19,796トンの船とのこと。 一等室は個室になっていてベッドが4台有り、その横には4畳位の茶の間があり、テレビ・お茶の道具など、ちょっとしたホテル並みである。 午前10時「ニューあかしや号」は、無限に青く果てしなく広い日本海へゆっくりと航海の旅に出た。 船内を廻ってみた。レストラン、バーラウンジ、読書ルーム有り、アスレチックジム、風呂、シャワールーム、卓球、麻雀ルーム、奥にはスィートルームまである。 入浴もしたが揺れひとつ感じない快適さだった。 学生時代に乗った連絡船は、なんだったのだろうか? 夕日に染まる日本海!!ディナーコースでワインを片手に過ごすひととき。荘厳な日没とともに夜のとばりが降りる。遠くに燃える漁り火、都会では味わうことの出来ない神秘に満ちた自然を観ながら喉を潤す素晴らしい時間、一段と明るさを増した星の輝きを見つめながら語り合う親と子…。 眠りについたのは何時だったのだろう。 心地よい眠りから覚めると暗闇の中、はるか水平線の彼方から太陽が昇り始める。 辺り一面が明るくなり、海の色とのコントラストに酔いしれる。自然の雄大さ、美しさにはどんな造形も勝てないだろう。船旅のすばらしさを痛感した。 「速さ」を競う時代ではある。しかし、たまには時間の「余裕」、「遊び」の空間があっても良いのではないだろうか。 何か凄く得をした自分が舞鶴港の地を踏んだとき、時計は午後5時を指していた。 |