平成14年度中小企業助成施策(4)
 中小企業庁が、「意欲あふれる中小企業に、より大きな活躍の機会を提供する社会を目指します」と題して、(1)IT革命への対応の支援、(2)創業・経営革新の支援の促進、(3)経営基盤の強化、(4)中小企業支援体制の一層の充実などを重点目標に平成13年度にまとめた中小企業施策(本紙547号既報)の中から中小印刷業界で利用できると思われる金融、補助金、税制等とともに平成14年度より新設、拡充、延長等が行われる施策について紹介します。
留保金課税の適用停止
相続税課税の軽減制度
交際費支出の損金算入限度額の拡大
欠損金の繰戻し還付措置の延長
簡易記帳に係る青色申告特別控除の適用期限の延長

連結納税制度の導入

留保金課税の適用停止
1. 措置の概要
同族会社の内部留保に追加的に課税する制度で、経営革新に取り組む中小企業やベンチャー企業を支援するため、留保金課税の課税停止となる対象が抜本的に拡充された。
2. 対象となる方
(1) 青色申告書を提出する創業10年以内の中小企業
(2) 青色申告書を提出する新事業創出促進法の認定を受けた企業。(創業からの年数は問わない(大企業も含む))。
(3) 青色申告書を提出する経営革新を志向する中小企業やベンチャー企業
4. 問い合わせ先
中小企業庁事業環境部財務課
「新事業創出促進法」の認定については各経済産業局新規事業課
中小法人の自社株(取引相場のない株式等)
に対する相続税課税を軽減する
相続税課税の軽減制度
1. 具体的内容
中小法人の自社株は、経営に必須で換金不可能という、他の財産とは違う性格であるため、中小企業の事業の継続・発展を図る観点から、中小法人の経営者が所有する自社株に対し、相続税の課税価格を10%軽減する制度が創設された。
2. 対象となる方
株式総額10億円未満(相続税評価ベース)の会社
3. 軽減の対象
経営者所有の株式のうち、発行済株式総数の3分の1以内で、相続税評価額3億円以下の部分。
4. この他の適用要件
(1) 小規模宅地等の特例との選択。
(2) 被相続人等が当該会社の発行済株式等の総数の50%以上を所有しており、相続人が相続税の申告期限まで引き続き所有し、役員として会社を経営していること。
5. 問い合わせ先
最寄りの税務署の法人税課
交際費支出の損金算入限度額の拡大
1. 措置の概要
中小企業の税負担を軽減し、その活力を引き出すため、中小法人の交際費支出の損金算入限度額が拡大された。
2. 交際費の損金算入限度額
(1) 資本金1千万円以下の中小法人
年400万円までの支出額のうち8割
(2) 資本金1千万〜5千万円の中小法人
年400万円までの支出額のうち8割
(現行の300万円から拡充)
(3) 資本金5千万円超の法人は全額損金不算入
3. 問い合わせ先
最寄りの税務署の法人税課または所得税課
欠損金の繰戻し還付措置の延長
1. 措置の概要
(1)設立5年以内の中小企業及び(2)中小企業経営革新支援法における経営革新計画の認定を受けた中小企業等について、当期の欠損と前年の所得を通算し、前年に納付した法人税の還付を許容する制度の適用期限が2年間延長された。
2. 問い合わせ先
最寄りの税務署の法人税課または所得税課
簡易記帳に係る青色申告特別控除の
適用期限の延長
1. 措置の概要
簡易記帳に係る青色申告特別控除(45万円)の適用期限が3年間延長された。
2. 問い合わせ先
最寄りの税務署の法人税課または所得税課
グループ経営を促進し、
企業の国際競争力を強化する
連結納税制度の導入
1. 制度の概要
親会社と同一視しうる一定の子会社群(100%子会社)を含めたグループを一つの「課税単位」として課税する制度で、連結所得金額はグループ内の個社の所得と欠損を通算して算出し、グループ内で行われた資産の譲渡等によって生じる譲渡損益は課税を繰延べる。
2. 中小企業関係税制の取扱い
(1) 親会社が中小法人(資本金1億円以下)であれば、軽減税率(22%)の適用がある。(連結所得800万円以下の部分)
(2) 親会社が協同組合等中小法人であれば、軽減税額(23%)が適用される。
(3) 交際費の損金不算入額は、親会社の資本金額を基に連結グループを一体として計算する。
(4) その他、中小企業関係租税特別措置についても原則適用される。
3. 問い合わせ先
最寄りの税務署の法人税課または所得税課