壊滅的価格破壊を阻止
平成14年度第1回全道委員長会議
平成14年度上期全印工連北海道地区印刷協議会
 平成14年度第1回全道委員長会議、平成14年度上期全印工連北海道地区印刷協議会が、7月9日午後1時から札幌市中央区の札幌パークホテルで全印工連から中村会長、磯野専務理事、全道から60余人の支部長・委員が出席して開催され、全体会議、委員会、総括会議の中で、価格破壊の問題や当面する問題、課題について討議が行われた。

組織・情報委員会
マーケティング委員会
経営革新委員会
教育・技術委員会
労務・環境委員会
共済事業委員会
青年部委員会
理事長集約
全印工連集約

〔全体会議、
 全印工連北海道地区印刷協議会〕
 最初に、岸理事長から「7月に入って日銀短観や設備投資の動向などで景気は上向きになっていると報じられているが、北海道は依然として厳しい状況が続いている。激しい価格競争により受注価格は低下しているが、プロとしてそれなりのグレードの製品は納めなければならないので相当の経費はかかっている。こんな時に水洩れがあっては企業は成り立たない。仕事が少ないこの時期を幸いとして、今一度、自社の原価体質を見直す機会にしてはどうか。今日の限られた時間で尽すことのできない議論の続きは、8月の釧路での業者大会で是非お願いしたい」とあいさつが述べられた。
 次に、中村全印工連会長からあいさつを兼ねた講演が行われた。講演の中で2005計画で目指している共創ネットワークの目的や狙いなどについて説明し、サッカーのワールドカップでの全国民あげての応援やアサヒビールやホンダの商品開発のエピソードなどを例に上げ、共創ネットワークの真の狙いはシュアド・バリュー=価値観の共有=であると強調した。 (講演内容は10頁〜12頁に掲載)
続いて、磯野全印工連専務理事から、平成14年度事業の概要と業界の現況について説明が行われた。

〔委 員 会〕
 組織・情報、マーケティング、経営革新、教育・技術、労務・環境、共済事業、青年部の7つの委員会に分かれ、(1)平成14年度事業推進について、(2)意見交換、(3)委員会意見集約、(4)全印工連要望事項集約の討議が1時間20分にわたって行われた。

〔総括会議〕
 各委員会における討議内容や意見・提案などが発表された。

組織・情報委員会
         発表者 伊貝委員(釧根)
・組織強化について、今年は全国での加入増強目標が456社、うち北海道の目標は19社である。
・札幌支部が出荷額から見ても加入促進に積極的に取り組むという意見であった。
・支部によっては、印刷業に限定せず印刷産業として枠を拡げ、製本・製版企業にも加入促進を行っているところがある。
・加入促進にあたって、組合加入のメリット論が必ず出てくるが、金銭に直接結びつくものではなく、情報や親睦であり、共創ネットワークを作るような形の見えないものである。
・若い世代の人に印刷業の魅力を考えてもらい、加入促進に参加してもらうという意見があった。
・全印工連のホームページで企業PRのページを設けているので、使い方によっては安価で全国に情報発信ができることになるので積極的に活用してほしい。
・印刷業界の政治連盟として全印政連があるが、加入資格が個人のため加入者が少ないので、今年から機関紙を発行し、それを講読する形で法人の加入を促進する。目標は2000口であるので講読をお願いしたい。

マーケティング委員会
            発表者 中林副委員長(札幌)
・価格破壊が進んでいるが、このことについて組合として何か指導できないのか。この問題に対処できなければ組合のメリットはないのではないかという意見もあった。
・この問題と関連して、官公庁入札で特殊な補助金や優遇を受けているところと一般企業とでは正当な競争が出来るのかという意見があり、この点について組合として要望することも検討してはどうか。
・組合としての目に見えるメリットを研究していく必要がある。
・毎回、委員会からいろいろな意見が出されるが、組合として出来るもの出来ないものを判断し組合員へフィードバックしてほしい。

経営革新委員会
            発表者 板野委員(釧根)
・破壊的価格競争が議論の中心になった。今後も当委員会の最重要テーマとして取り組んでいきたい。
・価格問題は、秩序ある企業行動、企業倫理が根底にある。
・価格破壊問題は、全印工連としても日印産連に要望書を提出しているので、北印工組としても今後どう取り組んで行くのかを検討しなければならない。
・ダンピングは不当廉売であるが、仮りに公正取引委員会に持ち込むにしても何が不当であるかの標準を示すための勉強会を重ねて行く必要がある。
・官公庁の電子入札が今後進んで行くが、地元優先発注を要望していくことを検討したい。
・札幌支部でISOをグループで取得することを研究しているが、ISOの取得は、官公庁の入札を有利にするだけのためでなく会社の中を見直すためにも必要である。

教育・技術委員会
            発表者 板倉副委員長(札幌)
・他の委員会同様、価格破壊の問題が委員会の主要テーマになった。
・この問題に対して教育・技術委員会は何をすべきかを検討した。
・経営者はじめ全社員のスキルアップを図るための研修会を開催していく必要がある。
・価格破壊は、非組合員の影響も大きいが、取り敢えず組合員から率先して意識改革を図る必要がある。
・今年は人材育成研修として、オフセット印刷技能検定、印刷営業研修会、印刷営業技能診査認定試験を実施する。

