印刷燦燦
ハガキコミュニケーション
副理事長・マーケティング委員長 花井 秀勝(札幌凸 版印刷株式会社代表取締役社長)

 インターネット等の電子コミュニケーション時代であるからこそ、いま暖かみを伝えることができる「ハガキ」が注目されている。
 商品を購入いただいた得意先や顧客を紹介いただいた方へのお礼、勉強会で出会いお話しをうかがった先生へのお礼、経営者から従業員の家族へ宛てられた誕生日祝いなど、企業活動の中でも様々な側面 でハガキが活用されるべきなのである。
 そんな中、ある企業の経営者のハガキ活用策を紹介しよう。この経営者は自社の顧客に対して毎月ハガキを送付している。これは得意先の担当者に対して、普段は接点がない経営者が感謝の気持ちを伝えるというものであり、担当営業マンをフォローする意味を持っている。しかし、このハガキの内容がミソである。それはこのハガキがカレンダーになっているということだ。毎年、年始にこのハガキカレンダーを卓上に収めるホルダーを顧客に配布し、そこにこのカレンダーを差し込んで、毎月利用していただこうというもので、自社の企業名・連絡先なども刷り込まれており、常に自社をアピールすることができるハガキとなっている。
 また、「顧客に挨拶状をお送りしろ!」と経営者がうるさく社員に指示をしたとしても、そのハガキや書式などがなければ、なかなか社員は行動を起こせないものだ。そこでいろいろな場面 で利用できる挨拶ハガキフォーマットを会社として準備し、社員にそれを利用させるという方法も良いアイデアである。
 契約のお礼、ミスが発生した場合のお詫び、顧客を紹介いただいた場合の感謝、得意先担当者の昇進・誕生日などのお祝など、様々な場面 で顧客とのコミュニケーションを図る機会は存在する。そこで各目的別に基本文例が刷り込まれたハガキを準備し、担当者はその中に一筆加えてお送りする。これだけでお礼状の内容について悩まず簡単に送ることができ、しかもこのようなハガキコミュニケーションが上手な会社となることができるであろう。
 また、このようなハガキは、継続することに意味がある。単純なアイデアで一度取り組んだだけで、立ち消えになってしまう。これでは逆効果 である。このハガキは顧客に対する自社のコンセプトを伝える機会である。「我が社は貴社のためにご支援しています。」このあらわれが「ハガキ」なのである。そこで販促用のDMとは別 に、きちんとわきまえて、ビジネスカラーをなるべく表には出さないものとすることがスマートであろう。
 営業コストをかけることができない点や新規顧客開拓が難しい現在の社会状況を勘案すると、徹底的に既存顧客を育ててファン客とし、その反響によって、需要を伸ばしていくことが重要な時代となっている。そこでどんなビジネスであっても、アフターフォローハガキの活用は無くてはならない手段となっている。
 旅館であれば、四季折々の風景を織り交ぜたお誘いのハガキであり、住宅であれば毎年定期的に「こんなところが傷んできていませんか?」というハガキであり、病院・薬局であれば、お加減はいかがでしょうかというハガキであろう。これだけのことでも、定期的に取り組んでいれば、必ずや顧客は振り向いてくれるであろう。しかもこのコミュニケーションが50円のハガキで実現できるのである。