女オンチ・ITオンチ
いつの時代も女性は優しく、美しく、強い。源氏物語に出てくる女性だって、ソクラテスの悪妻だってたぶん魅力ある人だったのだろう。 ところで、私は音痴である。カラオケを歌えないから人づきあいに支障もきたしている。楽器も使えないし、もちろん音符も読めない。しかし音楽は好きなのである。ジャズもロックも、演歌も好きで艶っぽい物語にどっぷり浸っちゃうし、クラシックだってモーツアルトを聴くとうっとりする。つまり歌のことはなにも解らないがなんでも好きなのである。 酒も好きである。つい飲みすぎて翌日はそのつらさでいつも後悔する。食べ物も好きでなんでも食べる。おいしいものがあれば日本酒が美味しくなる。おなかがふくれたあとのウイスキーがまたおいしい。山に登ればブランデーがおいしいし、焼鳥を食いながらのビール、ホルモン焼の焼酎、うす暗い静けさの中のカクテルもうまい。生焼けのステーキにワインというのもいい。つまり、どんな時だっていつだって何を飲んでもおいしいのである。私はそんな自分を酒オンチ、食いものオンチだと思っている。 女性はいつもどこで会っても素敵に見える。あまり若すぎる女性には緊張するが、中年以上の女性にはいつも恋心に近いようなものをもつ。私の周りには、文化を愛する人、平和を愛する人、自然を愛する人、そしてそれらを守るために一生懸命努力をしている人が多い。ときには猛然と、ときには優しく、時には綿密な計画のもと、目立つ人も目立たない人も、そんな人たちが多い。たいていは女性だし、男性と力を合わせている人たちである。だから女性にはついつい親愛の言葉を発する。誰に対しても親愛の言葉になってしまうからときどき怒り出す人がいる。自分だけへの言葉の筈が、他の人にも同じように言っているといって非難されたりもする。しかし私はいつも本心を言っているのであって嘘でもお世辞でもない。一人ひとりに感じいって一人ひとりを讃えているのだから非難される筋合いではない。どうも私は女オンチのようなのである。 私はコンピュータオンチのようでもある。自分ではワープロもパソコンも、カメラだって使えない。テレビのビデオセットも出来ないし、女房が留守の時の飯炊きも出来ないのである。最近のIT化の嵐は私のようなものを吹っ飛ばす勢いである。そういえばIT不況とかで大手電機業界では果てしなくリストラが続いている。ITの専門家集団でさえバブルになる時代。ITオンチの私などどうしたらいいのかうろたえるばかりである。紙に印刷するという原点を見失わないで自分自身のITを謙虚に創り出していかなければならないのだろうか。身のほどをわきまえて生きていきたいものである。 |