労務・環境委員会
             発表者 福井副委員長(札幌)
・労働力の確保・労働時間短縮の啓蒙の中で、即戦力としての人材が必要であり、新規学卒者の採用については難しい面があるとの意見があった。
・同業者の会社へ社員を派遣してIT技術について勉強させてもらっているという会社があり、この面でも共創ネットワークが生かされている。
・労働時間の週40時間制は既に浸透していなければならないはずだが、守られていない現況がある。
・この問題は、会社の一人一人のモラルが重要であり、全ての工程を自社で行うのでなく、不得意なものは共創ネットワークで外注することにより時短につながる。
・環境保全適応の啓発では、産廃については、産廃業者に処理を依頼し、MSシートの保管をしっかりして置くより現状では方法がないとの意見であった。
・育児・介護休業制度については、就業規則を変更し、利用者があった時には助成金が支給される場合があるので各社で研究してほしい。

共済事業委員会
            発表者 稲田副委員長(札幌)
・全印工連には、相互扶助を目的とした、生命共済(昭和51年発足)、退職功労金共済(昭和56年発足)、災害補償共済(平成3年発足)、せつび共済(平成7年発足)の4つの共済事業がある。
・これらの共済制度は、組合員企業の福利厚生や経営安定に役立つ保障制度であり、組合加入のメリットの一つでもある。
・全印工連では、共済の拡大キャンペーンを実施しており、今年は北海道はじめ18工組が重点推進工組になっている。
・9月6日の第2回全道委員長会議の共済事業委員会の中で共済事業拡大キャンペーン推進会議を開催する。
・各支部での会合を利用して共済の説明会を開催したいので協力をお願いしたい。

青年部委員会
            発表者 村本委員長(札幌)
・昨年9月に青年部を発足し、フォーラムを開催して以降、目立った活動をしていなかったが、今日活発な意見交換を行った。
・北海道独自の青年部の規約を作ることとし、目的としてこれからの印刷業界を担うであろう若手経営者、後継者、幹部社員で勉強会や研修会を行い、会社での世代交替がスムーズに行えるよう情報交換を行っていく。年齢制限は設けない。
・事業としては、青年印刷人フォーラム、全青協北海道ブロック協議会を開催する。
・開催時期を地方の人達が参加しやすいように北海道情報・印刷産業展に併せて開催することを検討してほしいとの意見が多かった。
・2年間を目標に各支部で青年部組織を立ち上げて行きたい。

各委員会の意見発表に対して、岸北印工組理事長、中村全印工連会長から、それぞれ感想所見が述べられた。

理事長集約
           岸理事長
・組織強化の問題で新規加入組合員の目標が19社というのは多いか少ないかは分からないが、札幌は出荷額が多いから札幌でという話になるが、全道に13支部あるので取り敢えず1支部1社から始めて行ってほしい。
・ホームページは、全印工連でも北印工組でも開いている。各社がホームページをもったからそれが即商売につながるということは考えにくいが、情報発信ということで検討してほしい。
・政治連盟の問題は、今の外形標準課税の問題でも個人の声では通らないので、業界または産業界全体の声として反対運動を行わなければならないので自分達の権益を守るためにも是非加入してほしい。
・価格破壊の問題は、執行部で検討し、全印工連へ要望し、全印工連は日印産連へ要望したからといって組織が何とかしてくれるという期待を持つことは間違っている。各社の経営者、強いては営業マンの姿勢である。
・道外大手は別として、我々道内企業の原価にはそう大差はないと思うが、安値受注をしたから倒れたという企業はあまり例がなく、どこかで辻褄が合ってしまう。それは最終的には従業員の待遇に影響を及ぼしてしまうことになっていると思う。
・不当廉売ということは最近あまり聞かなくなった。今の国の会計原則で行けば一番札落札ということであり、コンピュータの入札の極端な例もあるが、営業マンが原価意識をしっかり持つことである。
・全印工連でデジタル積算の冊子を作ったが、これには独禁法の関係上、金額は入っていないが、項目は載っているので営業マンは共通の認識をもつことができるので勉強をしてほしい。
・ISOの問題は、官公庁が取得を始めているので、いずれ入札の条件になることは考えておかなければならないので勉強しておく必要がある。
・青年部のフォーラムは、展示会の会期中でなく、全道委員長会議の前日に開催し、その日の議論を全道委員長会議に持ち寄って提言をしてはどうか。
・組合として出来る事業を考えると情報提供と研修事業であるので皆さんと一緒に進めて行きたい。セミナーに参加するからには真剣に勉強し自分および企業のために反映させる姿勢がほしい。
・これからは、社員が自費を払ってでも勉強をしていかなければならない時代である。

全印工連集約
               中村会長
・価格破壊の問題が大きなテーマになっているが、これには3つのことがある。
・1つ目は、意識・モラルの問題である。
  機械が止まるから安値受注をする。これではどんなシステムを作っても土台から崩れてしまう。意識問題を今まで業界運動として取り組んだことはなかった。それは大手が動かなかったからであるが、今は違う。全印工連には日印産連へ提言をし、大手を動かすパワーを持っている。
・2つ目は、システムの問題である。
  今の物品納入では一番札落札であるので文句の言いようがないが、製造請負になると最低制限価格があるので低価格入札は排除される。これには政治の力が必要であるので政治連盟が生きてくる。また、情報公開として積算項目別の入札価格の公表を求める動きもある。
・3つ目は、営業マンの教育である。
  営業マンが無能でどんぶり勘定ではどうにもならない。デジタル積算体系を作ったが、独禁法の関係上、金額は入っていないが、研修会では参考資料として金額を示すので、是非、研修会に参加して勉強してほしい。
・全員が一致協力してこの問題に取り組まなければ解決しない問題である。

 最後に、8月に釧路市を中心に開催する第26回北海道印刷業者大会のPRが伊貝釧根副支部長から行われ、会議を終了した。