グリーン購入法が施行 本年4月1日 国などの公的部門における環境物品等の調達を促進することを目的に制定された「グリーン購入法」の施行が4月に迫ってきた。2月に政府が「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」を打ち出しているが、政府以外でも環境協会が施行にあわせ「印刷用紙」「情報用紙」に関するエコマーク基準の改定案を発表し、GPN(グリーン購入ネットワーク)もオフセット印刷に関するガイドラインづくりに着手するなど周辺の動きも出てきている。 |
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政府は平成12年5月24日に成立した「国等による環境物品等の調達の推進等による法律」(以下「グリーン購入法」という)に基づき、2月2日に「環境物品等の調達の推進等に関する基本方針」を閣議決定し、これを4月1日より施行することとなった。
この基本方針は、国(国会、各省庁、裁判所)、政令で定める独立行政法人及び特殊法人における環境物品等の調達の推進に関する基本的方向や、国等が重点的に調達すべき物品及び役務の種類(特定調達品目)、さらにその判断基準、その他環境物品等の調達の推進に関する重要事項を定めている。 グリーン購入法は、循環型社会形成推進基準法の主旨に則り、需要側から循環型社会の形成を促進することを目的とする法律である。 今回の基本方針の策定により、法に基づく政府機関のグリーン調達制度としては国際的に初めて開始される。 また、対象となる物品として建設資材等に着目した公共工事や役務を含む14分野(紙類、納入印刷物を含む)にわたる101品目を選定しており、これまでの類似の取組みに比し、格段に対象品目が拡大している。 なお、品目等は、開発状況・化学的知見の充実等に応じて毎年度見直しを実施していく予定である。 この基本方針は、国等の調達の目標と実績を対外的に公表することとしており、今後政府調達のグリーン化を協力に押し進め、リサイクルの促進と環境物品マーケットの拡大を通 じて我が国の経済社会のグリーン化に大きく弾みをつけることが期待されている。 〈基本方針の内容〉 基本方針は、以下の3つの項目から構成される。 (1)国等による環境物品等の調達の推進に関する基本的方向 グリーン購入法により、環境物品等の調達を推進することとなった背景や意義、環境物品等の調達を推進するための基本的考え方を規定している。 (2) 特定調達品目及びその判断の基準並びに特定調達物品等の推進に関する基本的事項 国等が重点的に調達すべき物品及び役務として、紙類(情報用紙、印刷用紙等)、文具類(シャープペンシル、ボールペン等)及び機器(いす、机等)など14分野101品を特定調達品目とし、それぞれ環境物品等としての判断基準を規定しており、例えば、情報用紙である「コピー用紙」の判断基準は、「古紙配合率100%かつ白色度70%程度以下であること」とされている。 (3) その他環境物品等の調達の推進に関する重要事項 国等における環境物品等の調達を推進するための推進体制の整備の在り方や、基本方針に即して国等が作成する調達方針の公表、調達実績の概要の取りまとめ及び公表の方法を規定している。 〈施行期日〉 平成13年4月1日 各特定調達品目及びその判断の基準等(全101品目の一部)
基本方針に示された紙類・納入印刷物における判断基準等 ■紙類 【情報用紙(コピー用紙、フォーム用紙)】 ・ 判断の基準 1) コピー用紙については、古紙配合率100%かつ白色度70%程度以下であること。 2) フォーム用紙については、古紙配合率70%以上かつ白色度70%程度以下であること。 3) 塗工するものについては塗工量が両面で12グラム/平方メートル以下であること。 ・ 配慮事項 ○製品の包装は、再生利用の容易さ、焼却処理時の負荷低減に配慮されていること。 【印刷用紙】 ・ 判断の基準 1) 古紙配合率70%以上であること。 2) 非塗工印刷用紙については、白色度70%程度以下であること。 3) 塗工印刷用紙については、塗工量が両面で30グラム/平方メートル以下であること。 4) 再生利用しにくい加工が施されていないこと。 ・ 配慮事項 ○製品の包装は、再生利用の容易さ、焼却処理時の負荷低減に配慮されていること。 (2) 目標の立て方 各品目ごとに当該年度の調達総重量(キログラム)に占める基準を満たす物品の重量 (キログラム)の割合とする。 ■ 納入印刷物 (1) 品目及び判断の基準等 ・ 納入印刷物の仕様 印刷用紙に関わる判断の基準(紙類参照)を満たす印刷用紙を使用すること。 (2) 目標の立て方 当該年度の印刷物の発注総数(件数)に占める基準を満たす納入印刷物の発注件数の割合とする。 「オフセット印刷」の ガイドライン作成へ GPN 「グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進に関する法律)」が4月に本格施行されるのを前に、印刷産業においても環境対応に向けた動きが強まってきている。 GPN(グリーン購入ネットワーク)が推進している「印刷サービスの購入(オフセット印刷)」に関するガイドライン作りでは、ネットワークの策定タスク・グループによりグリーン購入基準検討表の試案が作成されている最中である。 策定するガイドラインは「オフセット印刷」を対象範囲としており、これに関する検討内容は、「印刷インキの選択」「印刷工程での環境負荷低減」などとしている。 試案では「原板・刷版」でデジタル校正、フィルムレス化、現像液の削減、「印刷」で大豆油インキ・アロマフリーインキの使用、「製本・加工」では光沢ニスコーターの水性化、リサイクル対応型ホットメルトの使用など、中小印刷業も工程プロセスの見直しを迫られる可能性が高い項目が挙げられている。 グリーン購入ネットワークは、グリーン導入の取り組みを促進するために1996年に設立された企業・行政・消費者のネットワークで、グリーン購入の普及啓発、購入ガイドラインの策定、環境に配慮した商品情報をまとめたデータベースづくりなどを通 じて、消費者・企業・行政におけるグリーン購入を促進している団体である。 今回の検討表づくりには印刷業界団体から日印産連も参加している。 GPNでは「印刷」が従来の対象製品と性格が異なるため、ガイドライン項目をもとにした「印刷のグリーン発注チェックシート(仮称)」を作成する方針だが、チェックシートは全国の自治体や民間企業の調達において大きな影響力を持つことも予想されている。 また、最近はGPNに限らず大手民間企業などでも独自にグリーン調達に関するガイドラインを策定するケースも増えてきており、印刷会社にとっても環境対応は経営の重要なファクターとなりつつある。 |